American Journal of Enology and Viticulture
       論文要旨 和訳


 

Volume 60 No.2 (2009)



P. Winterhalter: ASEV Honorary Lecture 2008: Application of Countercurrent Chromatography for Wine Research and Wine Analysis. pp. 123-129.
[Honorary Lecture 2008: ワイン研究とワン分析への向流クロマトグラフィーの応用


分析レベルからプロセス・レベルへスケールアップ可能な、数少ない液体クロマト系の一つとして、向流クロマトグラフィー(CCC)がある。CCCは穏やかな条件で分離する為、サンプル回収率が100%であり、種々のワイン成分の理想的分析法として適している。本報告では、CCCの器具使用方法および不安定なワインアロマ前駆体、抗酸化物、色素の応用について触れる。更に、ワインの重合成分の分画に使用できる、遠心沈殿クロマトグラフィーの方法、およびスケールアップした10から100 gレベルの分離技術についても述べる
[英文要旨原文]


M.S. Lenz, R. Isaacs, J.A. Flore, and G.S. Howell: Vegetative Growth responses of Pinot gris (Vitis vinifera L.) Grapevines to Infestation by Potato leafhoppers (Empoasca fabae Harris). pp. 130-137.
[ポテト・リーフホッパー(Empoasca fabae Harris)の侵入に対するピノ・グリ(Vitis vinifera L)ブドウ樹の栄養成長応答]

ポテト・リーフホッパー(Empoasca fabae Harris)は北アメリカ東部のいたるところで、ブドウ園の有害な害虫となり、感受性栽培種の葉の巻き上がりや黄色化を引き起こす。この昆虫の侵入とブドウ樹の成長および資源配分の関係を決定するために、台木1103 Paulsen(V. berlandieri Planch. x V. rupestris Scheele)に接ぎ木した非着果の鉢植えピノ・グリに、1枚の葉当たり0.0〜4.5のポテト・リーフホッパー(E. fabae)幼虫を7日間、寄生させた。新梢の成長、葉の成長そして葉における侵入の症状を、侵入の前と後で定量した。そして、成長したブドウ樹のバイオマスを実験の最後に測定した。吸角と退色の葉の症状は、侵入の激しさと正の相関を示した。一方、新梢と葉の成長はリーフ・ホッパー密度の増加とともに減少した。これら結果の分析から傷害症状と葉生育の限界値が1葉あたり0.5と1.0 E. fabaeの間であることが決定された。しかし、侵入後のブドウの回復が、葉と新梢の成長パラメーターにおいて観察された。そして、ブドウバイオマスは、E. fabae密度が1葉あたり3.0虫を超えるときにのみ減少した。この研究は、感受性ブドウ栽培種における低密度E. fabaeのネガティブな効果を明らかにし、ブドウが侵入後の期間に、低い侵入レベルから回復できることを示唆している。
[英文要旨原文]


S. Lequin, T. Karbowiak, L. Brachais, D. Chassagne, and J.-P. Bellat: Adsorption Equilibria of Sulfur Dioxide on Cork. pp. 138-144.
[コルクへの二酸化硫黄の吸着平衡]


気相における粗製コルクへのSO2の吸着に関する最初の報告である。SO2とコルクは、液相またはヘッドスペースの気相を介し密に接触するので、コルクとSO2の熱力学的関係を理解することが必須である。ガス状SO2の吸着は、真空下ガスを抜いたコルクサンプルを、298 K、10-5から40 hPaにおける熱重量分析および熱量分析により測定した。乾燥コルクへのSO2の吸着量は、コルク栓へ外挿しても、無視できるほど微量であった。等温線におけるヒステレシス・ループの存在および低負荷(〜100 kJ・mol-1)にて測定された高吸着熱から、SO2とコルクの間には反応性吸着が生じていた。しかし、この化学吸着量は非常に微量であり、SO2の吸着メカニズムは物理吸着に相当した。部分的に水和したコルクへのSO2の吸着も調べた。コルクの水分量が5%であるとき、SO2の吸着量は1/3であった。従って、水はコルクへのSO2吸着を増強せず、逆にコルクへのSO2吸着活性を低下させた。これは、SO2吸着に競合が生じるためと考えられる。
[英文要旨原文]


D.J. Erasmus and H.J.J. van Vuuren: Genetic Basis for Osmosensitivity and Genetic Instability of the Wine Yeast Saccharomyces cerevisiae VIN7. pp. 145-154.
[ワイン酵母Saccharomyces cerevisiae VIN7の浸透圧感受性のための遺伝的基礎および遺伝的不安定性]


Saccharomyces cerevisiaeはマスト発酵にて、糖誘導の浸透圧ストレスに晒される。このストレス対応の一部として、酵母は種々の表現型を示し、ワイン中に酢酸やグリセロールを生成する。我々は浸透圧感受性の工業酵母VIN7が、なぜ高濃度の酢酸とグリセロールを生成するのかを、工業酵母STと比較し調べた。全遺伝子発現を調べたところ、VIN7ではHog1pおよびMsn2/Msn4p制御遺伝子が高発現していた。更に、データから酢酸生産はAld6pの触媒反応により行われ、それはペントースリン酸経路と脂質生合成に影響された。VIN7ゲノムのPCR分析により、テロメア近傍で、XV染色体左腕にある〜30 kbが欠損していることが判明した。欠損遺伝子の中で、YOL159C欠損により酵母は浸透圧感受性となり、Ty1レトロ転移が増加し、これがSaccharomyces cerevisiaeの遺伝的不安定性を引き起こしていると考えられる。
[英文要旨原文]


D.H. Greer and S.Y. Rogiers: Water Flux of Vitis vinifera L. cv. Shiraz bunches throughout Development and in relation to late-Season Weight loss. pp. 155-163.
[シラー(Vitis vinifera L. cv.)果房の生育期間およびシーズン後期の重量損失と関連した水流動]


 シラーは一般的に、成熟後期において果房の水の有意な損失を起こし、それは収量の損失を伴っている。この研究の目的は、この重量損失が導管流動の減少と蒸散の増加によるという仮説を定量的に評価することである。着果した果房全体の蒸散量、生そして乾燥重量、水分含量を、コントロールされた環境下およびブドウ園で生育したブドウにおいて、開花から成熟まで測定した。果房への流入および流出の全水流量の季節変動を測定した。自然状態における果房の重さを量るシンプルな技術により水の獲得と損出の1日あたりの速度を、個々に測定した。果房蒸散速度は開花直後に高かったが,収穫日付近では0.2 g g (dry wt)?1 d?1に減少した。果房の総水流入速度もまた、成長にともない、1.0から0.1 g g (dry wt)?1 d?1へ90%の減少を示した。これら速度の比較から、初期および中期生育期を通して、総水流入量が蒸散を上回っていることが明らかになった。しかし、開花後60から80日で、流入速度は、蒸散が流入を上回る範囲まで減少し、全体の水損失が起こった。ブドウ園で生育しているシラーブドウ樹の果房において、4回の生育シーズンを通して測定した水の獲得と損失速度の定量的比較は、上記のように測定された速度にぴったり一致した。果房水流動の日ごとの変化は、成熟後期までの果房生育を通して、総水流入が蒸散を上回っているという結論を支持した。果房水流動が全体での流入から全体での損失へシフトすることにより、シラーブドウ果房の成熟後期の重量損失が起こるという仮説が確認された。
[英文要旨原文]


S.K. Field, J.P. Smith, B.P. Holzapfel, W.J. Hardie, and R.J.N. Emery: Grapevine response to Soil Temperature: Xylem Cytokinins and Carbohydrate reserve mobilization from budbreak to Anthesis. pp. 164-172.
[土壌温度に対するブドウ樹の応答]


ガラス室における鉢植えのシラーブドウ樹を、休眠から開花にかけての花芽発達と栄養成長への効果を評価するために、2つの異なった土壌温度(13℃と23℃)にさらした。土壌温度は、萌芽と開花の時期、または花序あたりの花の数に影響しなかった。開花期の総バイオマスは両温度で類似していた。一方、新梢バイオマスはより暖かい土壌において大きかった。休眠から開花にかけて、根と幹のバイオマスの両方は冷涼土壌で減少し、より温かい土壌では、根のバイオマスのみが減少したが,冷涼土壌の2倍ほどであった。休眠から開花の間の非構造炭水化物総量は、根バイオマスの減少のほとんどを説明した。萌芽期において、4つの認められているクラスを代表する14のサイトカイニン(トランス−ゼアチンリボシドとイソペンテニルアデノシンを主要な構造として持つ)が出液水に存在した。全体そして活性遊離型塩基性サイトカイニン濃度は、両処理で類似していた。一方、より暖かい土壌のブドウ樹からの樹液は、有意に低い濃度のヌクレオチドサイトカイニンを含んでいた。しかしながら、サイトカイニンの輸送は、より暖かい土壌処理で有意に大きかった。開花まで、サイトカイニン濃度は両処理で類似していたが、導管液の総サイトカイニン濃度は萌芽から、ほぼ90%に減少した。根で合成されるサイトカイニンは、休眠終了時の備蓄炭水化物の流動化とそれに続いて起こる新梢成長に関連していると思われた。結果と以前の研究の比較から、頂芽優勢と相補した阻害により、萌芽する芽の数と萌芽の時期における土壌温度への応答は、枝の節の数によって左右されることが明らかになった。
[英文要旨原文]


P.R. Petrie, M.C.T. Trought, G.S. Howell, G.D. Buchan, and J.W. Palmer. Whole-Canopy Gas exchange and light Interception of vertically Trained Vitis vinifera L. under Direct and Diffuse light. pp. 173-182.
[直接および散乱光下で垂直に仕立てられたVitis vinifera L.キャノピー全体のガス交換と光遮蔽]


露地栽培の8本のソービニヨン・ブラン成木の総二酸化炭素交換(NCE)と蒸散の同時測定を可能にするポータブルオープンガス交換システムを開発した。快晴と曇りの日において、NCEと蒸散は光合成アクティブな照射(PAR)のモデル化遮蔽に密接に関連していた。快晴の日において、光合成と入射PARの間の関係は乏しく、NCEは垂直に仕立てられた南北に面した列において、正午の前後3時間でピークに達した。その結果、ブドウ樹ガス交換に対する明確な2モデルパターンを示したが、これは曇りの日において明確ではなかった。散乱光(曇り)条件下で、ブドウ樹は、より効率的で、捕捉された光の単位計算あたり、より高い速度で光合成を行った。この効率は、おそらく、快晴条件下の外側の葉の飽和と内側の葉の遮光によるものであろう。一方、散乱光条件下では、散乱光の増加がキャノピー内部の葉によって受け取られる照射を増加させた。散乱光条件下で光の利用効率は改善されているものの、低い光強度は、二酸化炭素交換が快晴日のそれに比べて通常は低いことを意味した。ブドウ梗への樹液の流動速度へのチャンバーの影響は小さく、そのことは、ブドウ樹の微気象へのそれらの効果と結果としての蒸散は最少であることを示唆している。同時に起こる蒸散と樹液流動速度の間に強い相関があり、そのことは、蒸散と樹液流動の間の時間的遅れを使用することで改善されず、ブドウ樹は、これら条件下で、蒸散に対して地上部の樹幹とほかの成長器官に蓄えられている水分にそれほど依存していないことを示唆している。
[英文要旨原文]


P.A.M.H. Soares, V. Geraldes, C. Fernandes, P.C. dos Santos, and M.N. de Pinho: Wine Tartaric Stabilization by electrodialysis: Prediction of required Deionization Degree. pp. 183-188.
[電気透析による酒石の安定化:必要脱塩度の予測]


 電気透析をワインの酒石安定化の確たる方法にする為には、ミニコンタクト試験による、ワイン安定化に必要な脱塩度(DD)予測が必須である。目的は、予測DDに関するミニコンタクト試験のパラメーター(ランタイムおよび添加する酒石酸水素カリウム(KHT)結晶粒度分布)を定量化し、冷凍試験、長期貯蔵試験、飽和温度によりワインの酒石安定性を評価することである。電気透析試験は、ベンチスケールで白、ロゼ、赤および酒精強化ワインについて、バッチにて行った。DDは0から30%まで変化させた。ミニコンタクト試験は最大ランタイムを65時間とし、粒度分布の異なるKHT結晶を用いて行った。ミニコンタクト試験からワイン安定化に必要なDDを予測できるが、DDはランタイムとKHT結晶粒度分布に強く依存した。この試験は、電気透析ワインの酒石安定性を保証する正確なDDを予測でき、各タイプのワインについて、実験的なランタイム調節情報を提供した。結果より、ミニコンタクト試験の再現性を向上するためには、制御された粒度分布のKHT結晶の使用が必要であった。種々のワインについて、予備濾過なしのワインの冷凍試験は、良好な再現性を示し、本試験を通過したワインは6℃、6ヶ月保存で安定であった。
[英文要旨原文]


A. Palliotti, O. Silvestroni, and D. Petoumenou: Photosynthetic and Photoinhibition behavior of Two Field-Grown Grapevine Cultivars under multiple Summer Stresses. pp. 189-198.
[複数の夏ストレス下における2種の露地栽培ブドウの光合成と光阻害特性]

水利用を最適化できるVitis viniferaの干ばつ耐性遺伝型の同定に興味が持たれている(特に灌漑を広げることが困難で、亜熱帯への進行的シフトが進んでいる地域では)。この研究は、2003年(厳しい干ばつ状態が特徴の年)と2004年(干ばつ状態の無い年)に、イタリアで広く栽培されている赤ブドウ栽培種(サンジョベーゼとモンテプルチャーノ)の形態学的特徴と生理学的挙動の変化を評価するために行った。2004年と異なり、2003年に記録されたデータは、モンテプルチャーノブドウに反して、サンジョベーゼブドウ樹のキャノピーに位置する垂直な新梢は、二つの異なった層に分割されることを示した。基底層は、果実層に接近しており、低い炭素獲得を特徴とし、57%の葉が白化と壊死を受けているのが特徴であった。一方、残りの葉は、慢性の光阻害を受けていた。(Fv/Fm < 0.50)上層は、高い光合成活性と水利用効率が特徴であった。サンジョベーゼの葉の傾きの変化と低い葉吸収そして大きな葉透過性は、過剰な光と熱吸収の回避を助けていると考えられる。モンテプルチャーノの葉は、位置に関係なく、敏速に気孔を閉じ、水分を保有した。結果は、多様で厳しい夏ストレス状態へのブドウの応答戦略は、遺伝型、葉齢、新梢に沿った葉の位置の関数であることを示している。モンテプルチャーノと異なり、サンジョベーゼは、ブドウ樹全体の炭素獲得を最適化できることから、干ばつ状況下でよく適応すると考えられる。
[英文要旨原文]


S. Riaz, A.C. Tenscher, R. Graziani, A.F. Krivanek, D.W. Ramming, and M.A. Walker: Using marker-Assisted Selection to breed Pierce’s Disease-resistant Grapes. pp. 199-207.
[ピアス病耐性ブドウ育種のためのマーカーアシスト選抜の利用]


細菌Xylella fastidiosaによって起こるピアス病(PD)はカリフォルニアの重要な病気であり、それは南部合衆国を横切り、南アメリカ大陸まで達している。病害プレッシャーの高い地域では、Vitis vinifera栽培種の栽培が困難または不可能である。この研究では、精選されたワイン、テーブル、レーズンブドウの遺伝的バックグラウンドにPD耐性を導入すること、そしてPD耐性ブドウの育種を進展するためのPCRを基本技術としたマーカーアシスト選抜(MAS)を報告する。この仕事は、V. arizonica b43-17のホモ接合型耐性からPD耐性を遺伝導入することを提供する。耐性選抜種と高品質V. vinifera栽培種の間の異なった83交配種(F1と第一および第二戻し交配世代(mBC1とmBC2))からの4,321の実生を、2006年と2007年の早春に、2から3のフランキングマイクロサテライトマーカー(VVIP26, ctg1026876, VMC2a5)で選抜した。耐性にリンクした対立遺伝子は、サイズにおいてユニークであり、感受性V. vinifera選抜種によって共有されなかった。ユニークな耐性対立遺伝子の有無を基準にして、ワイン、テーブル、レーズンブドウバックグラウンドから1,683の実生が選抜された。これら耐性対立遺伝子の特殊性は、PD耐性ブドウ栽培種の育種を最適化するためのMAS使用を可能にした。
[英文要旨原文]


D.W. Ramming: Water loss from Fresh berries of raisin Cultivars under Controlled Drying Conditions. pp. 208-214.
[コントロールされた乾燥条件下におけるレーズン栽培種の生ブドウからの水損失]


手収穫と紙トレイ上でのブドウの乾燥による伝統的なレーズン生産は、厳しい労働と悪天候のリスクをともなう。ブドウ樹上で乾燥させる(DOV)レーズン生産は機械収穫を利用し、そしてレーズンダメージのリスクが低減される。この新しい生産システムに適した早熟レーズン栽培種が開発され、公開されている。レーズン栽培者にとっても、栽培種間で乾燥速度に差異があるかどうかを知ることは有益である。レーズン栽培種が、早熟で速い乾燥速度を持つとしたら、それらはDOVレーズン生産に適しているであろう。2002年から2004年の3シーズンにわたる研究で、栽培種間で乾燥速度が有意に異なることを示す結果が得られた。サマー・マスカット、ダイアモンド・マスカットそしてPrimusは、最も早く乾燥し、トンプソン・シードレスは一貫して最も遅く乾燥した。DOVineとSelma Peteは中間であった。水損失は、Brixよりも果粒サイズにより影響を受けた。乾燥速度は、エピクチクラワックスを擦り取るよりもクロロホルムに浸漬して除去する方が、より増加した。サマー・マスカットはワックスをクロロホルムまたは擦って除去した場合でも、トンプソン・シードレスよりも速く乾燥した。エピクチクラワックスに加えて果皮の特徴が、レーズン栽培種の乾燥速度の差異において、ある役割を持っていることを示唆する結果が得られた。エピクチクラワックスに比べて、クチクラの量が栽培種間で大きく異なっていた。これらの発見は、高い乾燥速度をもつレーズンブドウの開発において、育種アドバイスが可能であることを示している。
[英文要旨原文]


M. Lopez, N. Cid, M.V. Gonzalez, B. Cuenca, M.J. Prado, and M. Rey: Microsatellite and AFlP Analysis of Autochthonous Grapevine Cultivars from Galicia (Spain). pp. 215-222.
[ガリシア(スペイン)起源の自生ブドウ栽培種のマイクロサテライトとAFLP分析


ガリシア(北西スペイン)起源の最も重要な自生ブドウ栽培種に属す選抜クローンをマイクロサテライトと2種類のAFLP法を用いて分析した。最終的な目的は,マイクロサテライトと標準的なAFLP法を用いて分析した生殖質の分子同定である。ブドウのフィンガープリント用に変更したAFLP方法論の有用性も評価した。マイクロサテライト分析は,我々が行った栽培種の同定が,入手可能な他のデータベースと一致することを支持した。ただし,栽培種名Torrontesは,以前に報告されたデータと一致せず,従って,その遺伝的関係と起源を明らかにするために,さらに研究が必要と考えられる。7種類の自生栽培種それぞれの少なくとも1つの代表的クローンを含むサンプルグループの標準的AFLP分析は,それらの間で明確な差異が認められた。一方,同一種のクローン間では,差異は得られなかった。変更したAFLP手順をテストするために、6種類の選抜したプライマーを用いて、標準的AFLPに使用したのと同一のサンプルグループを分析した。得られたバンドは少数であったが、高い割合で多型を示し、Treixaduraを除く、調査したすべての栽培種の明白な差異が認められた。この変更AFLP技術により、栽培種AlbarinoとMenciaの種内フラグメントが得られることが認められた。我々の知る限り、これは、ブドウ栽培種を分子レベルで特徴づける方法論の最初の報告である。
[英文要旨原文]


A. Zoechling, E. Reiter, R. Eder, S. Wendelin, F. Liebner, and A. Jungbauer: The Flavonoid Kaempferol Is responsible for the majority of estrogenic Activity in red Wine. pp. 223-232.
[フラボノイドであるケンフェロールは赤ワインの主要なエストロゲン活性物質である]

赤ワイン適量飲酒の心臓血管病、ホルモン関連疾病に対する予防効果、エストロゲン活性は、リスベラトロールによるものとされてきた。本研究では、赤ワインのどの成分がエストロゲン・レセプター(ER)に対する親和性が最も高いかを調べた。赤ワインのエストロゲン活性は、リガンド結合および酵母トランス活性化分析にて測定するが、これは主としてER?への結合による。赤ワインの値は40〜140 nmol/Lに相当する。エストロゲン性はER?によるものは弱く、〜14 nmol/L相当であり、トランス活性は極めて低い。ケンフェロールとアピゲニンはER?に結合し、そのIC50は各々、5.1×10-8 Mおよび3.8×10-7 Mであった。トランス-リスベラトロールおよびケルセチンのIC50は各々、4.0×10-6 Mおよび1.1×10-6 Mであった。ナリンゲニンおよびミリセチンは親和性が低く、1.1×10-6 Mであった。殆どの物質はER?に対し親和性が低く、IC50は1×10-5 Mより大きいが、ケンフェロールとアピゲニンのIC50は各々、8.2×10-6 Mおよび2.3×10-6 Mであった。8種のワインを調べたところ、リスベラトロールのエストロゲン活性への寄与は2%であり、ケンフェロールの寄与が大きかった。従来の、赤ワインのエストロゲン活性はリスベラトロールによるとの考え方は変えるべきである。ワイン醸造家は赤ワインのER?リガンドの健康効果に注目し、官能評価を変えないで、ポリフェノール組成を最適化することを目指しても良い。
[英文要旨原文]


RESEARCH NOTE:
V. Gerbaux, C. Briffox, A. Dumont, and S. Krieger: Influence of Inoculation with Malolactic Bacteria on Volatile Phenols in Wines. pp. 233-235.
[マロラクティック細菌接種量のワイン揮発性フェノールへの影響]

マロラクティック発酵(MLF)はBrettanomyces酵母増殖を抑制し、ワインの品質維持に貢献する。MLFを行ったワインはBrettanomycesの増殖が阻害され、ワイン中に揮発性フェノールは、非常に低レベルか、検出されなかった。この現象は、実験室的にもワインセラーでも認められた。MLFが起きなかったワインでは、Brettanomycesの増殖が認められた。ワインに早くMLF細菌を接種することは、ワインの揮発性フェノール生産のリスクを下げると考えられる。
[英文要旨原文]


RESEARCH NOTE:
M. Vilanova, M. de la Fuente, M. Fernandez-Gonzalez, and A. Masa: Identification of New Synonymies in Minority Grapevine Cultivars from Galicia (Spain) using microsatellite Analysis. pp. 236-240.
[マイクロサテライトを用いたガリシア(スペイン)起源の少数派ブドウ栽培種の新しい異名の同定


ガリシア(北西スペイン)に生育する25種の栽培種とその他の6種の国際的栽培種を、その遺伝的な多様性と相互の関連性を評価するために分析した。6のマイクロサテライトマーカー(VVS2, VVMD5, VVMD7, VVMD27, ZAG62, ZAG79)から明らかになった23の異なった遺伝型の統計分析は,3の異なったグループがあることを示した。いくつかの新しい異名が,分析した少数派栽培種中で見つかった。すべての遺伝型を他のデータベースと比較した結果、さらに5の異名が見つかった。系統樹は、アクセッション間の遺伝的類似性を示し、それらの間のもっとも適切な関係を確立した。結果は,これら栽培種間の系統発生学的関連性を同定する方法としてフェノール化合物の多様性を使用することを示唆する以前の研究を確認し、補完し、新たな情報を与えた。
[英文要旨原文]


RESEARCH NOTE:
G.A. Gambetta, T.L. Rost, and M.A. Matthews: Passive Pathogen movement via open Xylem Conduits in Grapevine Graft unions. pp. 241-245.
[ブドウ接ぎ木融合部のオープン木部導管を通しての受動的な病害菌の移動]


ブドウ樹において、穂木と台木の接ぎ木は、病害耐性を付与し、ブドウ樹の生理的特性(樹勢、収量、果実組成を含む)を操作するための一般的な作業である。接ぎ木を成功させるためには、穂木と台木の維管束系を結合することが必要である。この結合の範囲と性質は、穂木と台木の間の維管束病原菌の移動における接ぎ木融合部の影響度を測定することで評価される。木部移動染色と木部限定病源細菌Xylella fastidiosaを用いて、我々は、接ぎ木融合部が受動的な病原菌移動を提供しているオープン木部導管を含むことを明らかにした。これらオープン導管は、接ぎ木ブドウ樹の地下組織における細菌の越冬、そして、それに続く生育シーズンにおける全体への感染を容易にしているであろう。
[英文要旨原文]


TECHNICAL BRIEF:
J.F. Harbertson, and M.O. Downey: Investigating Differences in Tannin levels Determined by methylcellulose and Protein Precipitation. pp. 246-249.
[メチルセルロースおよびタンパク沈殿定量によるタンニン・レベルの違い]


報告されているブドウ中の縮合タンニン定量法として、タンパク沈殿(BSA)法とメチルセルロース沈殿法があるが、結果が一致しなかった。相違は方法の違いと考え、抽出溶媒を同一に変え、沈殿物を再懸濁し、タンニン濃度を塩化第二鉄(FeCl3)と反応し定量した。シラーズとカベルネソービニヨン果皮タンニンのペレットはタンパクおよびメチルセルロースと沈殿し、トリエタノールアミン(5% v/v)とドデシル硫酸ナトリウム(10% w/v)を含む、水溶性緩衝液(pH 9.4)に容易に再懸濁できた。今までの報告と同様、50%(v/v)エタノール水溶液は70%アセトンと比べると、抽出率が低かった。全てのケースで、ブドウ果皮の計算されるタンニン濃度は、沈殿剤としてメチルセルロースを使用した場合、低かった。BSAよりメチルセルロースの分析値が低いが、この相違はサンプル、抽出溶媒、定量方法により比例的関係はなかった。以上より、メチルセルロースとBSAの沈殿するタンニンには、顕著な相違があることが示唆されたが、このタンニンの性質の相違は未だ明らかでない。
[英文要旨原文]


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