American Journal of Enology and Viticulture
       論文要旨 和訳


 

Volume 61 No.1 (2010)



J. Hakimi Rezaei and A.G. Reynolds: Characterization of Niagara Peninsula Cabernet franc Wines by Sensory Analysis. pp. 1-14.
[ナイアガラ半島のカベルネフラン・ワインの官能評 価による特徴]


ナイアガラ半島のカベルネフランについて、2005 年に9 種および2006 年に8 種のワインを試釀し、その違 いが、ナイアガラ地区の原産地呼称システムを支持するか調べた。訓練された12 名の審査員にて、6 種の香 味(赤果実、ブラックチェリー、黒すぐり、黒胡椒、ピーマン、サヤマメ)と3 種のマウスフィール(収斂 味、苦味、酸味)および色の強度について評価した。データは分散分析(ANOVA)、主成分分析(PCA)、 判別分析にて解析した。官能データのANOVA では、全ての官能特性について、地域による相違が示された。 2005 年産ワインについて、Ch. Des Charmes(CDC)、Henry of Pelham(HOP)、およびHernder 地区のワイン は、ANOVA で最も高い赤果実の香味を示した。Lakeshore、ナイアガラ河地区(Harbour、Reif、George、 Buis)のワインは、大河に近く、冷涼な気候のため、ピーマン、サヤマメの香味が高かった。2006 年産ワイ ンは、黒胡椒香を除き、全ての官能特性が異なった。PCA の結果、HOP とCDC 地域のワインは、赤果実、 黒すぐり、ブラックチェリーの香味、および黒胡椒の味が強かった。一方、Hernder、Morrison、George 地区 のワインはサヤマメの香味が強かった。Buis のワインは産地がオンタリオ湖に近く、冷涼であることから、 ピーマンの香味が高かった。2005 年産ワイン分析値のANOVA の結果、色調、色度、滴定酸度が地域により 異なった。2006 年産ワインは色調、色度、エタノール含有量が異なった。以上のデータから、ナイアガラ半 島内のサブ・アベラシオンにて、化学分析と官能評価で、ワインの相違を示すことが可能であることが示された。
[英文要旨原文]


J. Langlois, J. Ballester, E. Campo, C. Dacremont, and D. Peyron: Combining Olfactory and Gustatory Clues in the Judgment of Aging Potential of Red Wine by Wine Professionals. pp. 15-22.
[ワイン専門家による嗅覚と味覚を合併した赤ワイ ンの潜在熟成能の評価]


ヴァン・ド・ギャルドとは、熟成しておいしくなる ワインという概念であるが、ヴァン・ド・ギャルドの 要因として比較的重要な、嗅覚と味覚情報を決定する ことを目的とした。最初に、若いワインの潜在熟成能 の評価に寄与する嗅覚情報を調べた。ブルゴーニュの 専門家は鼻先で感じる(orthonasal)香りと全体として の評価により、2005 年ワインを26 の赤ワイン・カテ ゴリーに分けた。次に、潜在的熟成能を有するワイン として感じられる香りについて調べた。専門家により 潜在熟成能のあるワインとされた26 種の赤ワインに ついて、記述的評価の熟練者により香りを記述させた。 そして、鼻先官能評価を特異的香りとして、特徴付け た。最後に、潜在熟成能に香りと一緒に貢献する、味 とマウスフィールについて調べた。熟練官能記述パネ ルはワインの味(甘味、酸味、苦味)およびマウスフ ィール(アルコールと収斂味)も評価した。結果は、 専門家の潜在熟成能に関する判定に対し、香りは幾つ かの傾向(ヒント)を提供した。この嗅覚傾向は、幾 つかのワインの潜在的熟成能を評価するのに十分であ ったが、全てのワインは評価できなかった。嗅覚評価 から、潜在熟成能のあるワインは木質的、カラメル、 焦げた香り及びプルーンの香りを持つ傾向が示された。 味とマウスフィールも、潜在熟成能の専門家判定に傾 向を提供した。全体的評価で、潜在熟成能のある赤ワ インは、収斂味が高く、酸度が低かった。以上、専門 家は嗅覚と味覚を合体させ、潜在熟成能を評価してい ることが示された。ヴァン・ド・ギャルドには、広範 囲の複雑な官能的特徴(色、香り、味、マウスフィー ル)が関与している。
[英文要旨原文]


E.Chorti, S. Guidoni, A.Ferrandino, and V.Novello: Effect of Different Cluster Sunlight Exposure Levels on Ripening and Anthocyanin Accumulation in Nebbiolo Grapes. pp. 23-30.
[異なる果房日射条件がネッビオーロの成熟とアン トシアニン蓄積に及ぼす影響]


ネッビオーロの成熟期の果皮アントシアニン蓄積 における日射と温度の影響を調査した。2006 年と2007 年にプラスチックネットと除葉により5 種類の着果部位(Fruit-zone)への光照射条件を設定した。遮光処理 は着果〜ベレゾーン、着果〜収穫、ベレゾーン〜収穫 の3 つの期間を設けた。着果部位への遮光は1 樹当た り収量と果房重に影響を与えなかった。前半の着果部 位遮光は果粒発育を若干遅延させたが収穫期の果粒サ イズを低下させることはなかった。着果部位遮光は可 溶性固形物およびアントシアニン蓄積を減少させた。 概して果実への遮光は3-水酸化アントシアニン濃度を 減少させ、3,5-水酸化アントシアニンを増加させた。 着果部位の除葉は果粒の発達の遅延を引き起こしたが、 収穫時の果粒サイズ、果房重、収量には影響を与えな かった。過剰な日射は日焼け傷害を引き起こし、可溶 性固形物とアントシアニン蓄積量の増加をもたらさな かった。
[英文要旨原文]


M. Sanborn, C.G. Edwards, and C.F. Ross: Impact of Fining on Chemical and Sensory Properties of Washington State Chardonnay and Gewurztraminer Wines. pp. 31-41.
[ワシントン州シャルドネとゲヴュルツトラミナー・ ワインのファイニングが化学的・官能的性質に及ぼす 影響]


ファイニングがワシントン州白ワインに及ぼす化学 的、官能的影響を調べた。ファイニングされていない、 市販ワインのシャルドネとゲヴュルツトラミナーをベ ントナイト(1000 mg/L)、アイシングラス(60 mg/L)、 Sparkalloid(360 mg/L)、活性炭(450 mg/L)、全乳(500 mg/L)、あるいは小麦グルテン(400 mg/L)で処理し た。ドデカン酸エチルはシャルドネの処理で有意に異 なった唯一の揮発性化合物で、対照が0.031 mg/L と最 も高く、ベントナイト処理で0.017 mg/L と最も低かっ た。逆に、ゲヴュルツトラミナーでは処理により、多 くの揮発性化合物が有意に異なった。酢酸エチルは活 性炭処理で有意に最も高く(25.4 mg/L)、Sparkalloid 処理で最も低く(22.1 mg/L)なった。更に、ゲヴュル ツトラミナーの活性炭処理では、高級アルコール濃度 が高くなった。小麦グルテン処理では1-ヘキサノール、 3-メチル-1-酢酸ブタノールおよび2-メチル-1-ブタノ ール濃度が有意に減少した。ベンゼンエタノールは Sparkalloid、小麦グルテン、ベントナイト処理で有意 に低かった。逆に、ベンゼンエタノールはアイシング ラス処理(85.2 mg/L)と活性炭処理(74.7 mg/L)で最 も高かった。ゲヴュルツトラミナーのベントナイト処 理では、2-酢酸フェネチルとリナロールが最も低かっ た。両品種のワインにて、訓練していないパネルで、 デュオ-トリオ試験で処理による変化を評価したとこ ろ、危険率は> 0.05 で有意差は認められなかった。本 研究にて、ファイニング剤はワインに化学的・官能的 影響を与えることが証明され、ワインの品質を維持す るためには、最適なファイニング剤の選択が重要であ ることが示された。
[英文要旨原文]


S. Meillon, V. Dugas, C. Urbano, and P. Schlich: Preference and Acceptability of Partially Dealcoholized White and Red Wines by Consumers and Professionals. pp. 42-52.
[部分脱アルコール赤および白ワインの消費者およ び専門家の好みと受容度]


ワインの部分的脱アルコールの消費者評価と受容度 への影響を調べた。白ワイン2 種(シャルドネとソー ビニヨンブラン)および赤ワイン2 種(メルローとシ ラー)について、ブドウ品種により3 段階のアルコー ル濃度(14%から10%)になるように、逆浸透膜を使 用し、部分的に脱アルコールした。79 名のフランス人 消費者がワインを評価した。最初に、ブラインドで評 価し、次に情報を与えてから評価した。35 名のフラン ス人専門家も同じワインをブラインドで評価し、非公 式の10 の記述子について強度を評価した。ワイン専門 家は、低アルコールワインを官能的に好きではなかっ た。一方、消費者の好みは明確ではなく、強い区分け が出来なかった。経験のある消費者の好みは、ワイン 専門家と同様であり、低アルコールワインを好まなか った。ワイン専門家は、低アルコールワインを、ホッ トさが足りなく、甘く、味の持続性があり、標準ワイ ンよりバランスされていると評価した。脱アルコール の情報を一度与えると、消費者の好みは変わり、消費 者によって、情報が否定的あるいは肯定的に強調され た。以上より、官能評価や商品の好みについて、情報 供与の重要性が明らかとなった。
[英文要旨原文]


E. Aguera, M. Bes, A. Roy, C. Camarasa, and J.-M. Sablayrolles: Partial Removal of Ethanol during Fermentation to Obtain Reduced-Alcohol Wines. pp. 53-60.
[低アルコールワインを得るための発酵中のアルコ ール部分除去]


近年、低アルコール・ワインの要求が増大している。 低アルコール化には、ワインのアルコール抽出、マス トの糖濃度の減少など、様々な技術が知られている。 発酵中のエタノール抽出について、実用性と潜在的重 要性を調べた。100 L のパイロットスケールの発酵に て、減圧蒸留または炭酸ガスと一緒に除去する方法(ス トリッピング)で、発酵の中間点で2%のアルコール を除去した。酵母にとってストレスの多い方法である が、発酵経過にネガティブな影響はなかった。逆に、 阻害物除去のためと考えられるが、発酵速度は上昇し、 発酵は簡単に終了した。発酵中の2%アルコール除去 は、酵母の酸化還元代謝(グリセロール、酢酸)や香 気分子に由来する最終化合物濃度に影響した。両処理 は、揮発性物質の濃度を低下(フーゼルアルコール 25%、エステル類45%)させたが、これは、その後の 発酵で補うことができた。従って、対照と比べ最終的 な濃度は、逆にグリセロールが19%、イソブタノール が32%増加した。更に、脱アルコールあり、なしで官 能評価に有意差はなかった。但し、若干、ネガティブ なストリッピングによる影響があった。発酵中に、ス トリッピングまたは減圧蒸留にて2%のエタノールを 除去する方法は、製品の官能品質を低下させずにワイ ンのアルコール含有量を低下させる有望な手段である。
[英文要旨原文]


V. Pagay, and L. Cheng: Variability in Berry Maturation of Concord and Cabernet franc in a Cool Climate. pp. 61-67.
[冷涼気候下でのコンコードとカベルネ・フランの果 粒成熟における変動性]


果実の成熟における変動性がその成分組成と最終 的な品質に影響を及ぼす。試験は2006 年と2007 年に ニューヨーク州フィンガーレイクの2 か所の栽培園で 商業的に重要な赤色ブドウ品種コンコードとカベル ネ・フラン(CF)における生物学的変動性の程度を評 価するために行われた。ブドウ樹、果房および果粒に ついて果粒サイズ、変形率または柔軟性、着色、果房 重、および可溶性固形物における変動性を各要素の相 関係数を計算することで調査した。変動性は果実発育 の初期で最も高く、収穫期までにかなり減少した。収 穫時の果粒径の変動性はCF で11%程度であり、変形 率はコンコードで38%ほどであった。CF の果房重の 変動性は45%で、コンコードにおける可溶性固形物の 変動性は14%に達した。果粒径、変形率および着色の 変動性はコンコードでCF より高かったが、可溶性固 形物と果房重の変動性はCF で高かった。個々の果房 内では、果房の下部1/3 からの果粒は上部1/3 からの 果粒に比べかなり可溶性固形物含量が高かった。これ らの結果は、ブドウ園内で成熟の均一性の改善、収穫 前の予備調査計画の最適化、およびジュースまたはワ イン生産のための果房に最高品質の果実のみの選抜を 望む栽培者に価値がある。
[英文要旨原文]


V. Komar, E. Vigne, G. Demangeat, O. Lemaire, and M. Fuchs: Comparative Performance of Virus-Infected Vitis vinifera cv. Savagnin rose Grafted onto Three Rootstocks. pp. 68-73.
[3種類の台木に接ぎ木したウイルス感染したサヴァ ニャン・ロゼ(Savagnin rose)の相対的生産力]


3種類のVitis vinifera 品種サヴァニャンのクローンと 台木の感染状態が樹勢、収量および果実品質に及ぼす 複合的影響について1999年から2004年にかけて圃場で の反復実験を行った。サヴァニャン クローン 511は Grapevine leafroll-associated virus 1 (GLRaV-1) 、 Grapevine virus A (GVA)、Rupestris stem pitting-associated virus (RSPaV)、vein mosaic、および vein necrosis (virus combination 1)に感染し、クローン 511A は RSPaV、 vein mosaic、および vein necrosis (virus combination 2) に感染しており、クローン 511B は健全であった。全 体的に見て感染状態と台木(Vitis rupestris、Kober 5BB、 161-49 Couderc)の間でサヴァニャン・ロゼの3種のク ローンのブドウ栽培上の生産能力における有意な相互 作用は認められなかった。これらの知見はvirus combination 1と2に感染した穂木の栄養成長および生 産能力と台木Kober 5BB、V. rupestrisと161-49 Couderc におけるKober stem-grooving と rupestris stem-pitting syndromesに対する感受性の間に関連性がないことを 意味する。それにもかかわらず、virus combination 1は6 年連続で樹勢を19%〜23%、収量を42%〜54%低下さ せたが、いっぽう、virus combination 2は生長と生産力 に大きな影響を与えなかった。いずれのvirus combinationも果汁の可溶性固形物あるいは滴定酸に有 意な影響を及ぼさなかった。
[英文要旨原文]


A. Palliotti, O. Silvestroni, and D. Petoumenou: Seasonal Patterns of Growth Rate and Morphophysiological Features in Green Organs of Cabernet Sauvignon Grapevines. pp. 74-82.
[カベルネ・ソ−ビニヨンの緑色組織における生長速 度と形態生理学的特徴の季節パターン]


ブドウの茎、花序、および果粒の光合成と呼吸につい てよく知ることがソース/シンク率の役割の理解と樹 冠の炭素バランスのモデル化に役立つと思われる。気 孔と葉緑体の特徴と相対生長速度、絶対生長速度、ク ロロフィル濃度、クロロフィル蛍光および二酸化炭素 交換の季節的進展について圃場で育成しているカベル ネ・ソ−ビニヨンにおいて調査した。開花期では、花と 茎は主要な葉よりそれぞれ3倍および30倍低い気孔密 度であった。花序と果粒の葉緑体と異なり、茎の葉緑 体は明瞭なグラナを持ち、大きなデンプン粒を含んで いた。生長中の茎、花序および緑色果粒は良好な葉緑 体の機能とFv/Fm 収率が最大に近い(0.70-0.80)高い光 化学反応効率という特徴を示した。高い成長速度の期 間には、果粒と茎の呼吸速度は光条件と暗黒条件のい ずれにおいても高かった。光条件下では花序、果粒お よび茎における光合成の主要な役割は呼吸による二酸 化炭素の再同化であった。生育シーズンを通して茎、 花および果粒は大気中の二酸化炭素固定は行っていな かった。光条件では、これらの組織は呼吸で生産され た二酸化炭素の64%まで同化し、このことはブドウ樹 の炭素バランスに大きな貢献をすることができる。
[英文要旨原文]


L.H. Zinelabidine, A. Haddioui, G. Bravo, R. Arroyo-Garcia, and J.M. Martinez Zapater: Genetic Origins of Cultivated and Wild Grapevines from Morocco. pp. 83-90.
[モロッコの栽培および野生ブドウの遺伝的起源]


遺伝資源コレクションおよび圃場で栽培されてい たものと野生状態で発見された植物体からなるモロッ コのブドウ(Vitis vinifera L.)収集物遺伝子型の分析に 核および葉緑体マイクロサテライト遺伝子座を用いた。 モロッコのサンプル全体の遺伝的多様性は地中海周辺 の他の地域からの栽培ブドウにおいて報告されている ものに匹敵した。分析したサンプルにおいて優勢な葉 緑体タイプはA とC で、V. vinifera の分布する西と東 の地域で高率で検出された。モロッコでの収集系統と 他のブドウ品種における報告との比較は多数の異名同 品種の存在を示し、特にモロッコとスペインで栽培さ れる品種の間で顕著であり、このことは両地域の相互 交流の長い歴史を推定させた。モロッコのサンプル内 での遺伝的関係の分析は栽培系統と野生サンプルを区 別した。野生サンプルはV. vinifera ssp. sylvestris (Gmelin) Hegi の自然集団の残存系統を示すと考えられる葉緑 体タイプA、あるいは栽培品種に由来する系統、すな わち栽培ブドウ同士の自然交雑によって生じた古い品 種を代表すると考えられる葉緑体タイプCを保有して いた。全体として結果はモロッコにおける栽培および 野生ブドウの多様な遺伝的起源を示し、栽培および野 生ブドウ遺伝資源のさらなる収集と特徴づけの必要性 を強調している。
[英文要旨原文]


J. I. Santiago Hurtado, N. Lopez De Lerma, J. Moreno, and R.A. Peinado: Effect of Thermal Treatment and Oak Chips on the Volatile Composition of Pedro Ximenez Sweet Wines. pp. 91-95.
[加熱処理とオークチップのペドロヒ


メネス・スイー トワインの揮発成分への影響] 全体的な酸化熟成期間を短縮するため、若い、甘口 のペドロヒメネス・ワインを65℃で10、20、30 日間 処理した。熟成したペドロヒメネス・ワインの典型的 アロマ記述子に関連した揮発性アロマ化合物を GC/MS にて定量した。加熱処理中に、フルフラール誘 導体、ジヒドロマルトール、2,3-ジヒドロ-3,5-ジヒドロ -6-メチル-4H-ピラン-4-オンなど、メイラード反応生成 物が増加した。一方、2-メトキシ-4-ビニルフェノール など、他の物質は減少した。オークチップを含むワイ ンは、オークとバニラのアロマが増加した。以上、ペ ドロヒメネス・ワインの加熱処理は、酸化熟成期間を 短縮する有効な手段と思われ、生産コストも下がると 考えられる。
[英文要旨原文]


D. Esmenjaud, C. Van Ghelder, R. Voisin, L. Bordenave, S. Decroocq, A. Bouquet, and N. Ollat: Host Suitability of Vitis and Vitis-Muscadinia Material to the Nematode Xiphinema index over One to Four Years. pp. 96-101.
[Vitis属とVitis-Muscadinia属間雑種における4年にわ たる土壌センチュウXiphinema index に対する宿主適 合性]


オオハリセンチュウXiphinema indexは世界中のブド ウ園においてブドウ樹の段階的樹勢低下を引き起こす ブドウファンリーフウイルス(GFLV)を特異的に伝 搬する。センチュウ抵抗性台木は社会的非難を受けて いる殺センチュウ剤に対する代替手段となりうる。 我々は2つの独立した実験において制御環境下で40の ブドウ属およびVitis-Muscadinia属間雑種におけるX. index のisofemale line(採集された1匹の雌個体の子孫 の兄弟姉妹交配を続けることで得られる系統)Frejus に対する宿主適合性(繁殖率、RF)の評価について報 告する。実験1では、培養または挿し木から育成した17 系統について1から3年後に、4系統は4年後も評価を行 った。センチュウは対照の台木であるV. rupestris du Lot と V. riparia Gloire de Montpellierでそれぞれ、初期と後 半に増殖した。Vitis-Muscadinia属間雑種の中では、1 および3年後にVRH8624で高いRFを示し、いっぽう VRH8771およびNC35-50では1に近いRFとなった。セ ンチュウ抵抗性台木候補であるRPG1(=VRH 8771 x Vitis属台木140Ru)および属間交雑のVRH 97-99-79は1 年目より4年目でRFが有意に高くなり、このことはセ ンチュウが植物の抵抗性要素に漸進的な適応をするこ とを示唆する。ほとんどのVitis属系統は1年目および3 年目いずれにおいても高いRFを示した。低いRFが観察 された残りの系統では、根の発達が悪く、その結果と してセンチュウが宿主に食入するために根に接近する ことが困難なためだと思われた。実験2ではVitis属23 系統において3年目で評価したところ、低いRFと根の 発達不良を示した2-3の系統を除いて高いRFを示した。 以上のようにいくつかのマスカディンブドウ由来の属 間雑種は他の地理的起源から得たセンチュウで確かめ なくてはならないがセンチュウ抵抗性の供給源となり そうである。
[英文要旨原文]


F. Peduto, G. Marchi, and G. Surico: Indexing Agrobacterium vitis in Asymptomatic Grapevine Propagation Material by Two Nested PCR Assays. pp. 102-112.
[無病徴のブドウ繁殖材料における2種類のnested PCR法によるAgrobacterium vitisの指標づけ]


ブドウ癌腫の原因となるAgrobacterium vitisは苗木繁 殖材料に体系的に感染し、腫瘍誘導条件に至るまで無 病徴でいる。無病徴のブドウ組織から抽出した総DNA 中にA. vitisを検出することのできる感度が高く、特異 的診断ツールを2種類設定した。染色体遺伝子pehAと Tiプラスミド由来のvirAを標的とした2つの既存の標 準PCR検定法から始め、2つのnested PCR検定法を開発 した。これらの検定法は単純でしかし効率的なDNA抽 出と組み合わせることで感度が上昇した。供試した組 織(台木の枝または幹、根、緑枝、葉)の種類、組織 の生理的状態(休眠期の材料あるいは成長期の材料)、 あるいは当然それらと関連している細菌群集の組成な どにかかわらず、結果はnested PCR法が無病徴ブドウ 組織に存在するA. vitis DNAの検出において標準PCR 法より2〜5倍以上の効率を示した。全体の結果から、 病原体の存在が明らかとなった2つのサンプルの1つは A. vitisの腫瘍形成系統に感染していることが明らかと なり、病気の蔓延の危険を強調している。
[英文要旨原文]


P.E. Rolshausen, J.R. Urbez-Torres, S. Rooney-Latham, A. Eskalen, R.J. Smith, and W.D. Gubler: Evaluation of Pruning Wound Susceptibility and Protection Against Fungi Associated with Grapevine Trunk Diseases. pp. 113-119.
[ブドウ主幹病害に関連する菌に対する剪定傷の感 受性の評価と防御]


主幹病害は世界中のほぼすべてのレーズン、生食お よびワインブドウ生産地区においてブドウ園の寿命と 生産性を制限している。これらの病害を引き起こす菌 は最初に剪定傷から感染する。これらの病害を制御す る一つの方法は剪定傷を殺菌剤施用により防御するこ とであるが、それには登録資材の数が限定されている こと、それらの資材が分類的に関連性のない多数の微 生物を制御することの困難さ、傷が感受性を持つ期間 すべてを防御する資材という難題、防御資材を手作業 で施用することの困難さと費用という問題がある。 我々の目標は主幹病害に関連する様々な菌に対するブ ドウ樹の剪定傷の感受性を比較し、剪定傷防御剤とし て適用する場合に選択した殺菌剤におけるこれらの菌 の制御に対する効力の評価を行うことである。この研 究はカリフォルニア州ソノマ郡とコルサ郡にある2つ- のブドウ園において2年にわたり行った。Eutypa lata、 Botryosphaeria dothidea、Diplodia seriata、Dothiorella viticola 、Lasodiplodia theobromae 、Phaeomoniella chlamydospora、Pleurostomophora richardsiae、Togninia minima、および Phaeoacremonium parasiticumの9種の 病原菌を試験した。結果はこれらの菌による剪定傷で の感染率は異なることが示された。Botryosphaeriaceae 科の種が最も感染性が強く、T. minima、P. parasiticum、 P. richardsiae、および E. lataは感染性が小さく、P. chlamydosporaは中程度の感染性であった。4種類の殺 菌剤1% Topsin M(トップジンM)、Biopaste(5% boric acid in a wound-sealingpaste)、 1% Cabrio EG(カルビ オ)、 および Garrison(ガリソン)を試験した。結果 はこれらの資材ですべての範囲の菌を有効に制御する ことの困難さを強調するものであったが、トップジン Mが全体を通して最も効果を持つ資材であった。
[英文要旨原文]


RESEARCH NOTE:
J.Y. Takemoto, M. Bensaci, A.J. De Lucca, T.E. Cleveland, N.R. Gandhi, and V.P. Skebba: Inhibition of Fungi from Diseased Grape by Syringomycin E-Rhamnolipid Mixture. pp. 120-124.
[シリンゴマイシンE-ラムノシドによる病害ブドウ 由来カビの阻害]


ブドウのカビによる疾病は、ワインの収量と官能評 価を落とす。従って、より効果的なカビ抑制手段が求 められる。新規リポペプチド抗カビ剤の病害抑制効果 の評価を目的とした。ラムノリピド(RL)とリポデプ シノナペプチドであるシリンゴマイシンE(SRE)の 混合物は、ルイジアナのブドウ園で重篤に感染したブ ドウ果実および茎より分離したカビに対し、SRE 単独 より阻害活性が高かった。試験したカビはAspergillus japonicus, Cladosporium cladosporioides 、Curvularia branchyspora、Greeneria uvicola、Nigrospora sphaerica、 Trichoderma sp.、Penicillium sclerotiorum、P. thomii であ った。これらのカビの発芽分生子の50%阻害濃度は、 SRE 単独で0.75〜3 mMであり、SRE + RL では0.75〜1 mMであった。非発芽分生子ではC. brachyspora だけが、 SRE 単独またはSRE + RL で50%死滅(< 1 mM SRE) を示した。RL 単独では発芽または非発芽分生子に効 果はなかった。以上より、SRE は抗カビスペクトルが 広く、強力な抗カビ活性を示した。また、RL と併用 すると、ブドウ病害カビ分生子の発芽段階に対し、死 滅率の向上が認められた。
[英文要旨原文]


RESEARCH NOTE:
C. Adams, and H.J.J. van Vuuren: Effect of Timing of Diammonium Phosphate Addition to Fermenting Grape Must on the Production of Ethyl Carbamate in Wine. pp. 125-129.
[マスト発酵における燐酸二アンモニウム添加タイ ミングとカルバミン酸エチルの生成]


ブドウマストには、スタックを防ぐため、しばしば 燐酸二アンモニウム(DAP)が添加される。マストへ のDAP の添加時期が、ワインのカルバミン酸エチル (EC)生成量に大きく影響する。EC 生成は使用酵母 によっても大きく異なる。発酵初期にDAP を添加す ると、Pasteur Red はEC 生成量が少ない。一方、522 では発酵後期にDAP を添加すると、EC 生成量が少な い。EC1118 では、DAP の添加時期でEC の生成量に 影響が少ない。代謝的に強化された酵母株、Pasteur RedEC-、500 EC-、EC1118 EC-は構成的にDUR1,2 を発現 するが、これらの株はDAP の添加時期によらず、EC 生成量が顕著に少なかった。
[英文要旨原文]


RESEARCH NOTE:
D.L. Hammons, S.K. Kurtural, and D.A. Potter: Japanese Beetle Defoliation Reduces Primary Bud Cold Hardiness during Vineyard Establishment. pp. 130-134.
[マメコガネによる除葉はブドウ園開設期における 主芽の耐寒性を低下させる]


昆虫による除葉が若齢ブドウ樹の冬の耐寒性を低 下させると考えられるが、そのような効果は圃場で生 育するブドウ樹においてこれまでに定量されたことは ない。マメコガネ(JB)の除葉によるノートン(Norton)、 シャンブルサン(Chambourcin)および カベルネ・ソー ビニヨンの厳冬期における主芽の耐寒性に対する影響 をブドウ園の定植時の最初の2年間調査した。初年度は 新梢長および周皮の褐色化に及ぼす効果について晩秋 まで調査した。複数の除葉レベルとする3つの処理、す なわち殺虫剤カルバリル(carbaryl)をJBの飛来期間(6 月中旬から8月中旬)に7日ごとあるいは14日ごと散布 する区、および殺虫剤無処理区を設定した。休眠枝切 り枝について2月に制御条件下での凍結ストレスを与 え、主芽が50%致死する温度(LT50)を品種と処理区 の間で比較した。3品種すべてJBによる除葉は同じレ ベルに維持され、農薬散布7日ごと、14日ごと、散布な しでそれぞれ軽度(3-8%)、中程度(13-26%)、強 度(38-48%)の範囲となった。ノートンとシャンブル サンの主芽は2年ともにカベルネ・ソ−ビニヨンより耐 寒性が強かった(LT50が低かった)。無散布区におけ るJBによる除葉は1年あるいは両年における3品種の 耐寒性を有意に低下させた。特に2週ごとの散布区での ブドウ樹の耐寒性の対するJBによる除葉の悪影響を 軽減する効果は1週ごとの散布区と同程度であった。除 葉は1年目の樹の新梢長を低下させ、生育期後半の早い 段階での生長停止が関係していると思われる。これま では報告されていなかったJBによる傷害がブドウ幼 樹の耐寒性を低下させる可能性は、JBがより強い打撃 を与える重大なブドウ害虫として憂慮される。
[英文要旨原文]


RESEARCH NOTE:
M. Perez-Gilabert, E. Tellez, F. Garcia-Carmona: Extraction and Partial Purification of β-Galactosidase from Grape Berry Skin (Vitis vinifera L.) with Triton X-114. pp. 135-139.
[トリトンX-114によるブドウ(Vitis vinifera L.)果皮 からのβ-ガラクトシダーゼの抽出と部分的精製]


モナストル(Monastrell)ブドウ果皮はガラクトース を高い比率で含有し、β-ガラクトシダーゼ活性が低い と思われる。この酵素の特性はほとんど知られていな い。ブドウ果皮からβ-ガラクトシダーゼを抽出し部分 精製する簡便な方法を提案した。この酵素の反応速度 特性は他の果実のβ-ガラクトシダーゼのそれに匹敵す る。この方法はトリトンX-114(非イオン系界面活性 剤)の果皮成分の可溶化により酵素を遊離させる、ほ とんどのフェノール物質と疎水性たんぱく質を除去す るという二つの効果により、比活性を56倍に上昇させ た。提案した方法はブドウ果粒成熟期間にこの酵素の 容易な抽出と部分精製をするために有効であると考え られる。
[英文要旨原文]


TECHNICAL BRIEF:
T. Preszler, T.M. Schmit, and J.E. Vanden Heuvel: A Model to Establish Economically Sustainable Cluster-Thinning Practices. pp. 140-146.
[経済的に持続性のある摘房法を確立するモデル]


摘房はブドウ樹の着果負担を軽減し、ワインの品質 を左右する可溶性固形物のような成熟パラメーターを 高める。しばしば圃場では何らかの特殊性もなく実行 され、その実用性は生産コストの増大と収量の損失と いう理由で疑問視される。一般的に利用できる収量と コストのデータを、ブドウ品質と支払意志額調査にお ける推測したパラメーターに結び付ける新しい分析方 法を導入した。結果は生産者が正確で定量的な意思決 定の枠組みの中で最適の収量と価格を算出することが できる注文に合わせた経営モデルとなる。
[英文要旨原文]




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