American Journal of Enology and Viticulture
       論文要旨 和訳


 
Volume 61, No.2 (2010)
P.A. Skinkis, B.P. Bordelon, and E.M. Butz
Effects of Sunlight Exposure on Berry and Wine Monoterpenes and Sensory Characteristics of Traminette
pp. 147-156 [
英文要旨原文]
[果実やワインのモノテルペンと、トラミネット種の官能特性に対する太陽光暴露の影響]
トラミネットはアメリカ東部で栽培される、耐寒性があるゲヴュルツトラミナーのハイブリッドブドウである。2003~2005年の研究で、果実やワインのアロマ特性に関するキャノピーマネジメントの影響を調査した。葉層(0、1、2、>3)下の果房の遮光処理と人工カバー(温室の遮光布やリンゴ用遮光袋)をフィールド試験で実施し、果実の組成やワインの官能評価を行った。完全に光に晒した果実は、きつく遮光した果実(>3葉層)と比べて、揮発性テルペン濃度が約30%高かった。記述式分析では、光に晒した2004年産ワインで、色、リナロール、バラ、スパイス香の点数が高かった。2005年産についてはワインのアロマ強度に差がなかった。果皮の色は揮発性テルペン濃度と相関し、収穫時のモノテルペン濃度を評価するフィールドガイドに使用できるかもしれない。

B. Fernandez de Simon, E. Cadahia, I. Muino, M. Del Alamo, and I. Nevares
Volatile Composition of Toasted Oak Chips and Staves and of Red Wine Aged with Them
pp. 57-165 [
英文要旨原文]
[トーストしたオークチップやオーク板片と、それらを使用して熟成させた赤ワインの揮発成分組成]
スパニッシュオーク(Quercus pyrenaica)、フレンチオーク(Quercus petraea)、アメリカンオーク(Quercus alba)のチップや板片で人工的に熟成させたスペインワインの樽材から遊離した芳香性成分の評価をGC-MCによって検討した。オーク材の揮発性成分も 検討した。スパニッシュQ. pyrenaicaオークで熟成させたワインは、フレンチオークやアメリカンオークで熟成させたワインと同様であったが、オーク由来の特徴にわずかに違いがあった。木片の大きさはオーク品種よりもワインの揮発性成分に影響を与えるように思えた。それだけでなく、樽材の各タイプや木片の各大きさにより、特殊な抽出挙動を示した。チップで熟成させたワインは、樽材と接触させてから70日後に安定になり、より長い期間後に標準化できた。板片で熟成させたワインでは、浸漬された全期間中および壜内で発生した。この成分発生はゆっくりと起こるが、おそらくは樽材中のワインの浸透の遅さ、ワインと樽材の間の濃度勾配やトーストした板片が供給できる成分がかなり寄与するためであろう。一般的に、ワイン間のオーク関連揮発成分における違いは、熟成させるワインに使用される樽材の揮発成分組成を考慮すると、ワインと接触させる前に予想できる。従って、樽材の揮発成分の分析が重要であることが確認できた。スパニッシュオークで処理したワインは、特に板片を使用した時に、フレンチオークやアメリカンオークで処理した同じワインよりも、cis-β-メチル-γ-オクタラクトンやオイゲノールが多かった。

J.C. Danilewicz and P.J. Wallbridge
Further Studies on the Mechanism of Interaction of Polyphenols, Oxygen, and Sulfite in Wine
pp. 166-175 [
英文要旨原文]
[ワイン中に存在するポリフェノール、酸素、亜硫酸の相互作用のメカニズムに関する更なる研究]
銅と関係した鉄がワインの酸化工程における必須触媒であるという、更なる証拠を紹介する。モデルのポリフェノール、4-メチルカテコール(4-MeC)は、これらの金属がモデルワイン中に添加されないと有意な速度で酸素と反応しないことが示された。同様に、亜硫酸の自動酸化はラジカルな連鎖反応であるが、この自動酸化はこれらの金属に依存することが分かった。しかし、ポリフェノールのフリーラジカル捕捉活性はフリーラジカルの連鎖反応を阻止するので、亜硫酸は酸素と直接反応できず、ポリフェノールが酸化する時に生成される過酸化水素と反応する。(+)-カテキンの鉄触媒自動酸化は銅によって著しく促進され、鉄の酸化還元サイクルを促進する。これらの金属をワインに添加すると、酸素との反応を促進させるが、フェロシアン化カリウムで金属を除去すると、酸化を遅くし、白ワイン中では完全に酸化を阻止することができる。モデルワイン中の(+)-カテキンの自動酸化において、亜硫酸の反応速度は(+)-カテキン濃度に依存し、(*)-エピカテキンが酸化する時により速くなる。カテコールに対する亜硫酸の反応速度依存性は、カテコールが生成する過酸化水素と亜硫酸が反応していると立証されている。しかし、(+)-カテキンや(*)-エピカテキンが酸化される時の濃度変化を測定することによって、亜硫酸が大きくキノンを減少させ、元々のカテコールに戻すことが明白である。(+)-カテキン、亜硫酸、ベンゼンスルフィン酸は酸素消費を著しく促進するが、ポリフェノールの酸化速度は求核剤に依存することを示し、キノンと反応することによって、カテコール-鉄の可逆的な酸化還元相互作用の全過程進行を置き換えることを示唆している。

H. Kobayashi, H. Takase, K. Kaneko, F. Tanzawa, R. Takata, S. Suzuki, and T. Konno
Analysis of S-3-(Hexan-1-ol)-Glutathione and S-3-(Hexan-1-ol)-L-Cysteine in Vitis vinifera L. cv. Koshu for Aromatic Wines
pp. 176-185 [
英文要旨原文]
[甲州アロマティックワインのためのS-3-(ヘキサン-1-オール)-グルタチオンおよびS-3-(ヘキサン-1-オール)-システインの分析]
液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析法を用いて、4つのブドウ園で栽培した甲州ブドウ果実中のS-3-(ヘキサン-1-オール)-グルタチオン(3MH-S-glut)および S-3-(ヘキサン-l-オール)-システイン(3MH-S-cys)濃度を分析した。市販酵母が3MH-S-glut および 3MH-S-cys を3-メルカプトヘキサン-1-オール(3MH)および3-メルカプトヘキシル アセテート(3MHA)に変換したことから、3MH-S-glutおよび3MH-S-cysはともに3MHの前駆体であることが示唆された。モデル醸造試験では、3MH-S-glutよりも3MH-S-cysから効果的にチオール基を有する香気成分が生成された。開花後11週において、3MH-S-glutおよび3MH-S-cysは梗や種子には蓄積しておらず、葉や果実で蓄積していた。成熟段階を通して、調査した器官の中で、葉が最も3MH-S-glutおよび MH-S-cysを蓄積した。甲州の果汁では、3MH-S-glutおよび3MH-S-cys の蓄積量のピークはともに開花後16週から18週に確認され、その後、減少した。栽培環境もまた、果実内の3MH-S-glutおよび3MH-S-cysの蓄積量に影響した。果実内の3MH-S-glutおよび3MH-S-cys蓄積は、最も標高の低い甲府で早く、最も標高の高い韮崎で遅かった。これらの知見は、甲州ワインの品種香を強くする香り前駆体を多く蓄積する果実を収穫するための栽培技術の向上に貢献することが期待される。

L. Bavaresco, M.I. van Zeller de Macedo Basto Goncalves, S. Civardi, M. Gatti, and F. Ferrari
Effects of Traditional and New Methods on Overcoming Lime-Induced Chlorosis of Grapevine
pp. 186-190 [
英文要旨原文]
[石灰が引き起こすブドウ樹の退緑化を抑えるための伝統的な方法および新法の比較]
3309C台木に接ぎ木したメルローR3系統を石灰質土壌あるいは非石灰質土壌でポット栽培を行った。石灰質土壌で栽培するブドウ樹には、鉄キレート剤(EDDHA)の土壌への添加、ウシノケグサ(Festuca ovina 品種オーロラゴールド)を用いた被覆、あるいは、藍鉄鉱(vivianite、リン酸鉄)の土壌への添加という3つの処理を行った。ベレゾーン期に梢の成長を記録し、若い葉に出現した退緑化とその葉に含まれるミネラルを分析した。収穫量および果実成分(可溶性固形物、滴定酸度、酒石酸、アントシアニン、ポリフェノール、スティルベン)は収穫期に調査した。すべての処理は、石灰質土壌で栽培した無処理のブドウ樹に比べ、退緑化を軽減した。収穫量および可溶性固形物は処理の影響を受けなかった一方、酸度、アントシアニンおよびポリフェノールは、処理方法に依存して、効果を示した。トランス‐レスベラトロール濃度はすべての処理で減少した。以上の結果から、ウシノケグサによる管理は、キレートやリン酸鉄による土壌処理に比べ、石灰による退緑化を抑えるための最も効果的で適した方法であると思われた。

Z. Guadalupe, L. Martinez, and B. Ayestaran
Yeast Mannoproteins in Red Winemaking: Effect on Polysaccharide, Polyphenolic, and Color Composition
pp. 191-200 [
英文要旨原文]
[赤ワイン醸造における酵母のマンノプロテイン:ポリサッカライド、ポリフェノール、色組成に対する影響]
マンノプロテインを主成分とした多くの製品や酵母の過剰生産は、ワイン醸造に利用可能であるが、科学的研究では、赤ワイン組成に対するそれらの使用や影響について殆ど報告されていない。テンプラニーニョワイン醸造に対する選択的マンノプロテイン過剰生産酵母の影響を研究し、その結果を、発酵前に市販のマンノプロテイン製剤を添加することによって得られた結果と比較した。ワインは伝統的なワイン醸造技術を利用して調製した。ポリサッカライドは抽出し、高性能サイズ排除クロマトグラフィーで分画し、酸メタノール分解と誘導化を行った後、水素炎イオン化検出器を有するガスクロマトグラフィーで定量した。ポリフェノールはゲル浸透クロマトグラフィーで分画し、モノマーフェノールをフォトダイオード検出器を有する高速液体クロマトグラフィーで分析した。プロアントシアニジンはバニリン法で分析した。色は分光光度法で測定した。マンノプロテイン過剰生産酵母はマセレーション中に、高分子マンノプロテイン含量を大きく増加させた。ブドウポリサッカライド、モノマーフェノールまたは色パラメーターに関しては差異がなかったが、プロアントシアニジン含量は過剰生産酵母を使用した時に顕著に減少した。ワインカラーを除き、酵母から遊離されたマンノプロテインは、市販のマンノプロテインと同じ効果をもたらした。ワインメーカーは、赤ワインの収斂味を減少させたり、ワインのスムーズさやコクを増やすため、2方法のどちらかを選ぶことができるが、市販のマンノプロテインは、赤ワインの安定な色の減少を引き起こすかもしれない。

J.R. Morris and G.L. Main
Response of Concord Grapevines to Varied Shoot Positioning and Pruning Methods in a Warm, Long-Season Growing Region
pp. 201-213 [
英文要旨原文]
[暖かな季節が長い土地におけるシュートポジショニングと選定方法に対するコンコードの反応]
ブドウ園の機械化を展開するためには、剪定方法とともにシュートポジショニングの評価が必要である。シュートポジショニングと剪定について、Geneva double curtainで仕立てられたコンコードで8年間試験した。シュートポジショニング(なし、センター、機械、手作業)と冬季剪定(手作業 30+10および50+10)、60節(MP60)あるいは80節(MP80)に調整した機械剪定、摘果とともに行った機械剪定、(MPFT)および、無調整の機械剪定(MPNA)を試みた。機械および手作業でのシュートポジショニングでは、シュートポジショニングを行わなかった場合に比べ、収穫量の増大、剪定量の減少、果汁の低 pH という結果となった。キャノピーのセンターでシュートポジショニングした場合(Center-SP)は収穫量にほとんど影響せず、MPNAはシュートポジショニングによりわずかに影響した。シュートポジショニングを行わなかった場合に比べ、機械および手作業でのシュートポジショニングでは、収穫量がブドウ樹あたり2.7 kgから6.7 kgに増加した。樹形もまた収穫量増加に関与する仕組みに影響を及ぼした。節あたりの収穫量は手作業のシュートポジショニング(30+10および50+10)で56%増加する一方、MP60およびMP80では、30から38%収穫量が増加した。手作業でのシュートポジショニングとMPFTの組み合わせで収穫量が増加したのは、節数と房数によるものであった。機械および手作業でのシュートポジショニングの影響は、節数を調整したブドウ樹において節あたりの収穫量が60から115%増加したのにともない、剪定量が増加し、結果量が比較的少なかった一年後により明確となった。シュートポジショニングは、果汁の可溶性固形物あるいは色にほとんど影響しなかったが、果汁pHは減少させた。手作業でのシュートポジショニングは、シュートポジショニングを行わなかった場合に比べ、節数を調整したブドウ樹において、30から60%まで剪定量を減少した。機械でのシュートポジショニングは、Center-SPよりも、試験したすべての剪定方法で収穫量および品質で優れており、ブドウ園の機械化に組み込むことが可能である。

J.C. Santana, M. Heuertz, C. Arranz, J.A. Rubio, J.M. Martinez-Zapater, and E. Hidalgo
Genetic Structure, Origins, and Relationships of Grapevine Cultivars from the Castilian Plateau of Spain
pp. 214-224 [
英文要旨原文]
[スペイン カスティーリャ高原のブドウ品種の遺伝構造、起源および相関関係]
GENRES 081プロジェクトによって品種同定用に設定された6個の核ゲノムマイクロサテライト(121の遺伝子型を生じる)を用いて、スペイン中北西部にあるカスティーリャ高原から集めた421の栽培種と4つの真偽の疑わしい野生種の遺伝子型を決定した。栽培種のデータのうち、300は重複したサンプルであり、13は異物同吊、27は未報告の遺伝子型を生じていた。非冗長遺伝子型は4分の1程度であった。非冗長遺伝子型については、他の16個の核ゲノムマイクロサテライトおよび3個の葉緑体ゲノムマイクロサテライトを用いて更に解析を行った。その結果、3つの異なる遺伝子クラスターがそれらの間で検出された。1つ目のクラスターは、Muscat型系統とVitis種間雑種から成り、2つ目はフランスおよび西カスティーリャ高原からの系統、3つ目は、地方のテーブル・ブドウと中央カスティーリャ高原からの系統から構成された。西カスティーリャ高原からの系統間およびフランス品種との類似性は、サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼ルートに沿って伝わったことを示唆する。中央カスティーリャ高原の白ブドウ品種もまた非常に類似していた。葉緑体ゲノムによるデータは、未公表の遺伝子型やカスティーリャ原産品種は、在来品種が起源である、あるいは伝来品種と在来品種間の交雑から生じていることを示唆した。形態学的特徴および対立遺伝子の構成から、原生地から収拾した4つの野生型サンプルのうち3つはお互いに良く似ており、本物の野生種Vitis vinifera ssp. sylvestris であると思われた。

M. Lambri, R. Dordoni, A. Silva, and D.M. De Faveri
Effect of Bentonite Fining on Odor-Active Compounds in Two Different White Wine Styles
pp. 225-233 [
英文要旨原文]
[異なる2スタイル白ワインにおけるベントナイト処理の香気活性物質への影響]
ベントナイト処理は、濁りの原因となるタンパクを除去するワインの清澄化方法として、業界で普通に行われる。陽性荷電のハイドロコロイドの共凝集と吸着があるため、ベントナイトはタンパクだけでなく、他の分子とも相互作用する。一般的に、清澄化の間、ベントナイトの二次的非特異的作用として、アロマが減少する。しかし、その白ワインにおける機構および発生について、良く分かっていない。2種のワインについて、3サンプルのNaベントナイトを3濃度レベルにて清澄化処理を行い、香気物質に対する影響を調べた。異なる醸造法でシャルドネ・ワインを製造し、2スタイルのワインを調製した。酵母滓上での熟成期間を変え、2種のタンパク含量のワインを調製した。ワインのベントナイト処理間、ベントナイト濃度、ベントナイト・サンプル、ワイン・スタイルにより、香気成分の減少割合は大きく影響された。殆どの揮発成分は、弱いタンパクとの相互作用のため、ベントナイトで間接的に除去された。ベントナイトの直接吸着による減少は、僅かの香気物質であった。更に、ワインの安定化に必要な低濃度のベントナイトは、殆どの香気成分に影響しなかった。以上の結果より、ベントナイトによるワイン香気成分の減少は、香気成分の化学的性質、疎水性、初発濃度、およびワイン・タンパク濃度と性質の「マトリックス因子《によることが示唆された。

D.W. Ramming
Greenhouse Screening of Grape Rootstock Populations to Determine Inheritance of Resistance to Phylloxera
pp. 234-239 [
英文要旨原文]
[フィロキセラに対する抵抗性が遺伝するか確認するための温室内台木選抜]
フィロキセラは、ソノマおよびナパで1880年に発見されて依頼、カリフォルニアで最も重要な害虫である。フィロキセラ抵抗性台木と生殖質は東アメリカに自生したアメリカブドウ種から選抜された。フィロキセラ抵抗性台木の改良を目指した育種計画は19世紀後期に始まった。フィロキセラに対する抵抗性はいくつかの遺伝子によって制御されていることが報告された。フィロキセラに対する抵抗性の遺伝様式に焦点を当てるため、フィロキセラによって形成される根瘤を指標に、温室内台木選抜法を使用した。各種バイオタイプの複雑性を減少するために、フレズノ郡から得たフィロキセラ バイオタイプAだけを使用した。温室試験の信頼性を検討するために、フィロキセラに対する野外での反応が知られている台木もまた評価した。抵抗性から感受性の幅広いオス台木およびメス台木間で総当り交配実験を行った。各子孫のフィロキセラに対する反応を温室内で観察した。いくつかの例外はあったが、すべての個体群は抵抗性/感受性に分離された。2つの感受性遺伝子型と交配したDog Ridgeの子孫はすべて感受性であった。感受性あるいは抵抗性遺伝子型と交配したKober 5BBの子孫はすべて抵抗性であった。以上の結果から、根瘤の成長に対する抵抗性の分離パターンは2つの相補する優性遺伝子によって説明することが可能であった。

R.M. Sweet and R.P. Schreiner
Alleyway Cover Crops Have Little Influence on Pinot noir Grapevines (Vitis vinifera L.) in Two Western Oregon Vineyards
pp. 240-252 [
英文要旨原文]
[西オレゴンの2つのワイン園では畝間の被覆作物はピノノアールにほとんど影響しない]
春と夏に刈り取られる畝間の被覆椊物が水や栄養をブドウ樹と競合して摂り合うかどうか調査するために、北ウイラメットヴァレーの2つのブドウ園のピノノアールにおいて、2年以上にわたり、7種類の被覆椊物処理を比較した。2004年および2005年に、異なる被覆椊物を混合したもの5種類を、被覆なしおよび通常の椊生のものと比較した。評価方法は、バイオマス、窒素量、雑草の抑制、土壌水分含有量である。異なる表層管理に対するブドウ樹の反応として、梢の成長、水分および栄養状態、収穫量、果汁品質を計測した。3つの処理においては、細根および菌根菌による根粒形成に及ぼす影響も評価した。ペレニアルグラスとクローバーを混栽した場合、最も土壌水分含量が低かったが、各々の圃場で、被覆椊物は土壌水分に影響を及ぼした。常に窒素含有量が変化したわけではないが、ひとつの圃場において、被覆椊物処理は開花期の葉身の窒素含有量および収穫期の果汁中の窒素含有量に影響を及ぼした。被覆椊物は梢の成長、剪定量、葉の水ポテンシャル、細根密度、菌根菌による根粒形成に影響せず、収穫量、房重量、果汁の可溶性固形物、pH、滴定酸度にも影響しなかった。これらの結果は、春および夏に刈り取られることで管理されている畝間の被覆椊物は、西オレゴンのブドウ園で栽培されているピノノアールに影響を及ぼさないことを示し、被覆椊物とブドウ樹との競合はほとんど起こっていないことを示唆する。今後、クローバーあるいはペレニアルグラスを主とする被覆椊物の更なる研究が必要であろう。

B.C. Trela
Iron Stabilization with Phytic Acid in Model Wine and Wine
pp. 253-259 [
英文要旨原文]
[モデルワインとワインにおけるフィチン酸による鉄安定化]
鉄のような多価金属カチオンは、ワインや飲料に高濃度で存在すると、金属味、変色、濁りや曇りといった上愉快な官能的、物理化学的性質を生ずる。飲料、特にワインにおいては、金属濃度の減少は、長い間要望されている。本研究では、多価鉄カチオンをフィチン酸でキレートする為、フィチン酸と鉄カチオンがモル比1:1になるように、赤、白、モデルワインに、1 mg/Lの鉄に対し、0.018 mMまたは11.8 mg/Lのフィチン酸を添加した。その後、キレート複合体を定量的に共沈させるため、フィチン酸に対するカルシウムのモル比5:1、即ち、1 mg/Lの鉄に対し、9.0 mg/LのCaCO3を添加し、その後、濾過により沈殿を除去した。本方法は、ワイン、発泡ワイン、他の飲料の過剰な鉄を除去でき、従来の方法の問題を克朊できる。この方法では、可能性のある殆どの鉄と結合し、過度の清澄となるかもしれないが、毒性の無い飲料を製造できる。この方法は、鉄とカルシウム・イオンに特異的で、銅やカリウム・イオンには作用しない。色調とフェノール化合物に対する影響を調べた結果、フィチン酸と炭酸カルシウム処理は、分光光学的に余り影響しなかった。本処理で滴定酸度とpHが少し変化したが、この相違は、更なるワインの処理工程で消失すると思われる。

A. Scacco, C.M. Lanza, A. Mazzaglia, G. Tripodi, G. Dima, and A. Verzera
Correlation between Aroma Compounds and Sensory Properties of Passito Malvasia Wines Produced in Sicily
pp. 260-265 [
英文要旨原文]
[シチリア島で生産されたPassito Malvasiaワインのアロマ化合物と官能的性質の相関]
イタリアのシチリア島産のマルバシアワインについて、官能的、化学的性質を調べた。揮発性香気成分は、官能的寄与成分と密接に関連し、消費者のワイン評価に極めて重要である。ブドウやワイン醸造に関係している、アルコール、エステル、酸、アルデヒド、ケトン、テルペンなどの共存が、ワインのユニークさを決める。16吊の訓練パネリストにより、Passito Malvasiaワインの外観、味、アロマとフレーバーを評価した。香気成分はSPME-GC-MSにて分析した。標準物質添加法にて、40種のエステル、脂肪酸、アルコール、アルデヒド、炭化水素、テルペン、芳香族およびヘテロ環化合物を同定、定量した。このデータと官能データの相関を調べた。この二つの方法にて、マルバシアワインの幾つかの一般的性質が同定された。

G.S. Dangl, R. Raiche, S. Sim, J. Yang, and D.A. Golino
Genetic Composition of the Ornamental Grape Roger’s Red
pp. 266-271 [
英文要旨原文]
[観賞用ブドウRoger’s Redの遺伝子構成]
Roger’s Redは深紅色の紅葉が珍重される観賞用のブドウ品種である。それは北部カリフォルニア州の野生ブドウから選抜され、自生のVitis californicaの一変異系統と考えられてきた。Roger’s Redは赤い果肉と果汁を持つが、V. californicaの自生種にそのような系統は存在しない。11種のSSRマーカー分析はRoger’s RedがV. californicaとV. vinifera品種Alicante Bouschetとの雑種であることを示した。Alicante Bouschetは赤い果肉と果汁を持つ着色用品種で、Roger’s Redが最初に選抜された地域において長い歴史的な栽培がされてきた。

Y. Guisard, C.J. Birch, and D. Tesic
Predicting the Leaf Area of Vitis vinifera L. cvs. Cabernet Sauvignon and Shiraz
pp. 272-277 [
英文要旨原文]
[カベルネ・ソービニヨンとシラー(Vitis vinifera L.)の葉面積予測]
ブドウ葉身の面積測定は多くのブドウ樹成長モデルや土壌*椊物*大気連続体の量的研究における入力データとして必須である。ブドウ(品種カベルネ・ソーブニヨンとシラー)の葉のスキャンデータ300点をブドウ樹の葉面積を予測する相対成長測定の統計的モデルを決定し、比較するために用いた。平均絶対値誤差(MAE)、平均平方誤差(RMSE)および(RMSE*MAE)を識別基準として使用した。文献から引用した6種類のモデルを6つまでの予測変数を用いてステップワイズ回帰法により比較した。遺伝的モデルは園地と品種のすべてにわたるデータを統合して計算した。Queensland(ステップワイズ回帰)法は最も成績がよく、次いでElsner2およびMontero法であった。いくつかの遺伝的モデルのMAEは園地や品種の影響により時々その構成要素のMAEより小さくなった。園地および品種特異的なステップワイズ回帰は概して葉面積を評価するのに最も正確な方法であった。簡素なモデルは概して数個の予測変数を統合したモデルより正確性を欠いた。

J. Ducruet, K. Fast-Merlier, and P. Noilet
New Application for Nanofiltration: Reduction of Malic Acid in Grape Must
pp. 278-283 [
英文要旨原文]
[ブドウ・マストにおけるナノ濾過法によるリンゴ酸減少法の新規応用]
本研究の目的は、新規な、2段階ナノ濾過法にて、マスト中のリンゴ酸を減少させることである。対照のモデル試験は、化学的原理をみる為に行われた。その後、数種のブドウ品種によるワイン醸造にて使用し、マロラクティック発酵と比較した。平均57%強度(57 L溶離液/100 Lマスト)では、リンゴ酸と酒石酸の濃度減少は各々、34%および8%であった。このとき、pH変化は非常に少なかった。この方法は冷凍安定化および瓶詰後でも、ワインのリンゴ酸に良い選択性を示した。本方法によりマストを処理しても、ワインの酸度レベルが変わらないことから、マロラクティック発酵なしでも、除酸強度を決定することが比較的簡単である。本方法では、リンゴ酸1 g/Lの滴定酸度を0.6 g/L除酸でき、マロラクティック発酵での除酸に匹敵した。処理の間、マストpHと滴定酸度は、初発pH、初発滴定酸度および処理強度と一次関数の関係であった。濃度制御の容易さとリンゴ酸に対する選択性から、本方法はマロラクティック発酵の代替手段として興味が持たれると思われる。



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