American Journal of Enology and Viticulture
       論文要旨 和訳


 
Volume 61, No.3 (2010)
H.E. Holt, W. Birchmore, M.J. Herderich, and P.G. Iland
Berry Phenolics in Cabernet Sauvignon (Vitis vinifera L.) during Late-Stage Ripening
pp. 285-299 [
英文要旨原文]
[カベルネ・ソービニヨン(Vitis vinifera L.)の成熟後期における果粒フェノール物質]
異なる剪定および潅水処理を行ったカベルネ・ソービニヨンの果実成熟後期における果粒重とフェノール物質濃度の変動について調査した。成熟度は可溶性固形物(TSS)により定義した。果粒のフェノール物質濃度は、オーストラリアワイン産業で一般的にブドウ果粒のアントシアニン量測定に用いられるブドウ果粒の破砕懸濁液の50%エタノール抽出液を用いて測定した。果粒重と果粒成分は3年間にわたり3つの成熟段階において調査した。3種類の剪定処理に2種類の潅水処理を組み合わせることで幅広い範囲の果粒重都フェノール物質測定値を得た。成熟度の進行は複数年時にわたり果粒重に、年次内でフェノール物質組成に一定した影響を与えた。商業的事情で総アントシアニン濃度と含量のピークは収穫期決定の有効な指標となると考えられるが、これらの測定はTSSが商業的に受け入れられる値より高い時期に最も高くなった。研究の上では、この情報はアントシアニン、総フェノール物質およびタンニンの蓄積と減少のパターンを明らかにする点で有効であり、果粒成熟とワイン組成の関係を明らかにするためにこれらのパラメーターのワインにおける測定と組み合わせることで有効になると思われる。剪定処理は果粒重には年次と成熟段階を通して一定の影響を与え、総アントシアニンおよび総フェノール物質濃度にも一定の影響を示したが、タンニン濃度についてはそのような傾向はなかった。潅水の効果は年次内および年次を通して一定した影響はあまりなく、各年次の状況に大きく依存した。

P. Romero, J.I. Fernandez-Fernandez, and A. Martinez-Cutillas
Physiological Thresholds for Efficient Regulated Deficit-Irrigation Management in Winegrapes Grown under Semiarid Conditions
pp. 300-312 [
英文要旨原文]
[半乾燥条件で生育するワインブドウにおける効果的な制限潅水(RDI)管理のための生理学的閾値]
土壌−植物の水分関係およびそれらの葉面積の発達、果房の微気象、収量および果粒品質の対する影響に対するベレゾーン前後の2種類の制限潅水(RDI)戦略の効果について南部スペインの半乾燥条件で生育するMonastrellブドウにおいて2年間調査した。対照区は60%ETc(作物蒸発散量)、すなわち生育期を通して319 mmを潅水した。RDI-1処理区は着果前は対照区と同量の潅水を行い、着果期から収穫までETcの30%、収穫後は45%とした。RDI-2処理区は着果期から収穫期までETcの15%とした以外はRDI-1と同一の潅水を行った。RDI-1は葉のガス交換を適度に維持できる適度な土壌水分含量および植物水分状態を維持し、糖蓄積に影響することなく収穫時のポリフェノールを増加させた。さらに、RDI-1は収量と果粒サイズを減少させ、葉面積が減少することで果房の微気象が改善され、水利用効率が上昇した。いっぽうでRDI-2はおもにベレゾーン後により強いストレスを被った。この厳しい水ストレスにより根−樹体間の通水コンダクタンスおよび葉のガス交換が実質的に低下し、ガス交換効率、葉内窒素およびクロロフィル含量が減少した。過度のベレゾーン後の水ストレスは落葉を促進し、葉面積および収量を減少させた。RDI-2処理区ではRDI-1に比べ低い葉の光合成と高い落葉率により収量と糖蓄積が有意に低下した。厳しい根と葉における機能の損傷を避け、この品種のポリフェノール類を増加させるために、我々はベレゾーン前および後の期間におけるいくつかのブドウ樹の水分指標となる適正な生理学的閾値を決定した。

G.V. Jones, A.A. Duff, A. Hall, and J.W. Myers
Spatial Analysis of Climate in Winegrape Growing Regions in the Western United States
pp. 313-326 [
英文要旨原文]
[合衆国西部のワインブドウ栽培地域における気候の空間的分析]
ワイン地帯における気温の空間的変異に関する知識はブドウ栽培の総合的な適性を評価する基礎となり、栽培者に適合する品種や園地を選択する基準を提供する。しかしながら、空間的気象データから生成される成果に大きな進展があったにもかかわらず、それらは合衆国西部のブドウ栽培に対する気候と適性を評価することに利用されていない。この報告では1971−2000年のPRISM 400m解像度の気象グリッドを使用してカリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州およびアイダホ州にわたるアメリカブドウ栽培地域(AVAs)における気候の空間的地図を作成し、ブドウ栽培に適する適性を特徴づけるために使用される4種の気象指標;積算成長度日(GDD、あるいはWinkler index、WI)、Huglin index(HI)、生物学的有効度-日(BEDD)および生育期平均気温(GST)、の統計的特性を評価した。結果はAVAs内の気候の空間的変異性は有意であり、それぞれの地域はブドウ栽培に適合する5つまでの気候クラスで代表されることが示された。気象観測所のデータを比較し、気候の空間的分布を記述することでAVAs内のブドウ栽培適性範囲を理解するより全体的な尺度を提供できる。さらに、結果はGSTとGDDは機能的に同一であるがGSTはより容易に計算でき、GDDで生ずる多くの方法論的な論争を克服できることを示した。HIとBEDD値は既知のAVA全域にわたる適性を表現することができるが合衆国西部地区内におけるより詳細な検証を必要とする。加えて、この報告からにデータ化する期間とGDD計算方法を明確に伝達でき、結果を正確に解釈し比較するためには、多くの調査員、ソフトウエアの開発者などの必要性があることが強調された。

G.H. Neilsen, D. Neilsen, P. Bowen, C. Bogdanoff, and K. Usher
Effect of Timing, Rate, and Form of N Fertilization on Nutrition, Vigor, Yield, and Berry Yeast-Assimilable N of Grape
pp. 327-336 [
英文要旨原文]
[ブドウの栄養、樹勢、収量および酵母菌資化性窒素に及ぼす窒素施肥における時期、量、形態の影響]
British Columbia州(カナダ)のブドウ園で商業栽培されるリパリア台木カベルネ・ソービニヨン(CS)およびSO4台木メルロー(M)において3年間の窒素(N)施肥実験を行った。実験は6処理区とし、毎年1実験区10樹で8反復の無作為ブロックを設けた。N施用量は標準N [40 kg N/ha(M)、45 kg N/ha(CS)]および2倍区とし、萌芽期あるいは開花期に施用した。開花期は低施用量とし、収穫直後に施用量を他と同じにするするSplit N区および、標準N量となるよう萌芽期に堆肥を地表散布する有機N区を設けた。メルローでは開花前および開花期の葉柄Nが80 kgN/ha施用後の年に最も高くなった。2年間において、開花期までのN施用の遅延は樹冠密度を低下させ、収量を増加させた。資化性窒素濃度(YANC)は開花期に高率の窒素施肥を行った場合のみ不足状態より多くなった。メルローにおける開花期の窒素施用は過剰な栄養成長を引き起こさず果実のN状態改善を目標とする戦略として見込みがある。萌芽期の堆肥によるN施用は、尿素として与えた場合と比べてもブドウ樹における生産能力の差異はほとんどなかった。収穫後のN施用は果実成分あるいはYANCに影響を与えなかった。カベルネ・ソービニヨンにおいてはN施用処理にかかわらず、適度なYANCを示した。N施用の量および時期を変える処理は樹冠密度、収量および果実成分における複数年時にわたる一貫した影響をほとんど示さなかった。萌芽期の堆肥によるN施用は尿素に比べて、同様のブドウ樹の生産能力を示した。収穫後のN施用は悪影響なしで累積収量を増加させた。

A.L. Robinson, M. Mueller, H. Heymann, S.E. Ebeler, P.K. Boss, P.S. Solomon, and R.D. Trengove
Effect of Simulated Shipping Conditions on Sensory Attributes and Volatile Composition of Commercial White and Red Wines
pp. 337-347 [
英文要旨原文]
[市販白および赤ワインにおける模擬出荷輸送条件の官能および揮発物質への影響]
ワイン出荷時の主たる関心は、目的地でワインを受け取ったとき、その状態が出荷時と同じかどうかである。4種の白ワイン、4種の赤ワインを4種の条件に晒した(全部で32種)。リースリング、ゲヴュルツトラミネール、ソービニヨン・ブラン、シャルドネは同一の生産者でビンテージも同じである。1種のメルロー、3種のカベルネ・ソービニヨンはラベルは異なるが、生産者は同じである。貯蔵条件は、20℃、40℃、20℃/40℃(日内周期を反映)で、自動車のトランク輸送を考え、保存期間を3週間とした。32種のワインは記述的官能分析により評価した。白ワインでは11名、赤ワインでは13名の訓練パネリストにより、白ワイン14種および赤ワイン23種の属性について評価した。揮発成分は、ヘッドスペースSPME-GC/MSにて分析した。官能評価および化学分析結果から、高い温度で保存したものは有意に異なった。高濃度のビティスピラン1および2、TDN、パラシメンおよび数種のエステル類と酢酸塩のレダクトン類など、熟成ワインに特徴的な物質にて相違が認められた。本研究は、ワインが輸送時に受ける官能的影響を評価した最初の報告である。

C.-L. Rosenfield, S. Samuelian, J.R. Vidal, and B.I. Reisch
Potential Use and Screening of Antimicrobial Peptides
pp. 348-357 [
英文要旨原文]
[Vitis viniferaにおける病害耐性の形質転換:抗菌性ペプチドの潜在的な使用とスクリーニング]
重要なブドウ病原菌に対する耐性を増加させるために、シャルドネを2つの抗菌性ペプチド(AMPs)、Magainin-2とPGL、を含む構築ベクターで形質転換した。Magainin-2転写を発現した5つの系統が、Agrobacterium vitisの2つの株(TM4とCG450)に対する耐性の増加を示した。これらの結果にもとづいて、9つのAMPsの4つの病原菌(2つの細菌、A. tumefaciensA. vitis 株 CG450とTM4、そして2つの真菌Botrytis cinereaErysiphe necator)に対するin vitroでの効果に関する包括的な研究を行った。Cecropin B、MSI-99そして Shiva 1は2つのA. vitis株に対して最も効果的であったが、ESF-12は効果が無かった。TM4の増殖は、AMPsに対してCG450よりも常に感受性が高かく、Magainin-2を発現した形質転換ブドウ樹のなかでは、クラウンゴール耐性の観察結果と比例するパターンであった。Botrytis cinereaの増殖を効果的に阻害するためには、10 μM以上のPurothionin、PGLまたはESF39を必要とした。調査したAMPsはいずれもE. necator胞子の発芽または病変形成を再現性良くコントロールできなかった。MSI-99 とCecropin Bは形質転換ブドウ樹において将来的にクラウンゴール病に対する耐性を増加させるのにもっとも有望であった。

J.J. Scheiner, G.L. Sacks, B. Pan, S. Ennahli, L. Tarlton, A. Wise, S.D. Lerch, and J.E. Vanden Heuvel
Impact of Severity and Timing of Basal Leaf Removal on 3-Isobutyl-2-Methoxypyrazine Concentrations in Red Winegrapes
pp. 358-364 [
英文要旨原文]
[赤ワイン用ブドウにおける基底葉除去のレベルと時期が3-Isobutyl-2-Methoxypyrazine濃度に与える影響]
ブドウ果粒における3-isobutyl-2-methoxypyrazine(IBMP)濃度に与える基底葉除去の時期とレベルの影響を評価するために、カベルネ・フランとメルロー(Vitis vinifera L.)におけるフィールド研究を行った。処理は、開花後10日、40日または60日に、フルーツゾーンから50%または100%の葉を除去する構成とした。カベルネ・フラン研究の2年目において、ベレゾーン後15日の除葉処理も含めた。カベルネ・フラン研究の両年において、コントロールに比べてIBMPの有意な減少が(28%〜53%の範囲)、開花後10日の両処理(50%と100%除葉)で観察された。2007年は、全ての除葉処理が、収穫時におけるカベルネ・フラン果粒のIBMP濃度をコントロールに比べて有意に減少させ(46〜88%)、開花後10日と40日の100%除葉処理において最も減少することが観察された。2008年は、開花後10日の100%除葉処理と開花後40日の50%および100%除葉処理が、成熟したカベルネ・フラン果粒のIBMP濃度を有意に減少させた(34〜60%)。メルローの試験では、全ての除葉処理が、収穫時のIBMP濃度を有意に減少させた(38〜52%)。まとめると、両方の研究において、シーズン初期(開花後10日から40日)の基底葉除去は、コントロールと比較して、ベレゾーン前のIBMP蓄積を減少させた。このことは、初期の除葉が、シーズン後期の除葉よりも、ブドウ果粒のIBMP蓄積を減少させるために、より効果的な管理戦略であることを示唆している。

G. R. Kumar, V. Ramakrishnan, and L. F. Bisson
Survey of Hydrogen Sulfide Production in Wine Strains of Saccharomyces cerevisiae
pp. 365-371 [
英文要旨原文]
S. cerevisiaeワイン用酵母株における硫化水素生成能]
酵母の硫化水素生成能を169の市販株、自生株1株の合計170株について6種の異なる培地を用いて調査した。用いた培地はBiGGY寒天(亜硫酸還元酵素の基本レベル確認用)および窒素やビタミン濃度を変えSyrah果汁を用いたブドウ果汁培地である。統計処理およびクラスター分析をしたところ、1〜43成員による15のクラスターに分類された。硫化物生成量は培地の窒素化合物濃度とはあまり相関しなかった。一般にSyarh果汁培地を用いた場合、硫化物の生成株の数、およびその生成量が高かった。BiGGY寒天培地におけるコロニーの色と硫化水素の生成量には関係は認められなかった。Syrahにおいて硫化水素を高生産する株は、少なくとも合成培地のどれかで硫化水素を生産した。Syrahにおいて中程度あるいは低濃度の硫化水素生成能の株は、合成培地では微量あるいは検出限界以下の硫化水素しか生成しなかった。従って、発酵中に硫化水素を多量に生成する可能性のある株は、合成培地で検出可能である。しかし、合成培地で硫化物生成量が低い株は、果汁中での生成濃度が低いことを示すわけではなく、株の評価には実際に果汁を用いた試験が必要である。

J. Tardaguila, F. Martinez de Toda, S. Poni, and M. P. Diago
Impact of Early Leaf Removal on Yield and Fruit and Wine Composition of Vitis vinifera L. Graciano and Carignan
pp. 372-381 [
英文要旨原文]
[初期の除葉がGracianoおよびCarignan種の収量および果実・ワインの組成に与える影響]
初期の除葉はブドウ樹の収穫量管理のための新しい栽培技術である。初期の除葉について除葉時期(開花前と結実後)、およびその方法(手摘みと機械摘み)が収量や果汁・ワインの組成に与える影響をV. viniferaのGracianoおよびCarignan種を用いて調べた。除葉は果房の露出度と葉の間隙率の両方を増加させる。除葉処理により両品種とも収量は有意に減少した。開花前の除葉の場合、新梢あたりの収量は手摘みおよび機械摘みで30および70%低下した。両品種において開花後の除葉は果実の結実、果房あたりの果粒数、新梢あたりの収量には影響が無かった。Botrytisの発病率も除葉により低下した。開花前の除葉の場合、除葉しなかった場合に見られる葉:果実の比に戻った。可溶性固形物量およびワインのアルコール濃度は除葉の影響を受けなかった。着果後の除葉ではリンゴ酸濃度が減少した。滴定酸度や酒石酸濃度などの果実酸度に関する変数に対する遺伝子型−環境相互作用が認められた。初期の除葉はブドウおよびワイン中のアントシアニンやフェノール濃度を増加させた。Carignanでは初期除葉により果粒肥大が見られたが、にもかかわらず、ブドウおよびワインの色も向上した。これらの結果は、果実の様々な器官の成長は、絶対的な果粒重量に影響を受けないという初期除葉における仮説を支持した。機械摘みによる初期の除葉は収量制限のための対費用効果のある、そしてブドウ・ワインの品質を向上させる可能性が示された。

M. P. Diago, M. Vilanova, and J. Tardaguila
Effects of Timing of Manual and Mechanical Early Defoliation on the Aroma of Vitis vinifera L. Tempranillo Wine
pp. 382-391 [
英文要旨原文]
[手摘みおよび機械摘みによる初期除葉のタイミングがTempranilloワインのアロマに与える影響]
初期除葉はブドウにおける収量調節のための革新的栽培技術である。除葉のタイミング(開花前および結実後)および方法(手摘みと機械摘み)が収量、Botrytisへの発病率、ワインの官能特性に与える影響について、VSP仕立てのTempranilloに対して2007〜2008年の2シーズンにわたり調べた。開花前の除葉では、手摘みと機械摘みで収量は15〜50%と収量は大幅に減少し、果房は小さく、果粒も少なくなった。着果期の場合、機械摘みの場合にのみ果房重量、果粒数、ブドウ樹あたりの収量が変化した。Botrytisに対する発病率は、例年になく降雨が多く感染率が高かった2008年において、除葉によって有意に減少した。初期の除葉では全葉面積は影響を受けなかった。開花前の除葉では、除葉の方法によらず、除葉しなかった場合に見られる葉:果実の比に戻った。ワインのアロマ特性に対する記述分析では、除葉した2007年のワインでは「果実らしい」、「フローラルな」、あるいは「リコリス様な」強度は低下した。これらの記述子に対する強度得点は収量と正の相関を示し、葉面積:収量の比とは負の相関となった。Botrytisが蔓延した場合、「果実らしい」、「フローラルな」記述とは負の相関を示し、「ドライフルーツのような」と正の相関を示した。収量やBotrytisに対する発病率、果房露出率などの初期除葉に関係するいくつかの要因は、ワインのアロマ特性に有意に影響した。主成分分析では、アロマのプロファイルにより除葉処理の有無が分離された。

R. Donkin, S. Robinson, K. Sumby, V. Harris, C. McBryde, and V. Jiranek
Sodium Chloride in Australian Grape Juice and Its Effect on Alcoholic and Malolactic Fermentation
pp. 392-400 [
英文要旨原文]
[オーストラリア産ブドウ果汁中の塩化ナトリウム濃度とアルコールおよびマロラクティック発酵への影響]
土壌および水の塩濃度が増加に伴い、ブドウ果汁およびワイン中の塩化ナトリウム(NaCl)濃度の増加している。ブドウの塩濃度がワインの品質や、アルコール発酵やMLFに関与する微生物に与える影響について興味が持たれる。本研究では、Saccharomyces cerevisiaeおよびOenococcus oeniの果汁およびワイン塩濃度に対する耐性について、発酵遅延、菌生存率、代謝活性の観点から調べた。NaCl濃度が増加すると、S. cerevisiaeによるアルコール発酵の遅延と酢酸およびグリセロール濃度の増加が認められた。NaClはO. oeni株に対する阻害効果を示さなかったが、リンゴ酸代謝の活性化が認められる場合もあった。

Y. Yang, C. Duan, H. Du, J. Tian, and Q. Pan
Trace Element and Rare Earth Element Profiles in Berry Tissues of Three Grape Cultivars
pp. 401-407 [
英文要旨原文]
[3ブドウ栽培種の果粒組織の微量元素とレア・アース元素]
ミネラル成分は、ワインの地理的足跡において重要な役割をはたし、果粒組織におけるミネラル成分プロフィールを理解することは、ブドウとワインの成分蓄積と地域的なフレーバー形成の関係を決定する助けになる。18の微量元素と15のレア・アース元素をブドウ栽培種のカベルネ・ソービニヨン、マルセラン、イタリアン・リースリングの果皮、パルプ,種子において誘導結合プラズマ‐質量分析計(ICP?MS)を用いて調査した。B、Zr、Tl、Uを除く大部分の微量元素は、濃度において種子>果皮>パルプの順で、類似した組織特異的分布を示したが、その濃度は、3つの栽培種で異なっていた。2つの赤系栽培種は、白系栽培種のイタリアン・リースリングに比べて、Cu、Cr、Ba、Mo、Cd、Ga、Ge、Tl濃度が有意に高く、そしてB、Mn、Sr、U濃度が有意に低かった。しかし、レア・アース元素の組織分布は、微量元素と全体的に異なっていた。イタリアン・リースリング果粒において、果皮のほとんどのレア・アース元素の濃度は、Ybが検出されなかったことを除き、種子とパルプより大きいか、類似していた。2つの赤系栽培種では、種子の11のレア・アース元素(Y、La、Ce、Nd、Pr、Sm、Gd、Dy、Ho、Er、Yb)の濃度が果皮やパルプほど高くなかった。これらの発見は、白および赤系ブドウ栽培種における微量元素およびレア・アース元素の組織分布に対する新しい洞察を与える。

A. Prida and P. Chatonnet
Impact of Oak-Derived Compounds on the Olfactory Perception of Barrel-Aged Wines
pp. 408-413(Research Note) [
英文要旨原文]
[樽熟成ワインの臭覚特性に対するオーク由来化合物の影響]
樽熟成したワインは複雑になり、多くの香り成分の相互作用の結果、その臭覚特性が決定される。オーク由来の香り化合物の役割を調べるためには、「におい活性値(OAV)」を考え、におい特性における各香り化合物の影響力を分析する必要がある。それぞれ異なるタイプの樽で熟成されたスペインおよびフランス産の20本のワインについて、官能検査(記述分析)および化学分析(GC-MS)を実施した。対t-テストにより異なる樽の間でオーク由来の化合物の濃度の体系的違いがあるかを調べ、官能検査との差異を調べた。OAV値が低いが、フラン化合物(フルフラール、フルフリルアルコール、5-メチルフルフラール)は「総合的なオーク」値を上げ、「果実的」値を下げた。これらの化合物はこれらの香りの強度に間接的に影響していると考えられた。シスおよびトランス体のウイスキーラクトン、オイゲノール、バニリンは、「バニラ/菓子」記述子の得点を上げたが、フルフラールや5-メチルフルフラールはこれを下げた。単体ではスモーキーあるいはスパイシーと表現される揮発性フェノール(グアイアコール、4-メチルグアイアコール、オイゲノール)であるにもかかわらず、ワイン中ではこれらの記述子と化合物間の明確な関係は見られなかった。香りの持続性が高いと記述された試料は、対試験に用いられた試料より、比較的沸点の高い木由来の化合物(トランスおよびシス体のウイスキーラクトン、マルトール、オイゲノールおよびバニリン)を多く含み、戻り香による持続性を示していると考えられる。

K.C. Shellie
Water Deficit Effect on Ratio of Seed to Berry Fresh Weight and Berry Weight Uniformity in Winegrape cv. Merlot
pp. 414-418(Research Note) [
英文要旨原文]
[ワイン用ブドウ栽培種メルローにおける果粒生重量に対する種子の比率と果粒重の均一性に及ぼす水欠乏の影響]
この研究の目的は、ブドウ樹の水欠乏が、成熟期の果粒組織成分と果粒重の均一性に与える影響を調べることである。露地栽培のメルロー種ブドウ(Vitis vinifera L.)を、着果から収穫まで、高レベルまたは低レベルの水ストレスを維持するために、6年間にわたり異なった灌水を行い、そして果房を3年目と5年目の成熟期に採取した。採取した果粒は、それぞれの灌水区域内の重量均一性を評価し、そしてそれぞれの灌水レベルから類似した重量の果粒を得るために、個々に重量を測定した。ブドウ樹の水欠乏は、果粒サイズに関係なく、果粒の総生重量に対する種子の比率が27%まで増加することと関連していた。それぞれの灌水区域内の果粒重量は正常に分布し、水欠乏は成熟期の果粒重量の均一性に影響しなかった。果粒の総生重量に対する種子の比率の増加は、発酵中に存在する果皮由来の成分に対する種子由来の成分の比率を変化させることから、結果はワイン製造に対して潜在的意義を持つ。

S. Giannetto, R. Caruana, P. La Notte, A. Costacurta, and M. Crespan
A Survey of Maltese Grapevine Germplasm Using SSR Markers
pp. 419-424(Research Note) [
英文要旨原文]
[SSRマーカーを用いたマルタブドウの生殖質の調査]
この論文は、マルタの群島で栽培されている地域のブドウ品種を同定することを目的とした採収と分子レベルでの特徴づけプロジェクトの結果を報告する。2つの主要な島、マルタとゴーゾからの全部で58の所蔵している種を系統と衛生選抜プログラムの枠組みの範囲内で採取した。DNA解析は13のSSRマーカーを用いて行い、得られたプロフィールはCRA-TIVアーカイブと比較した。全部で28の異なった遺伝子型が同定され、そのうちの8つは輸入された品種(Ansonica、Axina de tres bias、Calabrese、Gold、Koenigin der weingaerten、Muscat fleur d’oranger、Muscat Hamburg、Negroamaro)に一致した。参考SSRプロフィールを最も重要な地域品種(Girgentina (Insolja tal-Girgenti)、 Gellewza、Gennarua (Insolja ta’ Gennaru))に対して作成した。



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