American Journal of Enology and Viticulture
       論文要旨 和訳


 
Volume 61, No.4 (2010)
J.R. Morris and G.L. Main
An Investigation of Training System, Pruning Severity, Spur Length, and Shoot Positioning on Cynthiana/Norton Grapes
pp. 445-450 [
英文要旨原文]
[シンシアナ(ノートン)ブドウにおける整枝法、剪定強度、短果枝長および新梢誘引の調査]
アーカンソー州で栽培したシンシアナ/ノートン(aestivalisタイプ)ブドウの収量と果実成分に及ぼすジェネバダブルカーテン(GDC)またはシングルカーテン(SC)整枝法、30 + 10 または60 + 10に制御した剪定強度、短果枝の長さ(3芽または6芽)および誘引の影響について5年間調査した。GDC整枝はSC整枝より46%高い収量を示したが、主枝(cordon)1 m当たりの収量はGDC整枝の方が低かった。GDC整枝における収量増加は計数されていない新梢に由来すると思われた。休眠期剪定、剪定後に残した節数および房重は両整枝法において同様であった。果汁pHはGDC整枝において低かったが、果実成分の他の測定項目は両整枝法で同様であった。60 + 10強度の剪定は、30 + 10剪定に比較して残した節数が多く、収量と1樹当たりの房数を増加させたが果実成分には影響しなかった。剪定節位を3または6とした場合の収量に差異は認められず、短果枝の節位による結実性に差異がなかった。3節で剪定した場合、6節での剪定より樹勢がやや強く維持されたけれども可溶性固形物%が増加した。新梢の誘引は収量に影響しなかったが、樹勢を抑えpHは低下させた。誘引は個々のブドウ園の樹勢と生産方法に基づいて考慮するべきと考えられた。

L. Farina, F. Carrau, E. Boido, E. Disegna, and E. Dellacassa
Carotenoid Profile Evolution in Vitis vinifera cv. Tannat Grapes during Ripening
pp. 451-456 [
英文要旨原文]
[品種‘タナー’ブドウにおける成熟期のカロチノイドプロファイル生成]
ウルグアイのタナー果実におけるカロチノイド含量とプロファイルの生成について調査した。異なる日照と温度条件にある管理方法の異なる2つのブドウ園において2年の連続した成熟期にわたりサンプリングした。HPLC-DAD(多波長検出器付き高速液体クロマトグラフィー)により7種のカロチノイド(neoxanthin, violaxanthin, luteoxanthin, lutein 5,6-epoxide, flavoxanthin, lutein, および β-carotene)を同定した。種にかかわらず最も高いカロチノイド濃度は最初のサンプリング時に認められ、収穫時における最低値に向けて急速に低下した。しかしながら、カロチノイドの種類により異なる変動が認められた。有意なカロチノイドの減少が両ブドウ園で観察されたが、その影響はマルチした土壌で栽培したブドウで大きかった。カロチノイド分解産物の生成についてGC-MS-SIM(ガスクロマトグラフ質量分析−選択イオン検出法)により調査した。マルチしたブドウ園のブドウ樹において、norisoprenoid 含量が成熟期にわたり顕著に増加(初期濃度の85%まで)したが、そのような増加は慣行栽培ブドウ園からの果実では認められなかった。

D.D. Nguyen, L. Nicolau, S.I. Dykes, and P.A. Kilmartin
Influence of Microoxygenation on Reductive Sulfur Off-Odors and Color Development in a Cabernet Sauvignon Wine
pp. 457-464 [
英文要旨原文]
[カベルネ・ソービニヨンワインにおけるミクロオキシゲネーションの還元的S異臭への影響]
ミクロオキシゲネーション(MOX)の赤ワイン組成に及ぼす影響を調べた。酸素濃度は5および20 mg/L/月とし、酸素は拡散器またはポリエチレンタンクからの透過にて添加した。酸素濃度をコントロールしない、対照もおいた。各試験は市販用のカベルネ・ソービニヨンワインを用い、9個の300-Lステンレスタンクおよび3個の300-Lポリエチレンタンクで、16℃、16週間以上、3回繰り返し試験した。MOX処理中に、自然にMLFが起きた。MOXの結果、ワインカラーが増強された。最初の半分の試験では、亜硫酸抵抗性色素の生成が顕著で、2番目の半分の試験では、色の濃さへの影響が明らかであった。今回行ったMOXでは、好ましい品種S香、3MHへの効果はなかったが、ジメチルジスルフィドの増加はなく、メタンチオールを含む好ましくないオフ・フレーバーの低下が認められた。チオエステルを除く、還元臭のS化合物濃度も酸素により影響されたが、同時に生じたMLFの影響が大きく、これらの化合物の複雑な相互作用が観察された。

D. Durner, S. Ganss, and U. Fischer
Monitoring Oxygen Uptake and Consumption during Microoxygenation Treatments before and after Malolactic Fermentation
pp. 465-473 [
英文要旨原文]
[MLF前後のミクロオキシゲネーション処理中の酸素の取り込みと消費のモニタリング]
ピノ・ノワールのMLF前後の、ミクロオキシゲネーション(MOX)処理中の溶存酸素(DO)およびヘッドスペースの酸素濃度をモニターした。非侵襲性蛍光測定システムの採用により、赤ワイン中とワイン表面のヘッドスペースガスの正確な酸素濃度測定ができた。MLF前および後のMOX試験の2回目の半分では、DO濃度は、各々1および0.5 mg/Lまで増加した。無処理対照ワインでは、MLF前、後の試行の最後でも、最大DO濃度は僅か0.1 mg/Lであった。MLF前後のMOX処理にて、今回のDO測定の感度は十分で、対照無処理区とMOXワインを明瞭に識別できた。更に、酸素モニタリングで、投与酸素濃度の差も区別できた。MLF後の高酸素投与MOX処理の最後以外は、タンク内でDO勾配は検出されなかった。即ち、処理期間中は適度の酸素分布が示唆された。DOで酸素投与率を比較する新規な方法は、酸素消費速度を表現することにつながる。パラメーターを投与酸素量と共にプロットすることで、酸素供給と消費のバランスを評価可能である。MLF前後のMOX処理中、酸素消費速度は投与酸素の±10%で一定であった。しかし、MLF後に酸素を入れたワインは、MLF前に処理したワインより、上昇した酸素濃度に感受性がより高かった。

D. Durner, F. Weber, J. Neddermeyer, K. Koopmann, P. Winterhalter, and U. Fischer
Sensory and Color Changes Induced by Microoxygenation Treatments of Pinot noir before and after Malolactic Fermentation
pp. 474-485 [
英文要旨原文]
[MLF前後にミクロオキシゲネーション処理したピノ・ノワールの官能および色調変化]
同じブロックで栽培されたピノ・ノワールの連続2ビンテージについて、標準化したワイン醸造プロトコールで醸造したワインを用い、MLF前後に種々のミクロオキシゲネーション(MOX)を行った。MOX処理の効果は、分光光学分析、HPLC-DAD、記述的官能評価法で調べた。250-L赤ワイン発酵槽におけるMLF前のMOX処理は、酸素投与量20および100 mg/L/月で20日間実施した。MLF後のMOX処理は、100-Lステンレスタンクを用い、酸素投与量、1および5 mg/L/月で3ヶ月実施した。CIELabの結果によると、2006年のMOX処理は、軽い色調で黄色が強くなるワインが出来る傾向であった。アルコール発酵後、ポリフェノール単量体を調べたところ、酸素誘導の色減少は、2006年ビンテージにおける、アントシアニンに対する高いフラバン-3-オール比率に関連するものと考えられた。2006年ビンテージでは、MLF後のMOXにてアセトアルデヒドの増加量は2倍であった。これは、ワインに対する投与酸素量が過剰であったことを示す。対照的に、2007年ビンテージでは、アルコール発酵後、アントシアニンに対するフラバン-3-オール比率は低かった。このワインは、MOXにより青味が強くなった。収斂味と官能特性の相関は低く、選択した特性が、MOX処理したピノ・ノワールのタンニン構造において、独立して官能変化を特徴づけていることが判明した。記述的官能評価の結果、2006年ワインでは、MOX処理は、主にグリーン・タンニン(未熟タンニン)を消失させた。ドライ・タンニンは、低酸素用量のMOXでは減少したが、高い酸素用量では再び増加した。MLF前のMOX処理にて、2006年ワインは、好ましい香気成分変化があり、2007年ワインは色の濃さの増加が顕著であった。ピノ・ノワールの香気成分で、好ましくない影響が認められたのは、MLF後のMOX処理であった。

S. Campolongo, K. Rantsiou, M. Giordano, V. Gerbi, and L. Cocolin
Prevalence and Biodiversity of Brettanomyces bruxellensis in Wine from Northwestern Italy
pp. 486-491 [
英文要旨原文]
[北西イタリアのワインにおけるBrettanomyces bruxellensisの広がりと多様性]
Brettanomyces bruxellensisはブドウに自然に含まれるヒドロキシケイ皮酸の変換を触媒し、ワインの官能品質を低下させる揮発性フェノール化合物を生成する。その濃度によって、揮発フェノール類はワインに、フェノリック、獣臭、ネズミ臭、湿った毛布、薬品臭、スモーキー、スパイシーと記述されるオフ・フレーバーを与える。87種のイタリア・ワインについて、B. bruxellensiの存在を伝統的微生物培養手法や培養に依存しない、遺伝子増幅によるPCR法にて調べた。エチルフェノール類とビニルフェノール類の定量は、ヘッドスペース固相微小抽出法(SPME)にて行った。その結果、培養法とPCR法に相関は認められなかった。菌株の多様性をSAU-PCRにて調べたところ、地理的な分離地ベースの菌株の変化が認められた。

G. Povero, M. Papale, L. Gesualdo, A. Alpi, P. Perata, and E. Loreti
Identification of Grapevine Cultivar Biomarkers Using Surface-Enhanced Laser Desorption and Ionization (SELDI-TOF-MS)
pp. 492-497 [
英文要旨原文]
[表面エンハンス型レーザー脱離イオン化-飛行時間型質量分析装置(SELDI-TOF-MS)を用いたブドウ品種バイオマーカーの同定]
植物変種同定のためのタンパク質を基準としたツールが遺伝子を基礎とした技術の進展に並行して急速に発達している。この研究ではブドウの4品種のタンパク質プロファイルを分析するためにタンパク質チップ技術を使用した。この技術はたんぱく質の高速プロファイリングとプロファイルの比較のために表面エンハンス型レーザー脱離イオン化-飛行時間型質量分析装置(SELDI-TOF-MS)を組み込んだ。結果はいくつかのタンパク質シグナルが供試品種において異なる発現をすることが示し、この技術がブドウにおける品種特異性を持つバイオマーカーを同定するために使用できる可能性を示唆している。

A. Scacco, A. Verzera, C.M. Lanza, A. Sparacio, G. Genna, S. Raimondi, G. Tripodi, and G. Dima
Influence of Soil Salinity on Sensory Characteristics and Volatile Aroma Compounds of Nero d’Avola Wine
pp. 498-505 [
英文要旨原文]
[ネロ・ダボーラワインの官能的特長と揮発性アロマ成分に対する土壌塩分濃度の影響]
ネロ・ダボーラワインの化学組成、揮発性アロマ成分、官能的特徴に対する土壌塩分濃度の影響を試験した。ブドウ収穫量のようなヴィンヤードの生産性も報告する。物理化学的パラメーターを分析した。固相マイクロ抽出法をアロマ揮発成分の抽出に用いて、その後、キャピラリーGC・MS法で分析した。官能分析では、視覚検査、匂い嗅ぎ、テイスティングを行った。統計分析では、ブドウアロマや発酵アロマの両方とも、物理化学的パラメーターと揮発成分の殆どが、土壌の塩分濃度によって影響を受けた。サンプル間で観察された成分の差は、官能的特徴に殆ど影響を与えず、土壌塩分濃度の増加は、色強度、紫色の反射光、塩味、柑橘香、アロマ中のフルーツ感を増やした。結果として、ネロ・ダボーラブドウは、植物生産性が減少しても、増加した土壌塩分濃度によく適合するかもしれないことを示唆した。

S. Ra~i and A. Onjia
Trace Element Analysis and Pattern Recognition Techniques in Classification of Wine from Central Balkan Countries
pp. 506-511 [
英文要旨原文]
[中央バルカン地方のワインの微量成分分析と分類におけるパターン認識技術]
多変量データ評価法と組み合わせた化学分析を、中央バルカン地方(セルビア、モンテネグロ、マケドニア)のワインの元素プロファイルと地理的起源を研究するために用いた。化学的説明として選択した9つの元素(ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、マンガン、亜鉛、銅、鉛)を、41個の市販ワインサンプルで分析した。教師なしパターン認識法―主成分分析(PCA)と要因分析―で、データ変動をコントロールする主なファクターを同定し、一方、階層的クラスター分析(HCA)では、様々な変数入力に属するサンプルグループ間の差異に焦点を当てた。3つの主成分が最も重要であり、総変数の70.8%を一緒に説明することを示した。教師ありパターン認識法―線形判別分析法(LDA)、k近傍法(kNN)、主成分分析の残差を用 いた判別法(SIMCA)、人工神経回路網(ANN)―を、差異認識と予想可能性を証明したワインサンプルの分類のために利用した。LDAについての認識率は97.6%で、kNN、SIMCA、ANNによって得られた分類率は100%であった。しかし、LDA法では83.3%という最高予想率を得られたが、一方、kNN、SIMCA、ANNでは、正確に分類したサンプルで、それぞれ、72.2、61.1、55.6%というより低い%しか得られなかった。微量成分は、天然と他の影響源の両方で構成されるそれらの濃度がブドウ栽培やワイン醸造現場に貢献するので、分類法によって検討されたワインサンプルにとって適した説明になるように思える。

D. Gramaje, J. Garcia-Jimenez, and J. Armengol
Field Evaluation of Grapevine Rootstocks Inoculated with Fungi Associated with Petri Disease and Esca.
pp. 512-520 [
英文要旨原文]
[ペトリ病およびエスカに関連する菌類を接種したブドウ台木の圃場試験]
ブドウ台木41B、140R、161-49C、1103Pおよび110Rの1年生挿し木にペトリ病およびエスカに関与する病原菌を接種し、挿し木苗の休眠からの萌芽率、新梢重および罹病度において感染の影響を調査した。挿し木苗はCadophora luteo-olivacea, 5種のPhaeoacremonium,属あるいは Phaeomoniella chlamydosporaの懸濁胞子を減圧接種し、2008年3月に2か所の畑に植え付けた。ほとんどの病原菌は161-49Cを除くすべての台木において休眠からの萌芽率および新梢重を有意に低下させ、罹病度を有意に増加させた。110Rおよび140R台木はペトリ病およびエスカに関与する菌に強く影響を受けた。全般的にPa. chlamydospora および Pm. parasiticumは休眠からの萌芽率および新梢重を最も低下させ、罹病度が最も増加させた。回帰分析により、Pa. chlamydosporaを接種したほとんどすべての台木において休眠からの萌芽率と罹病度の間、および新梢重と罹病度との間に有意な相関が示された。

L. Deglene-Benbrahim, S. Wiedemann-Merdinoglu, D. Merdinoglu, and B. Walter
Evaluation of Downy Mildew Resistance in Grapevine by Leaf Disc Bioassay with In Vitro- and Greenhouse-Grown Plants
pp. 521-528 [
英文要旨原文]
[試験管内および温室で育成した植物体のリーフディスク法によるブドウべと病抵抗性の評価]
バイオテクノロジーによるブドウべと病(Plasmopara viticola)に対する抵抗性についての遺伝的改良には大きな集団に対する信頼できる手法は要求される。温室で育成した植物体と比較して、試験管内の小植物体は、コンパクトなサイズ、遺伝子型ごとに多数の反復を準備できること、および試験管内の植物から直接改良した遺伝子型をスクリーニングできる可能性があるといったいくつかの利点があるにもかかわらず、あまり頻繁にはスクリーニングに使用されていない。べと病に対する抵抗性を評価するためにVitis viniferaシャルドネ、交雑品種セイヴァル、Vitis ripariaグロアール・ド・モンペリエ(それぞれ、感受性、やや感受性、強い抵抗性)の試験管内小植物体と温室育成個体を用いてリーフディスク法を行った。病徴と抵抗性反応は二つの独立した実験において胞子形成と壊疽をもとに評価した。すべての指標において、特にやや感受性および感受性の系統において試験管内小植物からの葉は温室育成植物の葉よりも抵抗性を示した。壊死は感受性系統のリーフディスクでは観察されなかったが、やや感受性および抵抗性系統のリーフディスクでは供試材料の育成方法にかかわらず壊疽斑点が認められた。胞子形成および壊疽病徴に基づいた系統間の抵抗性の序列は、育成条件により異なった。試験管内で育成した植物に基づく方法は温室で育成した植物体における方法より信頼性が低いけれども、バイオテクノロジーにより得られた植物体より最も感受性の高いものを除去する予備的な検定に使用することができる。

H. Li, G. Du, H.L. Li, H.L. Wang, G.L. Yan, J.C. Zhan, and W.D. Huang
Physiological Response of Different Wine Yeasts to Hyperosmotic Stress
pp. 529-535 [
英文要旨原文]
[高浸透圧ストレスに対する様々なワイン酵母の生理学的反応]
高浸透圧ストレス(浸透圧調整剤としてのソルビトール)に対する、様々なタイプのワイン酵母菌(工業用菌株のAWRI R2、Freddo、新たに選択されたSaccharomyces cerevisiae B株)の生理学的および細胞の応答を検討した。単一ストレス条件下でトレハロースがワイン酵母に補充されるという保護をよりよく理解するために、修正モデル合成培地を用いた。対数増殖期中期に細胞を1.7 Mソルビトールに晒すと、3つ全てのワイン酵母においてグリセロール生成が増強され、グリセロール-3-リン酸デヒドロゲナーゼ活性が、特に工業用菌株であるAWRI R2で増加した。しかし、トレハロースの劇的蓄積とトレハロース-6-リン酸シンターゼ活性の増加が、FreddoとS. cerevisiae B株だけに見出された。FreddoとS. cerevisiae B株はまた、AWRI R2株より高浸透圧ストレスに対してより高い耐性を示した。FreddoとS. cerevisiae B株の生残率は、ストレス処理中に>90%であったが、AWRI R2株では〜50%であった。グリセロールは高浸透圧ストレス下でワイン酵母によって使用される主な浸透圧調整剤であった。トレハロースの蓄積は菌株依存であり、内在性トレハロースは高浸透圧ストレスに対する耐性獲得と関連していた。(トレハロース蓄積に導く)ヒートショックの予備的応用を、高浸透圧ストレス処理前にAWRI R2株に施した。ヒートショックを伴う前処理はその浸透圧耐性を顕著に改善し、トレハロース蓄積が重要な役割を果たした。結果として、グリセロールが誘導される時、トレハロースはワイン酵母の浸透圧耐性を大いに増強させることが示された。トレハロースは重要な浸透圧保護剤であった。

E. Revilla, D. Carrasco, A. Benito, and R. Arroyo-Garcia
Anthocyanin Composition of Several Wild Grape Accessions
pp. 536-543 [
英文要旨原文]
[数種の野生ブドウ収集系統におけるアントシアニン組成]
この研究では、ほとんどはEl Encin遺伝子バンクに保存され、ブドウ形態分類学的特徴および分子的特性を考慮に入れて選抜した21種類のスペイン野生ブドウ収集系統のアントシアニン組成を調査した。サンプリングは2006,2007および2008年に行った。ブドウ果皮から抽出後、総アントシアニンを分光光度計により測定し、15種のアントシアニンに基づくブドウのアントシアニン指紋を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により決定した。総アントシアニン濃度はワインブドウ品種と同様であった。供試した収集系統はアントシアニン指紋において顕著な変異を示し、前報に示したワインブドウにおけるアントシアニン指紋と同様、いくつかのグループに区分できた。野生ブドウ収集系統のアントシアニン組成は栽培種の場合と同様であった。それにもかかわらず、野生系統はスペイン栽培品種にはまれか、存在しないアントシアニン指紋が存在した。このことはスペイン野生ブドウ集団におけるアントシアニンに関連する遺伝的変異は一般にスペイン起源と考えられている品種における変異よりも大きいと思われる。

I. Romero, E. Garcia-Escudero, and I. Martin
Effects of Leaf Position on Blade and Petiole Mineral Nutrient Concentration of Tempranillo Grapevine (Vitis vinifera L.)
pp. 544-550 [
英文要旨原文]
[テンプラニーリョ(Vitis vinifera L.)の葉身および葉柄の無機栄養濃度における葉位の影響]
テンプラニーリョ(Vitis vinifera L.)の新梢の3つの異なる葉位から採取した葉身と葉柄におけるN、P、K、Ca、Mg、Fe、Mn、Zn、CuおよびB濃度を生育期間を通してモニターした。葉柄はK、MgおよびZn濃度が高く、いっぽうN、P、CaおよびZn以外の微量要素は葉身で高かった。季節的な傾向が多量要素で認められ、N、PおよびKは生育期間を通して低下し、CaとMgは上昇するパターンを示した。無機成分濃度の小さな差異が新梢の基部側および先端側の果房と対になる葉身および葉柄において観察された。これらの結果はベレゾーン後におけるテンプラニーリョの栄養診断のための代表的な組織をサンプリングするうえでのガイドラインを提供する。しかしながら、基部側の果房と対になる葉と2番目の果房の先4節目の葉の間の差異は、これらのより若い葉を用いて基部側の葉の代わりに得た参照濃度により栄養診断を行っても有効でないことを示唆する。

M. Salmaso, A. Vannozzi, and M. Lucchin
Chloroplast Microsatellite Markers to Assess Genetic Diversity and Origin of an Endangered Italian Grapevine Collection
pp. 551-556(Research Note) [
英文要旨原文]
[イタリアの絶滅危惧ブドウ品種コレクションの遺伝的多様性と起源を評価するための葉緑体マイクロサテライトマーカー]
北東イタリア原産の16のブドウ栽培種と7の国際的栽培種の遺伝的多様性を9の葉緑体マイクロサテライト(cpSSR)遺伝子座において評価した。目的は、将来の生殖質保存の適切な戦略の展開のために、地域品種の遺伝的関連性と起源を理解することである。検出された21の対立遺伝子は8の異なったハプロタイプを構成し、そのうちの3つはこれまで発見されておらず、北東イタリア特有であると考えられる。このコレクションは他の地域で検出されるよりも高いハプロタイプ多様性(0.71)を持ち、故に、保存すべきユニークな遺伝的資源であることを意味する。ハプロタイプ頻度の分布も、独自の栽培化事象の存在を示唆している。

T. Buhner-Zaharieva, S. Moussaoui, M. Lorente, J. Andreu, R. Nunez, J.M. Ortiz, and Y. Gogorcena
Preservation and Molecular Characterization of Ancient Varieties in Spanish Grapevine Germplasm Collections
pp. 557-562(Research Note) [
英文要旨原文]
[スペインのブドウ生殖質コレクションにおける古くからの品種の保存と分子特徴づけ]
スペインのアラゴン地方のMoveraブドウ生殖質バンクからの200の登録品種を試験した。6のSSR遺伝子座の分子プロフィールにより、86の登録品種のタイプが正しいことを確認し、33の間違って命名された登録品種に正しい名前を割り当て、43の「未知品種」を同定した。38の登録品種は、24の分子プロフィールを与え、自生種に属していると考えられる。結果は、ブドウ樹の遺伝的伝承の一部とするために、古くからのスペイン品種の新しいSSR対立遺伝子プロフィールを提供し、そして、スペイン・マドリードのEI Encinブドウ樹生殖質バンクから発表されているデータベースにおいて、いくつかの異名、異種同名、不一致が存在することを明らかにした。



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