American Journal of Enology and Viticulture
       論文要旨 和訳


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Volume 64, No.1 (2013)
A.Filo, P.Sabbatini, G.W.Sundin, T.J.Zabadal, G.R.Safe, P.S.Cousins
Grapevine Crown Gall Suppression Using Biological Control and Genetic Engineering: A Review of Recent Research
pp. 1-14 [
英文要旨原文]
[生物防除および遺伝子工学を用いたブドウ根頭がん腫病の抑制:最近の研究動向]
根頭がん腫病は壊滅的なブドウ病害であり、しばしば冬の冷害によって引き起こされる。Agrobacterium vitis がブドウ根頭がん腫病の病原菌であり、根から師管液の流れに乗って凍害を受けた部位に移動し、そこで感染し、遺伝子組み換えを行う。根頭がん腫病は樹幹の維管束系を破壊し、栄養素の流れを阻害し、椊物としての機能低下、枯死を引き起こす。根頭がん腫病に対して考案された栽培管理作業は部分的な効果しかなく、代替法が必要とされている。遺伝子工学および生物防除は根頭がん腫病を抑制するためのより望まれるアプローチである。生物防除では、根頭がん腫病菌の濃度を減少するためにブドウ樹の根に拮抗微生物を処理する。遺伝子工学では、ブドウ樹自身あるいは拮抗微生物を形質転換することによって根頭がん腫病菌の感染やがん腫の形成を抑制することを目指す。これは、細菌特異的に効果を示すペプチド型抗生物質を生産するための分子機構、根頭がん腫病菌のDNAの輸送、組み込み、がん化遺伝子の発現を抑制するための分子機構を強化することによって達成されるであろう。拮抗微生物では、Agrobacteriumに有効なバクテリオシンの生産を強化する方法も考えられる。この総説では、ブドウ根頭がん腫病を抑制するための生物防除および遺伝子工学技術の応用について解説し、将来的な研究開発および適用について推奨する。

F.Weber, K.Greve, D.Durner, U.Fischer, P.Winterhalter
Sensory and Chemical Characterization of Phenolic Polymers from Red Wine Obtained by Gel Permeation Chromatography
pp. 15-25 [
英文要旨原文]
[ゲル浸透クロマトグラフィーで調製した赤ワインのフェノール重合体の性質]
2005年のCabernet Sauvignonのポリフェノールをゲル浸透クロマトグラフィーで分画した。得られた画分をモデルワインに溶解し分析に用いた。各画分の化学的な特性を調べるため、HPLC-DAD、HPLC-ESI-MSn、比色分析、及び他の化学分析を行った。ゲル浸透剤の溶出パターンとこれらの分析手法やその組み合わせにより、いくつかの有用な構造情報が得られた。分子量の大きい化合物または極性の高い化合物は速く溶出されるが、初期に溶出される画分では、色素重合体及び結合型アントシアニン含量が高かった。これらのアントシアニン類はCIELab分析で分離が可能となる初期溶出画分の色調特性に影響するものであった。後期溶出画分は、より明るく黄色い色調で、タンニン濃度が高く、低分子のプロアントシアニジンを多く含有した。苦味、酸味及び収斂味の質を評価するため、記述分析を行った。「乾いた《タンニンの感覚は、初期に溶出するアントシアニン類を多く含有する重合体では低く、プロシアニジンやオリゴマーのフラバン-3-オールが多い後半の溶出画分で高くなった。このことから、一般に赤ワインの熟成でみられる収斂味の弱化はアントシアニンが重合物に取り込まれることで生じると考えられた。収斂味とは対照的に、苦味の強度はどの化学的なパラメーターとも十分な相関を示さなかった。この結果から、赤ワイン中では、非常に特異的なフェノール性化合物の構造が苦味の知覚を与えていると考えられる。高分子量の色素重合体ほど収斂味が減ったことから、重合度が高くなることで収斂味が増強されることより、アントシアニンが重合物に取り込まれることの方が重要なのかもしれない。

R. P.Schreiner, J.Lee, P.A.Skinkis
N, P, and K Supply to Pinot noir Grapevines: Impact on Vine Nutrient Status, Growth, Physiology, and Yield
pp. 26-38 [
英文要旨原文]
[Pinot noir種への窒素、リン、カリウムの施用:栄養状態、成長、生理および収量への影響]
ブドウ樹の成長および生理状態に及ぼす低窒素、低リン、低カリウム施用の影響を調査するために、ポットインポット法を用いてPinot noir種(自根、Pommard系統)を栽培した。4年齢のブドウ樹に対し、100%の施用量ですべての成分を施した対照区と、対照区の50%、20%あるいは10%で窒素、リン、カリウムを減少した実験区を準備し、2006年から2008年までの3年間施用した。そして、各実験区において、成長具合、栄養状態、光合成パラメーター、収量、果実品質を評価した。実験区において葉身、葉柄における窒素およびリン含有量はカリウムよりも早く、そしてより多く減少したが、ブドウ樹における窒素、リン、カリウムの含有量は意図したとおり実験区で減少した。低窒素施肥では、すべての年で休眠中の主枝の重さが減少した。また、2008年には新梢の長さ、葉面積、収量が低窒素施用により減少した。2008年の低窒素施用による収量減は主に果粒重の減少によるものであった。2008年の低窒素施用では、単一葉あたりの光合成および光化学系IIの活性もまた減少したが、低リン施用および低カリウム施用ではこの現象は認められなかった。2007年にはいずれの処理区においても果汁中のYAN(酵母資化性窒素)が減少したが、2007年および2008年では、低窒素施用によって果汁中のYANが著しく減少した。低リン施用および低カリウム施用はブドウ樹の成長および収量に影響を及ぼさなかった。低リン施用では果汁中のリン含有量が減少したが、低カリウム施用では果汁中のカリウム含有量は変化しなかった。低窒素施用における収量、生育および果汁中のYANの減少はPinot noir種の葉身および葉柄の窒素含有量を改善するための枠組みを提供するものであるが、リンおよびカリウムを制限することについての明らかな定義づけはできなかった。

L.Martínez-Lapuente, Z.Guadalupe, B.Ayestarán, M.Ortega-Heras, S.Pérez-Magariño
Sparkling Wines Produced from Alternative Varieties: Sensory Attributes and Evolution of Phenolics during Winemaking and Aging
pp. 39-49 [
英文要旨原文]
[新品種によるスパークリングワインの製造:官能特性とワイン製造及び熟成中のフェノール性化合物の生成]
スティルワインを作るために伝統的に用いられてきたスペインのブドウを用いて、白及びロゼスパークリングワイン製造への可能性について調査した。製造したスパークリングワインは、Vitis viniferaのVerdejo、Viura、Malvasía、Albarín、Godello、Garnacha及びPrieto種であった。ワインは官能特性及びワイン製造中及び熟成中のフェノール性モノマー及びポリマーの変化について調べた。ベースワインの安定化処理及び清澄化によりアントシアニン及びプロアントシアニジン濃度が有意に減少した。酵母澱と接触させた最初の数か月は、すべてのタイプのポリフェノールが減少したが、いくつかは最後の月になってワイン中に再度戻った。Garnacha種のロゼスパークリングワインはヒドロキシシンナム酸類の濃度が高かったが、Prieto Picudo種のロゼスパークリングワインは、色調強度とアントシアニン濃度が高かった。白スパークリングの中では、Viura 種のヒドロキシシンナム酸類の濃度が高かったのと同様にAlbarín種はカテキン、プロアントシアニジン類も高かった。官能特性では、Prieto Picudo種は色調強度が最も高く、赤色で、香りも強く、フレッシュな感じで、また泡の質もGarnacha種より高かった。Albarín及びVerdejo種は色調と香りが他の品種の白ワインより高く、Verdejo種は泡の質に秀でていた。Prieto Picudo、Albarín及びVerdejo種は高品質のスパークリングワインの製造に向いていると思われる。

I.Romero, E.García-Escudero, I.Martín
Leaf Blade versus Petiole Analysis for Nutritional Diagnosis of Vitis vinifera L. cv. Tempranillo
pp. 50-64 [
英文要旨原文]
[Vitis vinifera Tempranillo種の栄養診断のための葉身/葉柄解析]
リオハ(スペイン)内の土壌と気候条件を代表する単一のブドウ畑において、Vitis vinifera Tempranillo種の葉身および葉柄の栄養素量の経時的安定性と再現性を評価した。生育期間を通して葉身および葉柄をサンプリングし、N、 P、 K、Ca、Mg、Fe、Mn、Zn、CuおよびBの量を測定した。再現性に関して、葉身のNおよびKは葉柄より低い変動係数を示す一方、葉柄はBについて葉身よりも低い変動係数を有していた。開花時期のPおよびMgは葉身および葉柄でよく似た変動係数を示す一方、ベレゾン期の葉身はいずれの栄養素についても低い変動係数を示した。Ca、MnおよびFeは生育期間を通じてよく似た変動係数を示した。葉における栄養素量の季節変動は、各々の生育ステージにおいて葉身および葉柄のための特異的な栄養素が必要であることを示唆した。一般的に、生育期間を通しての栄養素の動向は、花冠が100%落ちる生育時期に採取したサンプル間で有意差は認められなかったが、ベレゾン期のサンプリングにおいてもサンプル間に有意な差はなかった。結果として、葉身はNおよびKの分析に適した器官であり、葉柄はBの評価により適した器官である。Ca、MnおよびFeはいずれの生育期間においても両器官でよく似た再現性を有している。PおよびMgは開花時期において葉身、葉柄ともによく似た再現性を示す一方、ベレゾン期のPおよびMg診断では葉身が最も相応しい器官である。

J.P.Geller, S.K.Kurtural
Mechanical Canopy and Crop-Load Management of Pinot gris in a Warm Climate
pp. 65-73 [
英文要旨原文]
[温暖な気候で栽培されたPinot gris 種の機械による樹冠および作物荷重管理]
温暖な気候で栽培されたPinot gris 種の最適な結果量およびRavaz 指数(剪定重量に対する収量の比率)に及ぼす機械での樹冠管理の影響を明らかにした。本研究では、4反復を有する完全乱塊法により設定された2種の剪定、3種の新梢間引き剪定と2種の除葉処理を検討した。剪定方法として、1メートル当たり23節まで手で剪定する方法と10センチの短果枝を保持するように機械で剪定する方法を検討した。新梢間引き剪定では、E-Lステージ17の時期に、列1メートル当たり23(軽度)、33(中程度)、あるいは45(重度あるいは間引きせず)の新梢を残すように機械剪定を行った。除葉処理では、除葉機を用いて開花後20日目にフルーツゾーン内の45センチ(東側のみ)を除葉した実験区と除葉を行わない対照区を用意した。機械剪定と中程度の新梢間引き剪定の相関関係として、全新梢に対する計算に入っていない変則的な新梢の貢献度が減少した。樹冠の隙間や光合成有効放射が増加した一方で、剪定および新梢間引き剪定に関わらず樹冠の葉層は除葉処理により減少した。手による剪定を受けたブドウ樹に比べ、機械剪定と中程度の新梢間引き剪定を施すことにより、果実成分へのマイナスの影響はなしに、収量は増加し、果粒および果房の重さは減少した。1メートル当たり8.15 kgの作物荷重を達成するためには、Ravaz指数で10.2から12.0 kg/kgが必要であった。このRavaz指数は0.82 から0.92 kg/mの剪定に相当した。本研究では、温暖な気象条件下において剪定量あるいは果実成分に影響を及ぼさずに作物荷重を最適化する方法として、休眠期に10センチの短果枝にする機械剪定とE-Lステージ17の時期に列1メートル当たり35新梢を残す中程度の新梢間引き剪定が最適であることを明らかにした。本研究で明らかになった方法は、手による選定作業のみに比べ、79%の労務費を削減した。

G.Balint, A.G.Reynolds
Impact of Exogenous Abscisic Acid on Vine Physiology and Grape Composition of Cabernet Sauvignon
pp. 74-87 [
英文要旨原文]
[カベルネ・ソービニヨンブドウ樹の生理機能とブドウ成分に及ぼす外性アブシジン酸の影響]
 ナイアガラ半島において、冷涼な年はベレゾンが遅れる。ゆえに、成長期が短くなり、ブドウの成熟に上利な影響を及ぼす。外性のアブシジン酸(ABA)は、潜在的にベレゾンを早め、冷涼で湿潤な年のブドウ成分を改善することを可能にした。二つの実験を、オンタリオ州ナイアガラオン・ザ・レイクにあるカベルネ・ソービニヨン区画で、2008年と2009年に実施した。両年は、平均より高い雨量、そしてより低い気温により特徴づけられた。第一の実験は、ベレゾン1週間前に開始され、2週間隔で3回実施された4つの処理からなる。すなわち、非処理のコントロール、300 mg ABA/Lを樹冠全体、果房のみ、そして葉のみに散布した。第二の実験は、3つの処理を有した。すなわち、0(コントロール)、150そして300 mg ABA/Lを果房のみに散布した。両年ともに、実験開始後2~4週間で、コントロールはまだ20%の緑色果粒をともなった果房を有していた。処理後、果粒は葉に比べて低いABA取り込み速度を有した。両方のABA比率ともに、ベレゾンの開始を早めた。両年において、蒸散速度、葉Ψそして果実成分は、葉のみと樹冠全体の処理において、最も影響を受けた。収穫時において、ABA処理は、コントロールに比べてBrixは高く、果粒重量は低かった。総アントシアニンと総フェノールもまた、ほとんどのABA処理において増加した。最も高いABA比率で処理した果房由来の果粒は、他の処理由来の果粒と比べて、より高い赤‐青色強度を示し、そして最も高いアントシアニンとポリフェノール含量も有した。処理ブドウ樹は、個々のアントシアニンとアセチル化アントシアニンの増加を示した。この増加は、処理間で生じる、シアニジン、ペチュニジン、マルビジンの比率の変化をともなっていた。外性ABAは、カベルネ・ソービニヨンのベレゾンの開始の促進とブドウ成分の改善に効果的であった。

C. González-Flor, L.S.Porta, G.G.Altarriba
Predicting Berry Quality Attributes in cv. Xarel·lo Rain-Fed Vineyards Using Narrow-Band Reflectance-Based Indices
pp. 88-97(Research Note) [
英文要旨原文]
[狭帯域分光反射特性指標を用いた天水条件のブドウ園におけるXarel·lo種の果粒の品質特性の予測]
天水条件のブドウ園において、水の有効性は栄養および生殖成長に強く影響し、そして、それ故に、果粒の品質に影響する。狭帯域分光反射特性指標はブドウ樹の構造と生理的状況に関する情報を提供し、果粒の品質を予測するための有用な手段になるであろう。本研究は、正規化差椊生指数(NDVI)と光化学反射特性指数(PRI)を2009年および2010年の5つの生産ブドウ園(Xarel·lo種)における果粒品質を評価するのに使用する可能性を試験した。夜明け前の水ポテンシャル(Ψpd)、大気に対する樹冠温度の差、遮断された光合成有効放射画分(fIPAR)、露出した葉面積、そして樹冠反射特性の測定は、ベレゾン期に行われた。果粒重量、総可溶性固形物(TSS)、そして滴定酸(TA)が、収穫期に測定された。Ψpdの値は、穏やかから中位の水分欠乏を示した。NDVIは、樹勢に及ぼす水有効性の影響を特徴づけた(fIPAR)。一方、PRIは、水状態(Ψpd)に関連していた。水分欠乏の程度は、果粒品質特性を推定するうえで、スペクトル指標の適性を決定する1つのキー要因であった。ゆえに、果粒品質特性に及ぼす樹勢と水状態の影響と一致して、NDVIは、TA(r2 = 0.46)とIMAD(TAに対するTSSの比;r2 = 0.27)の両方と関連していた。一方、PRIは、TSSとIMADの両方に関係していた(それぞれ、r2 = 0.23 そしてr2 = 0.34)。加えて、PRIは、果粒重量と正に関連していた(r2 = 0.68)。結果は、穏やかから中位の水分欠乏を経験しているブドウ園の果粒品質特性の評価における、樹冠活力の分光反射特性指標(すなわち NDVI)と光合成機能(すなわち PRI)の潜在的能力を示唆している。

A.Rodrigues, J.M.Ricardo-Da-Silva, C.Lucas, O.Laureano
Effect of Winery Yeast Lees on Touriga Nacional Red Wine Color and Tannin Evolution
pp. 98-109(Research Note) [
英文要旨原文]
[Touriga Nacional赤ワインの色調とタンニンの変化に及ぼす酵母の澱の影響]
赤ワインの熟成において澱と接触させることは、酒質を丸くし、収斂味を減少させるために用いられる製造技術である。外部の酵母澱を赤ワインに添加し、熟成中の色調及びタンニンの変化について2つの実験を行った。酵母澱の添加は研究期間内では色調の安定化に影響を与えなかった。実験開始直後に、色素化合物及び縮合タンニンは酵母澱に速やかに吸着した。また酵母澱の添加によりプロアントシアニジンの重合化反応の遅延が生じ、低分子及び中分子のタンニンが溶液中に残存した。2つの異なる相互作用が見られた。①酵母澱へプロアントシアニジンが吸着する。これは主として重合度の高いものが吸着する。②プロアントシアニジンの重合化が遅延する。これは酵母澱から溶出するマンノタンパク質の影響と考えられる。酵母澱の熟度がマンノタンパク質の溶出に影響をあたえ、そのワインへ影響を与える要因である。

K.Tang, Ji-Ming Li, B.Wang, L.Ma, Y.Xu
Evaluation of Nonvolatile Flavor Compounds in Vidal Icewine from China
pp. 110-117 [
英文要旨原文]
[中国のVidal種アイスワインの非揮発性フレーバー化合物の評価]
非揮発性フレーバー化合物はアイスワインのマウスフィール及びフレーバーに重要である。2008~2010年に中国で製造されたVidal種のアイスワインについて有機酸、アミノ酸及びフェノール性化合物をHPLC及びUPLCで分析し、Vidal種の非揮発性フレーバー化合物に関する大きなデータベースを構築した。分析の結果、9つのアイスワインの試料と同じ分布パターンが得られた。最も多い有機酸はL-リンゴ酸、酒石酸、酢酸、及びクエン酸であり、アミノ酸ではプロリンが多かった。アイスワインの主要なフェノール酸はプロトカテキュ酸などのヒドロキシ安息香酸の誘導体であったが、フェルラ酸のようなヒドロキシシンナム酸も多量に検出された。アイスワインのFlavan-3-olの80%以上はエピガロカテキンであった。主成分分析の結果、ビンテージによる分類が可能であった。アイスワインは2008、2009及び2010ビンテージの3つのグループで識別可能であった。しかしアイスワインのランクはアミノ酸、有機酸及びフェノール酸の含量では識別上能であった。非揮発性フレーバー化合物の分布のパターンによりアイスワインの製造年を特定できることが分かった。

E.Dreyer, C.Sims, R.Rouseff, D.Gray, M.Sipowicz
Sensory and Compositional Characteristics of Blanc Du Bois Wine
pp. 118-125 [
英文要旨原文]
[Blanc Du Bois種ワインの官能及び組成的な特徴]
Blanc Du Bois種は白系ハイブリットブドウであり、高品質の白ワイン製造のために作出され、温暖で湿潤な北米南東部の気候に適し、ピアス病にも耐性がある。Blanc Du Bois種のワインのフレーバーの特徴はほとんど知られておらず、これらが品質にどう影響するのかはわかっていない。本実験では品質における違いを調べるため、Blanc Du Bois種ワインの官能試験及び化学的な分析を行った。実験は3つの部分に分けて行った。①記述分析のためにパネルを訓練し、②ワインの化学的及び揮発成分の分析を行い、③熟練したワイン評価者による品質評価を行った。14吊のパネルにより、ワインの中で最も重要だと思われるアロマとフレーバーの13項目が見出された。個々の項目について参照用試料を使った訓練を行い、15点のスケールによる弁別訓練を行い、個々のワインについてそれぞれの項目の強さを得点化した。2次元ANOVA、主成分分析及び相関分析により、結果を分析した。個々の項目ごとにワイン間で差異が認められ、ワインの品質得点とともにプロットをすると、高品質あるいは低品質と関係する項目が示された。本実験により、トロピカルで果樹果物様の特性は、シトラス、緑林/草、フェノール様な特性より高品質を示した。高品質なワインは、isoamyl acetate、ethyl octanoate、ethyl decanoate及びethyl dodecanoateなど、エチルあるいは酢酸エチルのレベルが高かった。

T.Madrigal, S.Maicas, J.J.M.Tolosa
Glucose and Ethanol Tolerant Enzymes Produced by Pichia (Wickerhamomyces) Isolates from Enological Ecosystems
pp. 126-133(Technical Briefs) [
英文要旨原文]
[醸造生態系から分離したPichia(Wickerhamomyces)が生産するグルコース及びエタノール耐性酵素類について]
17株のPichia (Wickerhamomyces)をスペインのUtiel-Requena地方の醸造環境から分離し、生理学的特性(API 20 AUX Strips及びID Yeast Plus Systemを使用)及び分子生物学的特性(PCR-RFLP及びシーケンス)に関する試験を行いP. fermentans、P. membranifaciens及びW. anomalusとの関連を調べた。実験結果はP. anomalaをWickerhamomyces anomalusに再分類すべきであることを示した。これらの酵素的な能力を調べるためxylanase、β-glucosidase、lipase、esterase、protease及びpectinaseについて試験した。Wickerhamomyces anomalus及びP. membranifaciensはワイン産業において酵素源として最も注目すべき種であることがわかった。すなわちグリコシダーゼは高濃度グルコース及びエタノールに耐性があり、ワイン醸造における使用に興味が持たれる。

L.F.Wessner, S.K.Kurtural
Pruning Systems and Canopy Management Practice Interact on the Yield and Fruit Composition of Syrah
pp. 134-138(Research Notes) [
英文要旨原文]
[剪定システムと樹形管理実施はシラーの収量と果実組成に影響する]
 カリフォルニア州サンホアキン・バレーにおいて、生産試験を実施した。この試験場において、シラー(05/SO4)ブドウ樹の樹冠の微気候は、生産性が低下したブドウ園の回復のために要因分析的に計画された3つの剪定システムと2つの除葉処理を通して変更された。ブドウ樹は、手作業でそれぞれ44 節に剪定されるか、10 cmの垣根に機械剪定されるか、または、水平方向の樹冠分離をともなった列の反対方向に整えられた6本の8節の枝に手作業でケーン剪定(長梢剪定)された。葉の外表層は、果実ゾーンのコルドンの上の45 cmゾーンの樹冠の東側において、開花20日後に機械により除去されるか、または除去されなかった。スパー剪定(短梢剪定)そして機械剪定されたブドウ樹からの収量は、試験エリアに対して非常に低いと考えられた。そして、除葉は、収量組成に影響しなかった。スパー剪定されたブドウ樹は、各年において、機械剪定されたブドウ樹、そしてケーン剪定されたブドウ樹に比べてより早い時期に24 Brixに達した。除葉は、収穫期のシラーの果実組成に影響しなかった。果皮フェノール類は、適用した処理により、一貫して影響されなかった。ケーン剪定は、結果として、30cmの列あたり32の新梢と7.77 kg/kgのRavaz index(剪定重当たりの収量)をともなった3.8の葉層を生じ、そして一貫して、22 tons/ha を24Brixまで成熟させた。ゆえに、この方法は、サンホアキン・バレーにおいて生産性が減少したブドウ園の収量を改善するために使用されるべきである。研究は、温暖な気候条件のブドウ園に対して、収量を維持できる一つの剪定システムを明らかにし、生産性が減少したブドウ樹をどのように回復させるかに関して、栽培者に管理情報を提供する。

C.Portugal, F.Ruiz-Larrea
Comparison of Specific Real-Time PCR and Conventional Culture for Detection and Enumeration of Brettanomyces in Red Wines
pp. 139-145(Research Notes) [
英文要旨原文]
[赤ワイン中のBrettanomyces検出及び数値化のための特異的リアルタイムPCR及び従来型培養法の比較]
Brettanomyces/Dekkeraは微生物汚染の主要な原因であり、官能における偏差の原因と考えられている。本研究ではBrettanomyces/Dekkera検出及び定量用の従来型培養法とリアルタイムPCR法(Q-PCR)における感度と有効性を比較し、その関連性を調べた。また、324本の赤ワインに対して改良型Q-PCR法を適応したところ、Brettanomyces/Dekkeraの個体数が20 cells/mL以下の混濁したワインでも定量が可能であった。従来型培養法は時間がかかるがQ-PCR法よりコスト面で有利であり、単純で、Brettanomyces/Dekkeraの生菌数の定量には有効な方法である。

T.Sugiyama, M.Kitamura, K.Sugita, T.Okuda, M.Hisamoto, A.Nakao
Grape Seed Extract from Koshu Cultivar Antagonizes Dioxin-Induced Aryl Hydrocarbon Receptor Activation
pp. 146-151(Research Notes) [
英文要旨原文]
[甲州種の種子抽出物はダイオキシンにより誘導された芳香族炭化水素受容体活性化を低下させる]
芳香族炭化水素受容体(AhR)経路は多くのヒトの疾病に対して重要であると考えらえている。本実験では甲州種から調製したブドウ種子抽出物(GSE)のAhRに対する活性を検討した。甲州種由来のGSEは2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin(TCDD)によるAhR活性化をin vivoでもin vitroでも阻害した。これらの結果から甲州種GSEはTCDD誘導性AhR活性化のアンタゴニストであることを示唆している。さらにTCDDを胃管投与した場合、肝機能の増強が見られるが、TCDD同時に甲州種GSEを投与した場合、血清のaspartate aminotransaminase (AST)及びalanine transaminase (ALT)のレベルは増強されなかった。これらの結果は、甲州種のGSEは肝臓疾患を防御する可能性を示唆している。

C.Li, A.Erwin, D.Pap, C.Coleman, A.D.Higgins, E.Kiss, P.Kozma, S.Hoffmann, D.W.Ramming, L.G.Kovács
Selection for Run1-Ren1 Dihybrid Grapevines Using Microsatellite Markers
pp. 152-155(Research Notes) [
英文要旨原文]
[マイクロサテライトマーカーを用いたRun1-Ren1 二遺伝子雑種ブドウ樹の選抜]
Ren1とRun1ウドンコ病耐性対立遺伝子の遺伝とウドンコ病耐性表現型の分離を追跡するために、ブドウ雑種後代を作成した。遺伝子型分析を、フランキングマイクロサテライトマーカーを用いて行った。表現型評価は、in vitroそして温室環境下で行った。表現型と遺伝子型データのペアリングは、Ren1とRun1が単一の優性遺伝子座として働き、そして遺伝的分離の考慮すべきひずみ無しに、独立してアソートされることを示した。染色体の組換え事象は、Ren1において検出されたが、Run1領域では検出されなかった。これは、相同染色体間の乗りかえが、Run1遺伝子座周辺で抑制されたという以前の観察結果を確証している。まとめると、結果は、マイクロサテライトマーカーの補助による選抜が、病原菌に対する耐性を付与する複対立遺伝子を結合するための、信頼性が高く、迅速な方法であることを確認した。

E.Díaz-Losada, A.T.Salgado, I.Orriols-Fernández, A.María Ramos-Cabrer, S.Pereira-Lorenzo
New Synonyms and Homonyms for Cultivars from Northwestern Spain
pp. 156-162(Research Notes) [
英文要旨原文]
[北西スペイン由来の栽培種の新しい異吊と同吊]
北西スペインガリシア州のEstación de Viticultura y EnologíaのVitis属の種の主要ブドウ樹生殖質バンクは、272の系統種を有している。8つのSSRは、27グループの(同物)異吊と6の(異物)同吊をともなった66の異なった遺伝子型を区別した。Brancellao Blanco(白色果粒)は、Brancellao(黒色果粒)と区別できなかった。11の遺伝子型は、以前は記述されていなかった。この研究で使用された8つのSSRは、ガリシア由来の2つの栽培種グループ、すなわち、西のCaíñoグループと東のMerenzaoグループの存在を確認した。

S.Shiozaki, T.Nakamura, T.Ogata
Resveratrol Productivity of Wild Grapes Native to Japan: Vitis ficifolia var. lobata and Vitis ficifolia var. ganebu
pp. 163-168(Research Notes) [
英文要旨原文]
[日本在来野生ブドウ、Vitis ficifolia var. lobata(エビヅル)とVitis ficifolia var. ganebu(リュウキュウガネブ)のリスベラトロール生産性]
日本在来野生ブドウVitis ficifolia Bunge var. lobata(エビヅル) とV. ficifolia Bunge var. ganebu (リュウキュウガネブ)の葉と果実におけるリスベラトロール生産能力を測定した。紫外線-C(UV-C)照射は、リスベラトロール生産を誘導するために使用された。非照射リーフディスクのリスベラトロールレベルは、エビヅルに比べてリュウキュウガネブの方が3.6倊高かった。そして、UV-C照射後のリュウキュウガネブのリーフディスクのレベルは、エビヅルに比べて4.4倊高かった。非照射の果粒におけるリスベラトロールレベルは、品種間でほとんど異ならなかった。両品種の未熟果粒のリスベラトロールレベルは15分間のUV-C照射後、24時間で有意に増加した。しかし、UV-Cにより誘導されるリスベラトロール生産は異なったパターンを有していた。エビヅルのリスベラトロール生産は果粒の成長と成熟の間に低下した。一方、リュウキュウガネブのそれは、収穫期の最も成熟した段階の間に観察されるのとほぼ同レベルに増加する前に、ベレゾンに至るまで低下した。リュウキュウガネブの成熟果粒において、増加したリスベラトロールが、UV-C照射後48時間おいても検出された。UV-C照射は、どちらの品種のパイシードレベルにも影響しなかった。リュウキュウガネブは、果粒において特に、特徴的なリスベラトロール生産パターンを持った野生ブドウである。



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