American Journal of Enology and Viticulture
       論文要旨 和訳


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Volume 64, No.4 (2013)
R.Gawel, S.C.Van Sluyter, P.A.Smith, E.J.Waters
Effect of pH and Alcohol on Perception of Phenolic Character in White Wine
pp. 425-429 [
英文要旨原文]
[白ワインのフェノール成分の味わいに及ぼすpHとアルコールの影響]
白ワインのフェノール成分、pH、含まれるアルコールの相互作用から生じる口中のテクスチャーについて評価した。白ワインからフェノール成分を抽出し、ワインで現実に存在するレベルの量を白ワインに戻し、種々のpHとアルコール濃度に調整した。pH 3.3で白ワインにフェノール成分を戻すと、その収斂味が顕著に増大した。しかし、同量をpH 3.0に調整したワインに戻しても、収斂味が更に高くなることはなかった。より多くのフェノール成分をワインに添加すると、一般的に苦みと粘性が増大するが、その効果は抽出するフェノール成分の原料に依存した。フェノール成分を添加したワインは、一般によりホットに感じられ、ワインのアルコール濃度が低いときに顕著に表れる。フェノール成分とアルコールの収斂味と苦みに与える効果は相加的であり、白ワインではアルコールは直接的にこれら味の寄与成分に影響する。以上、白ワインのフェノール成分による味とテクスチャーは、アルコールの低いワインでは影響が強調された。

M.P. Mendez-Costabel, K.L. Wilkinson, S.E.P. Bastian, M. McCarthy, C.M. Ford, and N. Dokoozlian
Seasonal and Regional Variation of Green Aroma Compounds in Commercial Vineyards of Vitis vinifera L. Merlot in California
pp.430-436 [
英文要旨原文]
[カリフォルニアにおけるメルロー(Vitis vinifera)の生産ブドウ園における青いアロマ化合物のシーズンおよび地域変動]
ブドウとワインの青いアロマの原因となる主要な物質である3-イソブチル-2-メトキシピラジンとC6 化合物の地域およびシーズン変動を調査するために、2007年から2010年にかけて圃場調査を実施した。カリフォルニアのセントラルバレー内の明確に異なった3つのワインブドウ生産地域に位置する69のメルロー(Vitis vinifera)生産ブドウ園において収穫期にサンプリングを行った。果実サンプルは、青いアロマ物質と標準的ケモメトリックに対して分析された。そして、積算成長度日や降水量のような幾つかの気象パラメーターをブドウ園レベルで記録した。シーズン変動は地域変動よりも重要であり、それぞれのシーズン内で地域間に類似した傾向が確認された。春、すなわち活発に成長する期間の気温は、おそらくブドウの樹勢および果実遮光との相互作用により、収穫時の果実の青いアロマ物質の有意な駆動因子であることが見出された。

L.F.Casassa, C.W.Beaver, M.Mireles, R.C.Larsen, H.Hopfer, H.Heymann, J.F.Harbertson
Influence of Fruit Maturity, Maceration Length, and Ethanol Amount on Chemical and Sensory Properties of Merlot Wines
pp. 437-449 [
英文要旨原文]
[果実熟度、醸し期間、エタノール濃度がメルローの化学的および官能的性質に及ぼす影響]
2シーズンに亘り、~20.3から24.9°Brixのブドウを用い、種々の醸造条件でワインを醸造した。メルローは、2011年は収穫期間を33日ずらし、2012年は34日ずらして収穫した。収穫時、半分のマストは、異なる成熟度における、アルコールによるフェノール類抽出への影響をなくすため、可溶性固形分の濃度を調整した。更に、醸し期間を10日(対照)および30日(延長醸し、EM)とした。対照ワインは顕著に高いアントシアニン含有量、飽和度、赤色素成分を示した。一方、EMワインは種子からのタンニン抽出が増強され、アントシアニン含有量が低く、飽和度も低く、色調が高く、高い重合度の色素の含有量が多かった。2.7% (v/v)までのエタノール濃度の違いは、タンニンとアントシアニン抽出に影響しなかった。即ち、ワイン醸造条件としては、エタノール濃度はマイナーな役割しか果たしていなかった。より遅い収穫時期は、醸し期間やエタノール濃度に関し、ワインの官能プロファイルにポジティブな効果を示した。早い収穫時期のワインは、新鮮な品種香で、酸度が高く、低い色素飽和度を示すと定義された。遅い収穫時期のワインは、粘性のあるマウスフィール、甘い味、果実由来のアロマを有すると定義された。延長醸しは官能の特徴を、より収斂味のある、軽い黄色の色調で、調理した野菜のアロマを持つものにシフトした。早期収穫マストに25°Brixまで補糖すると、ワインの官能特徴を、調理した新鮮野菜の特徴から甘い、高アルコール感の、花のような香りの、チョコレート/カラメル感のある、収斂味があり、粘性のあるマウスフィールのものにシフトした。全体として、未熟なブドウ果実と長い醸し期間は、官能プロファイルにネガティブな影響を及ぼした。一方、未熟なブドウへの補糖は、改善された官能プロファイルを与えた。

J.D.Dunlevy, K.L.Soole, M.V. Perkins, E.L.Nicholson, S.M. Maffei, P.K. Boss
Determining the Methoxypyrazine Biosynthesis Variables Affected by Light Exposure and Crop Level in Cabernet Sauvignon
pp. 450-458 [
英文要旨原文]
[カベルネ・ソーヴィニヨンにおける光照射により影響されるメトキシピラジン変動と収穫レベルの測定]
メトキシピラジン類は幾つかのブドウ品種から製造されるワインにおいて草・野菜の特徴のもととなる知覚的に影響の強い揮発性化合物である。ブドウ果粒におけるこれら化合物の生合成は、ヒドロキシピラジン中間体のメチル化を含む経路を通して起こることが知られている。幾つかのブドウ栽培管理体制がメトキシピラジンを生産する遺伝的能力を有するそれら品種の果実のメトキシピラジン濃度を変えるために使用されうる。この研究は、前駆物質3-イソブチル-2-ヒドロキシピラジン(IBHP)の濃度とメトキシピラジン生合成の最終段階に責任を持つメチルトランスフェラーゼ遺伝子(VvOMT3)の発現に及ぼすこれら変数の影響をより良く理解するために、カベルネ・ソーヴィニヨン果実の3-イソブチル-2-メトキシピラジン(IBMP)濃度に対する光照射と収穫レベルが及ぼす影響を調査した。光がVvOMT3 の発現とIBHP濃度を減少させることが見出された。このことは、果実がより強い光照射を受けた時に、これらファクターの組合せが、IBMP濃度を減少させることを示唆している。それに対して、ブドウ樹の収穫レベルをコントロールの半分以下に引き下げることは、この処理がIBMP濃度の有意な増加を引き起こすにもかかわらず、IBHP 濃度またはVvOMT3の発現に有意な効果を持たなかった。IBMPは果粒の果肉で合成されると思われる。このことは、果粒サイズの違いが、IBMP濃度に及ぼす作物レベル効果を説明するかもしれないことを示唆している。

Y.Ruiz-García, I.Romero-Cascales, A.B.Bautista-Ortín, R.Gil-Muñoz, A. Martínez-Cutillas, E.Gómez-Plaza
Increasing Bioactive Phenolic Compounds in Grapes: Response of Six Monastrell Grape Clones to Benzothiadiazole and Methyl Jasmonate Treatments
pp. 459-465 [
英文要旨原文]
[ブドウ中の生理活性フェノール化合物の増加:ベンゾチアジアゾールとジャスモン酸メチル処理に対する6つのモナストレルブドウクローンの応答]
椊物に対する異なるエリシターの塗布は、それらのフェノール化合物含有量の改善にとって有用な技術であることがわかっている。しかし、研究は、エリシターに対する椊物の実際の応答が、品種とクローンの両方に依存することを示している。本研究では、観察された影響がクローン依存的かどうかを測定するために、モナストレルブドウ品種の6つの選抜されたクローンコレクションが椊えられたブドウ園において、2つのエリシター(ベンゾチアジアゾールとジャスモン酸メチル)が散布された。アントシアニン類、フラボノール類、スチルベン類そして種子と果皮タンニンの分析は、応答の程度は同一品種由来の種々のクローン間で異なっていたが、全般に、両エリシターともに、処理椊物のフェノール化合物レベルを増加させることを示した。ベンゾチアジアゾールとジャスモン酸メチルの両方のポジティブな効果は、そのような処理が、ブドウとワインの色の改善に有用であると同時に、幾つかの病原体に対する耐性も増加させ得ることを示している。しかし、処理に対するブドウの応答の違いがクローンに依存して生じる可能性があることから、予備的なフィールド調査研究が行われるべきである。

T.N.L.Grant, J.Gargrave,I.E. Dami
Morphological, Physiological, and Biochemical Changes in Vitis Genotypes in Response to Photoperiod Regimes
pp. 466-475 [
英文要旨原文]
[日長管理に対する応答におけるVitis遺伝子型の形態学、生理学そして生化学的変化]
この研究の目的は、日長管理に対する応答におけるVitis遺伝子型の形態学、生理学そして生化学的変化を明らかにすることである。実験は温室条件下で、低温感受性カベルネ・フラン(Vitis vinifera)、耐寒性のCouderc 3309(3309C, V. riparia × V. rupestris)とコンコード(V. labruscana)用いて実施された。鉢椊えブドウ樹は、短日(SD)(8 hr)または長日(LD)(16 hr)に4、6、そして8週間さらされた。新梢の成長、周皮形成、休眠、耐凍性(一次芽の50%を枯らす致死的な温度:LT50)そして葉と芽組織の可溶性糖濃度が調査された。新梢の成長はSD下の全ての栽培種において、周皮形成と休眠の深さの増加をともなって遅くなった。コンコードはこれらの変化を最初に開始し、次に3309C、そしてカベルネ・フランであった。3つの栽培種は、LD下で耐凍性における違いを示さなかった(LT50は−6.1~−8.1℃の範囲)。しかし、SD下で、耐凍性は、4、6、そして8週間後に、それぞれ、0.7、2.0そして2.7℃増加した。コンコードの耐凍性は、SD処理4週間後に増加した。一方、3309Cとカベルネ・フランのそれは、SD処理6週間後まで増加しなかった。すべての糖の中で、ラフィノースは日長と関連した特徴的な応答を有した。すなわち、LD下で低く、類似したままであった(0.5~2.3 mg/g乾燥重量)。SD下においてラフィノース濃度は全般に高く、葉において2.2~5.7 mg/g乾燥重量、そして芽において1.6~3.7 mg/g乾燥重量であった。そして、耐寒性の3309Cとコンコードは低温感受性のカベルネ・フランに比べて高い濃度で蓄積した。これらの結果は、ラフィノースの蓄積が、遅い新梢成長と符合した日長、自発休眠の誘導、耐凍性の初期の獲得に対する応答の早い段階で起こる可能性を示唆している。

N.E.Darra, N. Grimi, E.Vorobiev, R.G.Maroun, N.Louka
Pulsed Electric Field-Assisted Cold Maceration of Cabernet franc and Cabernet Sauvignon Grapes
pp. 476-484 [
英文要旨原文]
[カベルネ・フランおよびカベルネ・ソービニヨン・ブドウのパルス電界によるコールド・マセレーション]
 カベルネ・フラン(CF)とカベルネ・ソービニヨン(CS)ブドウのパルス電界によるコールド・マセレーション(CM)処理(6℃で6日)の影響を調べた。CM処理全体のブドウ果汁pH、糖度、色素強度、アントシアニン、総ポリフェノール含量、フリーラジカル捕捉活性を調べた。高い電場のパルス電界処理(5 kV/cm、1 ms、48 kJ/kg)はフラボノイド(ケルセチン3-β-D-グルコシドおよびエピカテキンガレート)の抽出を増強した。この電界処理は色素強度を増強(CFで75%、CSで68%)し、果汁のアントシアニン含有量を上昇(CFで87から172 mg/L、CSで168から269 mg/L)した。中程度のパルス電界処理(400および800 V/cm、50から100 ms)は、ポリフェノール抽出に効果は少なかったが、エネルギー消費が少なかった(3から40 kJ/kg)。パルス電界処理ブドウから醸造したCFおよびCSワインは、電場処理なしのブドウからのワインと比較し、アルコール発酵期造中、ポリフェノール濃度が高く、色素強度も高かった。

M.A.Nisbet, T.E. Martinson, A.K.Mansfield
Preharvest Prediction of Yeast Assimilable Nitrogen in Finger Lakes Riesling Using Linear and Multivariate Modeling
pp. 485-494 [
英文要旨原文]
[線形および多変数モデルによるフィンガーレイク・リースリングの収穫前YAN予測]
ニューヨーク州フィンガーレイク地域におけるリースリングを用い、3年間回帰分析による収穫前YAN(酵母資化性窒素)の予測法開発を行った。果粒サンプルはフィンガーレイク周辺の62の市販リースリング・ブドウ園からベレゾン期、収穫2週間前、収穫期に集めた。サンプルは果粒重、糖度、pH、滴定酸度、アンモニア、1級アミノ態窒素、YANを測定した。収穫時の平均YANは91.8 mg/Lで、年度による差はなかった。収穫前YAN濃度(p < 0.05)を用い作成した線形回帰分析モデルは交差検証R2 (Q2)が70%であった。収穫前ブドウのアンモニア分析からのみ求めたモデルは、予想力が低かった(Q2 = 63%)が、ワインメーカーにとって、完全なYAN測定をするより、分析の柔軟性を与えるものと思われる。マルチ線形分析にて作成されたモデルは、より高い予測力(Q2 = 73.6%)であった。最後に、部分最小二乗回帰法を使用した多変数解析は、最高の予測力(Q2 = 74.2%)を示した。更なる予想方法の解析は、更に分析を必要とし、実際にマルチ多変量解析や部分最小二乗法を実施するのは困難である。なぜなら、ワインメーカーは多忙な収穫時期にYANを分析、計算するのは困難だからである。しかし、この回帰分析による予想ツールが出来れば、ワインメーカーは収穫前に必要な窒素源を正確に計算でき、仕込時の添加が楽になり、予防的に過剰に窒素を添加する必要がなくなる。

M.C. Martín, V.I. Morata de Ambrosini
Cold-Active Acid Pectinolytic System from Psychrotolerant Bacillus: Color Extraction from Red Grape Skin
pp. 495-504 [
英文要旨原文]
[低温耐性バチルス由来低温活性酸性ペクチン分解システム:赤ブドウ果皮からの低温抽出]
 低温活性酵素は食品加工上有用であるが、なかでもペクチナーゼは果汁およびワイン工業にて最も重要な酵素である。ブドウ果皮からスクリーニングし、低温活性酸性ペクチン分解酵素生産菌として、Bacillus sp. CH15が得られた。16S rDNA分析から、本株はBacillus subtilisグループに近いことが判明した。酸性条件下(pH 5.0) 20℃における、最大ペクチン分解活性は、柑橘系ペクチンを単一C源として、24時間培養後に得られた(0.308 U/mL)。ポリメチルガラクチュロナーゼ活性は、分析条件下、主要なペクチナーゼであった。一方、最大ペクチン・リアーゼ活性は60℃で得られた。5および10℃では、酵素活性は最大活性の15~30%であった。これは、ワイン醸造条件である20℃、pH 3.6で活性を示すBacillus由来酵素の初めての報告である。低温における赤ブドウ果皮との短期マセレーションにて、古典的CIELab色度パラメーターによれば、市販ペクチナーゼ使用時あるいは自然抽出より、本酵素は良い色素パラメーターを示した。Bacillus酵素によるマセレーションにより得られたワインの総アントシアニン量は、自然抽出によるワインと有意に異なったが、両ワインで個々の色素量には有意の差はなかった。結論として、赤ワイン醸造に有効な低温活性酸性ペクチナーゼ生産菌として、Bacillus sp. CH15は使用可能である。

L.F.Casassa, R.C. Larsen, C.W.Beaver, M.S.Mireles, M.Keller, W.R. Riley, R.Smithyman, J.F. Harbertson
Sensory Impact of Extended Maceration and Regulated Deficit Irrigation on Washington State Cabernet Sauvignon Wines
pp. 505-514 [
英文要旨原文]
[ワシントン州カベルネ・ソービニヨンにおける長期醸しと調節制限灌漑の官能的影響]
 調節制限灌漑(RDI)など灌漑方法および長期醸しについて、化学的見地から試験されてきたが、その官能に及ぼす影響や相互作用は、科学的に注目の価値がある。ブドウ園で以下のRDI処理をした。即ち、着果からベレゾンまで、灌漑水量をブドウ樹全体の水分蒸発・蒸散量(ETc)の100%、70%、または25%とし、その後収穫までは100%としたもの(ラベルは100% ETc、70% ETc、25% ETc)そして、着果からベレゾンまで25% ETcとし、ベレゾンから収穫まで100% ETcとしたものは、25/100% ETcとラベルした。各RDIは4回繰り返し(n = 4)、ワインをダブルで醸造し、10日間スキンコンタクトを対照とし、30日間スキンコンタクトを長期醸しワインとした。ワインは訓練パネルによる記述的官能試験(n = 15)により評価した。化学分析と官能評価分析は、正準相関分析にかけた。ワインの感じる飽和度および紫成分の点数は25% ETcワインが最も高く、フラボノール、マルビジンおよびデルフィニジン誘導体、小さい重合色素量と相関した。果物由来アロマの記述では、25/100% ETcおよび70% ETcが最も高かった。長期醸しは収斂味及び苦みを増大し、それはフラバン3-オールおよびオリゴマーのプロアントシアニジン量と相関した。以上より、70% ETcあるいは25/100% ETcのような中程度の灌漑プロトコールはフルーティアロマ成分(黒および赤果実)にポジティブに影響し、一方、長期醸しは、おそらくワインの酸化的特徴のマスキング効果と思われるが、フルーティアロマが減少した。

K.L.Steenwerth, A.J.McElrone, A.Calderón-Orellana, R.C.Hanifin, C.Storm, W.Collatz, C.Manuck
Cover Crops and Tillage in a Mature Merlot Vineyard Show Few Effects on Grapevines
pp. 515-521 [
英文要旨原文]
[十分に生長したメルローブドウ園における被覆作物と耕うんはブドウ樹にほとんど影響を及ぼさない]
恒常的な被覆作物は、土壌およびブドウ樹の健康に対して有益な効果を持つゆえに、ブドウ園の地面管理において一般的に使用されている。しかし、ブドウ樹に対するそれらの競合効果を評価する研究は、主に非潅漑ブドウ園において実施されてきた。将来の大気質規制は、カリフォルニアのセントラルバレーにおいて無耕地面管理の実施を命じる可能性がある。我々は、2008から2010年にかけて、生産ブドウ園において制御された上足灌漑下で栽培されたメルロー(Vitis vinifera)の土壌の養分利用率、ブドウ樹の栄養摂取、生長、そして収穫特性に対する被覆作物タイプ(エンバクのみ、またはマメ科椊物とともに生育したエンバク)と耕うんの併用効果を評価した。5つの処理が使用された:レジデント椊物 (RV) +耕うん、エンバク+耕うん、エンバク/マメ科椊物+耕うん、エンバク+非耕うん、エンバク/マメ科椊物+非耕うん。土壌の養分利用率は、処理間で違いが見られなかった。葉柄と葉において分析された多数の栄養成分の内、葉柄の硝酸態窒素のみが地面管理により影響を受けた。すべての年の、ほぼすべての生長ステージにおいて、耕うん処理の葉柄の硝酸態窒素は非耕うん処理の2倊であった。収穫時において、収量、平均果房重量、ブドウ樹あたりの果房数そして地上の被覆作物バイオマスは2009年および/または2010年において処理間で異なったが、最初の年(2008年)は異なっていなかった。しかし、応答は、各年の処理の間で一致しなかった。重要なこととして、収量は、典型的な管理(RV +耕うん)と比較して、4つの被覆作物処理はすべて類似していた。このことは、被覆作物と/または非耕うんの実施は、灌漑ブドウ園において、十分に生長したブドウ園のブドウ生産性に即時的な効果をほとんど与えない可能性を示唆している。

M.Centinari, I.Filippetti, T.Bauerle, G.Allegro, G.Valentini, S.Poni
Cover Crop Water Use in Relation to Vineyard Floor Management Practices
pp. 522-526(Research Notes) [
英文要旨原文]
[ブドウ園の地面管理実施に関連した被覆作物の水利用]
われわれの研究の目的は、ブドウ園の生態系内の被覆作物(Festuca arundinacea var. barfelix)の蒸発散(ETcc)に対する土壌からの蒸発(Es)を比較し、被覆作物の蒸発散の縮小における草刈りの効果、そして、その地表下の競合を調べることである。研究は、イタリアのボローニャのSO4に接ぎ木された2年齢のサンジョベーゼ(Vitis vinifera)ブドウ園で実施された。ミニライシメーターとポータブルガス交換チャンバーシステムが、草刈りと露出した土壌管理実施に関連した被覆作物の蒸発散の調査に使用された。われわれの結果は、草刈り後ただちに、ETccは、刈り取られたバイオマスの量に依存して、35~49%の範囲の減少率で、顕著に減少することを示した。ETcc縮小の程度は、被覆作物の再生期間を通して減少した。草刈り後の28日間を通して、土壌からの蒸発は、草刈りそして草刈りされていない被覆作物より、それぞれ35%と48%低かった。この研究は、草刈りが、短い期間のブドウ樹被覆作物競合を減少させるための水管理戦略としておそらく使用可能なことを示している。

C.Böttcher, P.K.Boss, C.Davies
Increase in Cytokinin Levels during Ripening in Developing Vitis vinifera cv. Shiraz Berries
pp.527-531(Research Notes) [
英文要旨原文]
[シラー種果実の成熟中におけるサイトカイニン量の増加]
本研究では、同じブドウ品種(Vitis vinifera L.)の果実生育過程における果皮中の椊物ホルモンであるアブジシン酸とその代謝物、サイトカイニンとジベレリン酸の定量を行った。先行研究と比較すると、アブジシン酸におけるいくつかの代謝物とジベレリン酸の濃度にいくつか微量な差が認められた。生理活性を有するジベレリン酸4とジベレリン酸7(前駆体と上活性体も含めて)は、べレゾン期以前に産生が認められたが、べレゾン期の後になるとその濃度はかなり低下した。アブジシン酸の濃度はべレゾン期の直後にピークとなるが、ジヒドロファゼイン酸がべレゾン期の前に、アブジシン酸グルコースエステルがべレゾン期の後に高いレベルとなることから、二つの異なる異化経路に制御されていることが明らかとなった。サイトカイニン濃度の解析では、今までに報告されていない驚くべき結果が得られた。イソペンテニルアデニンの濃度はべレゾン期に急激に増加し、果実の成熟期間中を通して高いレベルで残っていた。なぜこのような現象が起きるかは明らかではないが、キウイフルーツの生育過程において、いくつかのサイトカイニン濃度が似たように増加するという報告がなされている。このことからサイトカイニン濃度の増加は、成熟と老化のどちらか、あるいはその両方の制御に関与していると推察される。

C.Díaz, V. F. Laurie, A.M.Molina, M.Bücking, R.Fischer
Characterization of Selected Organic and Mineral Components of Qvevri Wines
pp. 532-537(Research Notes) [
英文要旨原文]
[Qvevriワインの有機およびミネラル成分の特徴]
クヴェヴリという甕を使用したワインは、最も古いワイン醸造法と言われる。この方法によるワインをヨーロッパ各地から20本集め、有機およびミネラル成分を分析した。pH、残糖、滴定酸度、酢酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、総ポリフェノール、アントシアニン(赤ワイン)、総抗酸化活性の他、リン、カルシウム、マグネシウム、マンガン、カリウム、亜鉛などミネラルを分析した。分析値を今までに報告されている従来品と比較した。クヴェヴリ・ワインは酸が少なく、高レベルの酢酸と乳酸を含み、酒石酸レベルは低かった。また、抗酸化物および総フェノール類を多く含み、白ワインの総フェノール類は、従来品と比べ10倊以上多かった。粘土容器で発酵しているにも関わらず、クヴェヴリ・ワインのミネラル含有量は従来品と変わらなかった。しかし、リン含有レベルは僅かに高かった。これは、クヴェヴリ・ワインの成分を考えた唯一の報告である。

S.Ghaffari, N.Hasnaoui, L.H.Zinelabidine, A.Ferchichi, J.M.Martínez-Zapater, J.Ibáñez
Genetic Identification and Origin of Grapevine Cultivars (Vitis vinifera L.) in Tunisia
pp. 538-544(Research Notes) [
英文要旨原文]
[チュニジアのブドウ品種(Vitis vinifera L.)の遺伝子解析とその起源]
9つの核ゲノムマイクロサテライト(SSR)マーカーを用いて、北西チュニジア産とみられる35個の野生種(Vitis vinifera subsp. sylvestris)とチュニジア乾燥地研究所に保管されている64個の栽培品種(V. vinifera subsp. vinifera)を調査した。すべてのSSR遺伝子座は多型であり、栽培品種に含まれる31個と野生種に含まれる31個の、合計62個の特徴的な遺伝子型が明らかとなった。異吊同義(シノニム)、果皮色突然変異体、同吊異義(ホモニム)のいくつかの場合、この遺伝子型のうちいくつかのシノニム(異吊同義)とホモニム(同吊異義)に関しては、以前に解析されたチュニジアのサンプルと国際品種と同様の結果が認められた。葉緑体ゲノムマイクロサテライト分析は、野生種ではクロロタイプAが最も多い(65%)が、栽培品種ではクロロタイプCとクロロタイプDがより多く見られた(それぞれ45% 、23%)。遺伝子解析から、チュニジアの野生種と栽培品種はいずれも遺伝的多様性が高く維持されており、高い事後確率により起源となる品種から受け継いでいる配列もほぼ均等に残っていることが明らかとなった。これは栽培品種と野生品種間での遺伝子流動はあまり起きていないことと一致しており、ほとんどの栽培品種はこの地域の野生品種から直接的に派生したのではなく、他の地域から持ちこまれたもの、あるいはそれら外来種間の自然交雑により生まれたものであることが示された。しかしながら、今回分析を行った一部のサンプルが野生種と栽培品種間の交雑により生まれた可能性は完全に否定できなかった。

M.Behr, E.Cocco, A.Lenouvel, C.Guignard, D.Evers
Earthy and Fresh Mushroom Off-Flavors in Wine: Optimized Remedial Treatments
pp. 545-549(Technical Briefs) [
英文要旨原文]
[ワインの土および新鮮マッシュルーム様のオフ・フレーバー:最適修正方法]
ジオスミンおよび1-オクテン-3-オンは土様、泥様で新鮮マッシュルーム様のオフ・フレーバー(異臭)である。この異臭除去に、添加用に購入可能な物質がいくつかあり、普通、種々の方法でワイン製造の各ステップで使用される。本研究では、白ワインで使用される、活性炭、キトサン、ゼオライト、ろ過の除去効率を比較した。白ワインに200 ng/Lのジオスミンまたは1-オクテン-3-オンを添加し、種々の濃度の添加物の効果を、GC/MS/MS分析にて調べた。数種の活性炭製剤はジオスミン除去に良い効率を示した。同様に、ろ過も異臭除去に効果を示した。しかし、キトサンとゼオライトは、一般的に、満足できるレベルまで除去できなかった。活性炭は1-オクテン-3-オン濃度低下にも効果が認められた。



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