American Journal of Enology and Viticulture
       論文要旨 和訳


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Volume 65, No.1 (2014)
A.L.Robinson, P.K.Boss, P.S.Solomon, R.D.Trengove, H.Heymann, S.E.Ebeler
Origins of Grape and Wine Aroma. Part 1. Chemical Components and Viticultural Impacts
pp. 1-24 [
英文要旨原文]
[ブドウとワインのアロマの起源1:化合物と栽培の影響]
ワインは太古から飲まれてきた飲料であり、その独特で素晴らしいフレーバーにより賞賛されてきた。ワインのフレーバーは、我々の感覚器官に影響を与える非常に多くの成分の集合であり、これにより神経系の応答が起き、それが脳で処理されることにより、「ワインである《と我々が容易に表現する心理物理的な知覚となる。ワインの成分の生成には複数のパターンがあり、発酵中にブドウのフレーバー化合物がワインに抽出されたり、あるいは化学的あるいは生化学的反応により新たに新規な化合物が生成することによって生じている。本概説ではブドウやワインに含まれる種々のグループの化合物と、それらの生成や濃度に影響を与える化学的あるいは生化学的過程について論じる。そして、ブドウ及びワインのアロマ化学の現状に脚光を当てることを目的としている。

A.L.Robinson, P.K.Boss, P.S.Solomon, R.D.Trengove, H.Heymann, S.E. Ebeler
Origins of Grape and Wine Aroma. Part 2. Chemical and Sensory Analysis
pp. 25-42 [
英文要旨原文]
[ブドウとワインのアロマの起源2:化学分析と官能分析]
パート1では、ブドウとワインのアロマに寄与する化合物について最新の情報をまとめて示した。ブドウ及びワインの成分の化学を理解する上で、フレーバー化合物の同定や定量を行う化学分析法や官能検査法の発展が重要である。そこで、パート2では、ワインの品種やスタイルに影響を与える独特な官能特性に関与する化学成分を知るために、ワインフレーバーを個別の成分に分ける化学的および官能的分析に関するアプローチについて概説する。

R.P.Schreiner, C.F.Scagel, J.Lee
N, P, and K Supply to Pinot noir Grapevines: Impact on Berry Phenolics and Free Amino Acids
pp. 43-49 [
英文要旨原文]
[ピノ・ノワール種への窒素、リン、カリウムの供給:果実フェノール化合物と遊離アミノ酸への影響]
果実中の化学成分における多量栄養素(窒素、リン、カリウム)の直接的な役割を理解するために、砂地で栽培されているピノ・ノワール種で検討した。十分に施肥を施した状態(コントロール)または他の栄養素はそのままに、窒素、リン、カリウムのいずれかを3段階で減少させた状態でピノ・ノアール種を三年間自根栽培した。ブドウ樹は、施用量を変えることによるブドウ果実の化学成分への間接的な影響を大幅に除去するために、樹体の水分状態の差(土壌の水分含有量が均等になるよう毎日灌水の仕方を調節)および果房に対する日照量の差(果房の日照量が均等となるよう除葉の仕方を調製)が最小となるように管理した。果実中の化学成分は、異なる栄養供給条件を課してから2年目および3年目に評価した。窒素のみを上足させ、リンとカリウムはそのままの状態で栽培すると、果実中の遊離アミノ酸(FAA)とフェノール化合物に変化が認められた。低窒素状態では、FAAと資化性窒素(YAN)が両年とも70%まで減少した。あるFAAに関しては他のものよりもさらに減少したことにより、果実中のFAAの顕著な変化につながった。低窒素のブドウ樹では3年間の間に糖類とアントシアニン、フラボノールグルコシド含量が増加したが、糖とアントシアニンの増加は果粒が小さくなったことに起因していた。低窒素のブドウ樹では両年とも、果粒の大きさの変化に関わらず、縮合型タンニンと総フェノール酸量の増加が確認された。低窒素のブドウ樹において、資化性窒素が最大級に変化した一方で、アントシアニンの増加は収量および果粒の大きさが減少するまで認められなかった。果粒中のタンニンとフェノール酸含量の増加は、収量および果粒の大きさの減少とは関係なく、低窒素施用に応答して認められた。

M.Thiollet-Scholtus, S.Caillé, A.Samson, Jean-Jacques Lambert, R.Morlat
Use of Production Practices and Sensory Attributes to Characterize Loire Valley Red Wines
pp.50-58 [
英文要旨原文]
[ロワール渓谷の赤ワインを特徴づける製造法と官能特性]
ワインの品質は、土壌や気候、ワイン製造法の典型的な産物である。原産地吊称保護(PDO)ワインを区別する目的で、官能特性が徐々に使用されるようになってきた。2010年以来、OIVはテロワールを公的に定義付けるためのパラメーターについて議論してきた。しかし、地理的に境界をひかれたPDO地区のワインの官能特性と製造方法の関係は、未だに調べられていない。そこで同じ地域で作られる代表的なPDOワインの製造方法と官能特性の関係を調べた。フランスのロワール渓谷由来の33の市販PDOワインについて製造者の製造方法(畑での仕立方法、栽培法、収穫のタイミング、ワイン製造、熟成法など)を調べた。また、これらのワインの有意な官能特性を調べるために記述分析を行った。PDOワインは古典的統計分析により個々に分離できた。製造方法の25%と官能特性の50%により、同じ地域で作られたPDOワインが区別できた。Cabernet francの使用量、除葉時期、収穫時期、収量、発酵期間、熟成期間と樽の使用、色調の濃さ、粘性、濁度、ブラックカーラント、プルーン、スパイシー、カビ臭い、動物的、苦味、収斂味などがこれに該当した。いくつかの製造方法と官能特性との関係が見出された。これらの結果から、同じような気候条件・土壌特性でも明確に定義された地理的範囲で作られたPDOワインが製造方法と官能特性により区別可能であるとこが分かった。

J.C.Ferguson, M.M.Moyer, L.J.Mills, G.Hoogenboom, M.Keller
Modeling Dormant Bud Cold Hardiness and Budbreak in Twenty-Three Vitis Genotypes Reveals Variation by Region of Origin
pp.59-71 [
英文要旨原文]
[23種のVitis遺伝子型を用いた休眠芽耐寒性と萌芽のモデリングは起源となる地域による差を現す]
冷害は、ブドウ栽培を行う地域、特に高緯度の地域において、乗り越えるべき重要な環境因子の一つである。ブドウ樹は秋の冷涼な気温に順応し、春に温かい気温に戻った時に非順応となるが、耐寒性は属種、品種、生物季節学、取り巻く天候、日照時間、椊物器官によって変化する。本研究では、Vitis viniferaとV. labruscanaの主芽の致死温度の長期データおよび春の椊物季節学的な長期データを使い、23個の遺伝子型の萌芽を通して初秋から冷害をシミュレートする分散型動的モデルのパラメータを決定し、評価した。このモデルは日ごとの耐久力の変化に対する単一の変数として平均気温をのみを使用する。反復過程を通して、耐久性の初期値と最大値、温度の閾値、環境順応と非順応の比率、冷却と加熱の必要量といった遺伝子型特異的パラメータを得た。このモデルでは遺伝子型に依存して 0.89 ≤ r2 ≤ 0.99 で耐寒性を予測できた。このモデルは萌芽時の耐久性をシミュレートしているので、萌芽の時期を予測することも可能となる。最適化されたモデルパラメーターは、耐寒性の初期値と最大値および萌芽の時期の点から、遺伝子型の起源に北部、内陸部と南部、海岸沿いと分けることが可能であった。より冷涼な気候から起源した遺伝子型の急激な非順応と一致し、萌芽は耐寒性の強い遺伝子型で早く起こった。一方、逆説的に、これら遺伝子型はより温暖な環境下では晩霜に対する脆弱性を持っているといえる。現在のブドウ芽耐寒性モデルは気候モデリングやリスク評価に利用することが可能であろう。

D. Molitor, J.Junk, D.Evers, L.Hoffmann, M.Beyer
A High-Resolution Cumulative Degree Day-Based Model to Simulate Phenological Development of Grapevine
pp.72-80 [
英文要旨原文]
[ブドウ樹の生物季節学的生長をシミュレートするための高解像Cumulative Degree Day-Based Model]
ブドウの生長段階を予測するために用いられてきた既存のcumulative degree dayモデルは、生長段階が限定されることや、温度の影響が高温条件に限定される場合を考慮していないことなどにより局地的な正確性を示すだけである。今回、新たに構築したモデルは、萌芽から収穫までの間Vitis vinifera L. ミュラー・トゥルガウ種の全26生長段階(BBCH: Biologische Bundesanstalt, Bundessortenamt und Chemische Industrieに従う)をシミュレートするように開発した。4つのヨーロッパの国々からブドウの生物季節学的時系列に従った60回分のデータを使用し、このモデルを評価した。最適温度閾値を用いて3つのCumulative Degree Dayモデル(萌芽で始まる: BBCH 09)を比較した。ブドウ樹の生長を促進しない上限温度閾値および更に温度が上昇することによりブドウ樹の成長が搊なわれる高温閾値の導入により、これまでに比べ、モデルの的確性が有意に増した。低温、上限温度、高温閾値である5ºC、20ºC、22ºCにおいて最も正確な予測を行えた。70.5% や95.8%の精度を誇ったケースではそれぞれ3日目と7日目において(平均気温が20℃であると想定した条件で)季節生物学的ステージを正確に予測できた。今回構築したモデルはブドウ栽培研究や栽培技術へ応用でき、さらには他の品種にも適応できるであろう。

A.Calderon-Orellana, M.A.Matthews, W.M.Drayton, K.A.Shackel
Uniformity of Ripeness and Size in Cabernet Sauvignon Berries from Vineyards with Contrasting Crop Price
pp. 81-88 [
英文要旨原文]
[対象となる作物価格とカベルネ・ソービニヨン種果実の熟度と大きさの均一性]
果実熟度の均一性と果粒の大きさは、果実の品質およびワイン醸造においては作物価格の重要な要素であると考えられているが、果実熟度の均一性および果粒の大きさと作物価格との相関関係を確認した客観的なデータは少ない。ブドウ価格とその均一性間の相関関係を調査するために、高価格($9,000–10,000/トン)、中価格($4,000–5,000)、低価格($500–1,000)で取引される3つのカリフォルニア産カベルネ・ソービニヨンを選択し、収穫時の果実の均一性を2年間継続して測定した。実質的な作物価格の違いはブドウ圃場の規模と管理体制の差に関係があった。高価格なブドウを生産している圃場では、機械による作業よりも手作業に重点を置き、べレゾン期に摘房する数も多かった。異なる作物価格において、糖度、pH、果粒重、アントシアニン含量の平均値に差は認められなかった。驚くべきことに、リーベン検定を用いても果実の均一性における測定可能な差異は認められなかった。さらに高価格なブドウ果実は、中価格および低価格なブドウと比較して、糖度とpHで均一性が低かった。アントシアニン量の平均値は、高価格、中価格、低価格のブドウ果実でそれぞれ0.95 mg/g、1.08 mg/g、0.88 mg/gであり、高価格ブドウの果実の果粒の大きさ(0.6 gから1.8 g)とは無関係であった。しかしながら、中価格ブドウと低価格ブドウのアントシアニン量は、果粒の小さいもので2.2 mg/gから果粒の大きいもので0.6 mg/gと変動幅が大きかった。今回のデータから、低価格を付けられているブドウ圃場のブドウと比較して、高価格が付けられているブドウ圃場の環境や栽培技術はより均一性の高いブドウを生産しているわけではないことが示された。

K.D.Hannam, G.H.Neilsen, D.Neilsen, W.S.Rabie, A.J.Midwood, P.Millard
Late-Season Foliar Urea Applications Can Increase Berry Yeast-Assimilable Nitrogen in Winegrapes (Vitis vinifera L.)
pp.89-95 [
英文要旨原文]
[生育後期の尿素の葉面散布はワイン用ブドウの果粒の酵母資化性窒素を増加できる]
ブリティッシュコロンビアのオカナガン・バレーにおいて、ブドウ樹の過剰な生育、病気、ブドウ果汁組成における意に添わない変化を防ぐために、窒素比率の低い肥料が生育期の初期に施される。結果として、収穫時のブドウ果汁の酵母資化性窒素(YAN)濃度は、しばしば、ワイン製造の間の発酵を完結するのに十分であると考えられるレベルを下回り、追加の窒素添加を必要とする。3年間にわたり、5つのワイン用ブドウ品種が作付けされた7つの研究場所で、生育後期の尿素態窒素の葉面散布が、ブドウ果汁YANを増加させるための方法として調査された。14‐18 kg N/ha/yr(1% w/v、1年のみ散布)または28‐36 kg N/ha/yr(2% w/v)同等の尿素の葉面散布溶液は、それぞれの年で7つのうち6つの場所でブドウ果汁YAN濃度に有意な改善をもたらした。しかし、処理に最も影響された調査場所に関しては、年ごとの一貫したパターンが無かった。葉面散布処理において添加されたNは、ほとんどブドウ樹に保持されないと思われ、そしてブドウ樹の生産性と果汁の質に対して、処理の適用により、わずかに小さなネガティブな効果のみがあった。ゆえに、ベレーゾン時期前後に葉面へ実施される尿素散布は、これら、そして類似の場所における、より伝統的な土壌施肥プログラムの補足としてかなり有望であることを示している。

C.M.Kidman, S.O.Mantilla, P.R.Dry, M.G.McCarthy, C.Collins
Effect of Water Stress on the Reproductive Performance of Shiraz (Vitis vinifera L.) Grafted to Rootstocks
pp. 96-108(Research Note) [
英文要旨原文]
[台木に接ぎ木されたシラー(Vitis vinifera L.)の生殖生産性における水ストレスの効果]
南オーストラリアのバロッサ・バレーにおいて、水ストレス環境下のシラー(Vitis vinifera L.)の生殖生産性に及ぼす台木の効果を調べるために実験を実施した。ブドウ樹は自根または、110R、1103P、99R、Ramsey、Schwarzmannまたは140Ruに接ぎ木された。いずれのブドウ樹も、3シーズンのすべてにわり、非潅水または、56から128 mm/haの灌水が実施された。水ストレス(Ψpd < 0.8 MPa)は、ベレーゾン以後、非灌水のブドウ樹で明らかであった。灌水の欠如は、ブドウ樹の成長と生産性に強く影響した。剪定重量、枝重量、そして枝の数はすべて、ゼロ灌水の結果として減少した。収量は、非灌水処理において、結実または果粒数よりも果房数、果房重量そして果粒重量の減少により低下した。非灌水のRamseyは、灌水された台木に匹敵する収量を維持できた唯一の台木であった。非灌水の自根は最初のシーズンにおいて良好に生産したが、第二そして第三のシーズンにおいて、水ストレスが収量にネガティブな効果を持った時に、良好ではなかった。ショットベリー、花振るいそして無核の果粒数は、収量にネガティブな影響を持つことが見出された主な生殖性パラメーターであった。そして自根と接ぎ木されたブドウ樹の両方とも、これらのパラメーターに影響された。シーズンは、台木タイプまたは灌水のどちらよりも大きな影響を持った。これらの発見は、将来の渇水と水供給の低下に直面した地域に対して重要な意味を持つ。

Y.Liu, C.Wang, C.M.L.Joseph, L.F.Bisson
Comparison of Two PCR-Based Genetic Fingerprinting Methods for Assessment of Genetic Diversity in Saccharomyces Strains
pp. 109-116(Research Note) [
英文要旨原文]
[Saccharomyces株の遺伝的多様性を評価するための2つのPCRによるフィンガープリント法の比較
酵母株のタイピングと遺伝子解析において2つの遺伝子分析法(ゲノムDNAのデルタ配列多型解析およびミトコンドリアのCOX1イントロン遺伝子の多型解析)が使えるかどうかを調べるため、26S rDNAによりSaccharomyces属であることが同定されている52株について分析を行った。同じ親子関係にある2つの研究室の分離株を対照とした。市販株とブドウ畑・ワイナリーでの分離株を代表する47のSaccharomyces株を実験に用いた。これらのうち5つの株は、市販のものでS. cerevisiae系統bayanusとされていた。26S rDNAの分析により3つはS. bayanus,、S. kudriavzeviiおよびS. servazzii と同定され、従ってハイブリッドと思われる。デルタ配列の多型解析では44の遺伝子パターンが、また、COX1イントロン多型解析では47の遺伝子パターンが得られた。これらの方法は大部分の菌株を分けることが出来たが、グループ化した菌株は異なるクラスターを形成した。これらの方法を組み合わせた場合、菌株は8つのグループにクラスター化された。2つの研究室株は互いにクラスター化されたが、より大きいワイン株のグループに入っていた。S. bayanus、S. kudriavzeviiおよび S. servazziiは、互いに異なるクラスターとなったが、S. cerevisiaeを含むクラスターであり、どちらの方法でもS. cerevisiaeと分けることはできなかった。3つのS. cerevisiae系統bayanus株は同じクラスターになったが、他の二つは別のグループとなった。10株の市販株では、904(フランスの赤由来)が単独のグループになり、522(Montrachet)と905(Premier Cuvee)は他の地域から単離された野生株と同じグループとなった。従って、これらの方法では、菌株の相同性は認められるものの、属や起源により分離することはできなかった。

V.Giovenzana, R.Beghi, C.Malegori, R.Civelli, R.Guidetti
Wavelength Selection with a View to a Simplified Handheld Optical System to Estimate Grape Ripeness
pp.117-123 [
英文要旨原文]
[ブドウの成熟を評価する簡単な携帯式光学システムのための波長選択]
この研究の目的は、簡単で携帯式そして低価格の光学装置を用いて、収穫される準備のできたブドウを、圃場で判別できる最も意味のある3つの波長を明らかにすることである。非破壊分析は全体で68試料に実施され、そして1,360のスペクトル測定が、携帯式の市販の可視/近赤外分光光度計を用いて行われた。ケモメトリック分析は、スペクトルデーターから最大限に有用な情報を抽出するために実施された。スペクトルデーターマトリックスと技術的(総可溶性固形物)そしてフェノール性(ポリフェノール類)パラメーターの間の相関は部分的最小二乗法(PLS)回帰を用いて解析された。PLSモデルの標準化された回帰係数は、全スペクトル領域の最も有用な情報を表す関連変数を選択するために使用された。変数の選択をサポートするために、平均スペクトルの質的評価と主成分分析から得られたローディングプロットが考察された。3つの選択された波長は、クロロフィルの吸収ピークに相当する670 nm、最大反射率ピークに等しい730 nm、そしてOH結合の伸縮の3次オーバートーンを表す780 nmである。主成分分析と重回帰分析は、3つの選択された波長に対して、それらの有効性を検証するために利用された。総可溶性固形物とポリフェノール予測のためのシンプルな式が算出された。結果は、圃場で熟度を評価するための簡単な携帯式の装置の可能性を明らかにした。

L.C.de Loryn, P.R.Petrie, A.M.Hasted, T.E.Johnson, C.Collins, S.E.P. Bastian
Evaluation of Sensory Thresholds and Perception of Sodium Chloride in Grape Juice and Wine
pp.124-133 [
英文要旨原文]
[ブドウ果汁およびワイン中の塩化ナトリウムの官能閾値と知覚]
水質が悪く降雨が少ないと、ブドウ畑の土壌中に塩類負荷が高まり、ワインの品質に影響を与え、場合によっては法廷規定値以上の濃度の塩化ナトリウムを含むワインが製造される。研究1では、塩を含む果実の収穫期や加工法の一助とするため、ブドウおよびワイン中の塩化ナトリウムの官能閾値を調べた。全口中味覚法により、水溶液、赤および白果汁、およびワイン中の塩化ナトリウムの認知閾値を決定した。塩化ナトリウムの官能閾値は、法廷規定値よりも低いことが多く、従って、ワイン消費者の多くが、塩化ナトリウムの法定基準値以下でもワイン中の塩を知覚すると思われる。ブドウ果汁およびワイン中の塩化ナトリウムの検知および認知閾値は、パネルの年齢とともに増加した。研究2では、塩化ナトリウムがワインの官能特性にどのような影響を与えるのかを調べた。様々な塩濃度を知覚できるブドウが生産されている異なったブドウ畑のブドウを用いて製造された4種類のChardonnayワインを用いて、訓練したパネル(9吊)により記述分析を行い、また、化学的および元素分析を行った。結果を0.5~1 g/Lの塩化ナトリウムを添加したワインの場合と比較した。塩に影響を受けたブドウ樹から得られるブドウで製造したワインは、塩化ナトリウムを添加したワインと同様な官能特性を示した。塩味や石鹸といった官能特性がNaとCl濃度の高さと相関した。一方、フルーティーさはNaやClが少ないワインとの関連が見られた。果汁やワインの塩濃度の許容値を決定するに当たり、ワイン製造者は官能におけるインパクト、法規上の基準、官能評価を行う人材について考える必要がある。

I. Sen and F. Tokatli
Characterization and Classification of Turkish Wines Based on Elemental Composition
pp. 134-142 [
英文要旨原文]
[金属成分によるトルコワインの特徴と分類]
トルコの土着あるいは非土着品種の13の市販ワインの金属元素分析を行った。4つのビンテージ(2006~2009)の試料ワインを高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)および高周波誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)により分析し、ビンテージ、品種、地域差を見るために多変量解析を行った。部分最小二乗法判別分析(PLS-DA)により、西部地域で製造されたワインはPbの濃度が高いことが示された。土着赤品種であるBoğazkereおよびÖküzgözüから作られた赤ワインは、Caが高くBとCuが低いことにより、他の品種から判別された。ÖküzgözüワインはSyrahやCabernet Sauvignonとは別のものであった。同様に土着品種EmirはMuscatワインとは異なっていた。ミネラルのうち判別に重要な成分は、天然由来のSr、Li、Al、BaおよびBと、農業・加工・汚染に由来するCa、Cu、Mg、Co、PbおよびNiであった。トルコの土着品種と、非土着品種(C. Sauvignon、Merlot、SyrahおよびChardonnay)のミネラル成分での分析は、本実験が初めての試みである。

N.Goto-Yamamoto, K.Koyama, K.Tsukamoto, H.Kamigakiuchi, M.Sumihiro, M.Okuda, T.Hashiguchi, K. Matsumaru, H.Sekizawa, H.Shimoi
Transfer of Cesium and Potassium from Grapes to Wine
pp. 143-147 [
英文要旨原文]
[ブドウからワインへのセシウムとカリウムの移動について]
放射性および安定同位体としてのセシウムと放射性カリウムについて食品加工移動パラメーターをブドウからワインにおいて調べた。ポマス中でのセシウム濃度は果汁より高く、これはカリウムと同様な傾向であった。白ワインおよびロゼワインの発酵において、セシウムの濃度は有意な変化が無かったが、カリウム濃度は減少した。これらの結果から、ワイン製造環境においては、酵母への吸収はカリウムよりセシウムの方がはるかに低いことが示唆された。食品加工中での残存率(Fr、ワイン中の量/ブドウ中の量)は、赤ワインの場合の放射性および安定セシウムでは白ワインよりも高く、ワインの歩留まりおよびマセレーション中のセシウムの抽出を反映した結果と考えられた。

P.Balda, J.Ibáñez, J.Carlos Sancha, F.Martínez de Toda
Characterization and Identification of Minority Red Grape Varieties Recovered in Rioja, Spain
pp. 148-152(Research Note) [
英文要旨原文]
[リオハ(スペイン)で再発見された少数派赤ブドウ品種の同定と特徴づけ]
リオハの少数派品種を再発見する研究プロジェクトが、過去数世紀の間に蓄積されたブドウ樹の生物多様性が減少して来たのにともない、1988年にスタートした。選抜されたブドウ樹は、生殖質バンクに保存された。44のInternationale Organisation de la Vigne et du Vin(OIV)特性に従ったアンペログラフィーによる記述と11の細胞核マイクロサテライトマーカーを用いた遺伝的特徴づけが、スペインのログローニョの生殖質バンクにある45の赤系統種のそれぞれに行われた。全体で26の異なった品種がブドウ記述学そして遺伝的解析によって見出され、そのうちの24が同定された。残りの2品種は、スペインまたはヨーロッパのマイクロサテライトデーターベースにおいて、他のいずれの遺伝的プロフィールとも合わなかった。同定された品種の起源は非常に多様で、過去数世紀の間に起こったブドウ品種の交換の重要性を示していた。少数派品種は、新しい気候条件に適合するそれらの能力と独特のワインプロフィールを考えると、将来において重要な役割を果たす可能性がある。

J. Döring, M. Stoll, R.Kauer, M.Frisch, S.Tittmann
Indirect Estimation of Leaf Area Index in VSP-Trained Grapevines Using Plant Area Index
pp. 153-158(Technical Briefs) [
英文要旨原文]
[葉群密度を用いたVSP整枝のブドウ樹の葉面積指数の間接的な推定]
葉面積指数(LAI)と樹冠構造はブドウ樹のブドウの品質と収量に影響する重要なパラメーターである。葉群密度(PAI)を用いた本研究では、VSP整枝のブドウ樹(Vitis vinifera L. cv. リースリング)において、2つの異なった実験的プロトコルに加えて、ギャップフラクション分析によるLAIの間接的推定に対する異なったプロトコルの平均LAI値が試験された。測定は、キャノピーアナライザーを用いて行われた。直接測定されたLAIと推定されたPAIが比較された。プロトコルSFC(樹冠に面したセンサー)は、各端の8つのブドウ樹を含む斜めのトランセクトに沿ってPAIを測定することによってLAIの正確な推定を与えた。直接測定されたLAIと推定されたPAIの間の相関は大変高く(R2 = 0.93)、そして平均二乗誤差は今回試験した方法で最も低かった(RMSE = 0.21)。樹冠の下の8つの測定は、LAIを正確に推定するのに十分であった。経験的な較正方程式を適用することにより、測定は、正確なLAI推定値を供給した。それでもやはり、部分的較正が要求された。与えられた方法は、VSP整枝システムにおける迅速で正確なLAI推定、そして、LAIに基づいた樹冠維持または管理決定のための有用な手段を提供する。



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