American Journal of Enology and Viticulture
       論文要旨 和訳


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Volume 67, No.1 (2016)
J. Bellvert, J. Marsal, M. Mata, and J. Girona
Yield, Must Composition, and Wine Quality Responses to Preveraison Water Deficits in Sparkling Base Wines of Chardonnay
pp. 1-12 [
英文要旨原文]
[Chardonnayスパークリング用ベースワインのveraison前の水分欠乏が、マスト組成およびワインの品質に与える影響]
Cavaスパークリングワイン用のChardonnayベースワインについて3連続年での圃場実験を行った。4種類の灌漑処理、すなわち(i)対照(C):水収支によってスケジュール化された灌漑によって完全に灌漑した場合、(ⅱ)RDIm:第2ステージ(着果からveraisonまで)でΨstemが−1.0 Mpaになった場合は灌漑し、他のステージはCと同じ、(ⅲ)RDIs:第2ステージでΨstemが−1.2 Mpaになった場合は灌漑し、他のステージはCと同じ、(ⅳ)DI:開花から収穫までの期間でΨstemが−1.2 Mpaになった場合は灌漑をおこなった。収量およびベースワインの組成を調べた。3年の間、RDIm処理により水の使用量はCの20%減になり、ブドウの収量は平均で19%減少した。RDIsおよびDIでのブドウ収量の低下率はそれぞれ35%、48%より大きくなった。水分ストレスは香りの質、滴定酸度、リンゴ酸濃度を下げ、酸化を引き起こすポリフェノール濃度を増加させた。従って、ベースワインの品質を高めるためには、Cが一番好ましい灌漑法となった。しかし、フローラルな、あるいは樹木の果実の香りのような官能特性が少し減少しても良いなら、徒長制御により作物管理を容易にするという観点では、RDImも面白いかもしれない。RDIsまたはDI戦略の採用は、スパークリングベースワインにおける望ましくないアロマと酸度に対する負の効果により推奨されない。

J.C. Danilewicz
Reaction of Oxygen and Sulfite in Wine
pp. 13-17 [
英文要旨原文]
[ワイン中での酸素と亜硫酸の反応]
ポリフェノールを含むモデルワインが酸化されると、過酸化水素やキノンが生成する。亜硫酸は過酸化水素と反応することでFenton反応によりエタノールが酸化するのを防止し、(+)-catechinの場合、亜硫酸はほぼ定量的にキノンをcatecholに還元する。この結果、酸素:亜硫酸の反応モル比は、理想的な実験条件なら1:2になる。本実験では、8つのワイン(赤3、白5)について、このモル比が実際にはどの程度同じになるか調べ、実際のワイン中での亜硫酸の酸化防止剤としての効果を評価した。たいていのワインにおいて、モル比は1:1.7程度まで減少した。減少の理由を確かめるため、白ワインを多量のベンゼンスルフィン酸と反応させた。この化合物は大変効果的にキノンと反応し、亜硫酸との反応を抑制したと考えられた。この場合、モル比は1:1に減少し、モデルワインで以前に観察された値となった。この結果は、亜硫酸が過酸化水素を除去する上で十分に効果的で、理論的な1:2というモル比が低下することは、ポリフェノールの酸化生成物の反応が上十分であることを意味する。モル比が低く急速に酸化が見られた2つの白ワインは、アスコルビン酸が含まれていた。そこで、酸素との反応の点で、アスコルビン酸を白ワインに添加することの効果についても調べた。

C.C. Nelson, J.A. Kennedy, Y. Zhang, and S.K. Kurtural
Applied Water and Rootstock Affect Productivity and Anthocyanin Composition of Zinfandel in Central California
pp. 18-28 [
英文要旨原文]
[散水と台木は中央カリフォルニアのジンファンデルの収量性とアントシアニン組成に影響する]
 台木の遺伝子型と散水量が、暑い気候のジンファンデル(Vitis vinifera L.)ブドウ果粒の収量性とアントシアニン組成に及ぼす影響を特徴づけるために、中央カリフォルニアにおいて圃場研究を行った。Freedom(Fresno 1613-59 × Dogridge 5、27% V. viniferaハイブリッド;高い生育量、ネマトーダ耐性)または Salt Creek(V. champinii;高い生育量、フィロキセラとネマトーダ耐性、そして塩耐性)のどちらかに接ぎ木されたジンファンデルが、2回の成長シーズンの間、持続性欠乏灌漑(SDI)と制限欠乏灌漑(RDI)のもとで研究された。正午の葉水分ポテンシャル(Ψl)、キャノピー構造、収量、果粒組成、そして果皮アントシアニン濃度が、収穫時に測定された。ジンファンデルのΨlは、SDIで一貫して高かった。一方、台木の遺伝型は、それに影響しなかった。Freedomに接ぎ木されたジンファンデルは、Salt Creekと比べて、一貫して、大きな果粒重量、房の数と重量、そしてブドウ樹あたりの収量を有した。ジンファンデルの果粒あたりの種子の数、そして果皮と種子の質量は、Salt Creekと比べて、Freedomに接ぎ木された時に大きくなった。どちらの年も、果粒組成に対する灌漑管理または台木の影響はほとんどなかった。ジンファンデルのトータル果皮アントシアニン濃度は、一貫して、RDIよりSDIが大きく、そして2年目において、Freedomが大きかった。ジンファンデルのトリヒドロキシアントシアニンの割合は、一貫して、Freedom台木で大きかった。RDIは、台木と関係なく、ジンファンデルのウォーター・フットプリントを減少させたが、それに関連した収量の減少は、商業的に受け入れられなかった。我々の結果は、Freedom台木と組み合わせたSDIが、資源の限られた地域において、果皮のより高いアントシアニン濃度と連結した収量の限られた減少に基づいて、水生産性を高めることができることを示唆している。

A.M. Sparrow, R.E. Smart, R.G. Dambergs, and D.C. Close
Skin Particle Size Affects the Phenolic Attributes of Pinot noir Wine: Proof of Concept
pp. 29-37 [
英文要旨原文]
[Pinot noirにおけるフェノール化合物の特徴に与える果皮の断片サイズの影響:概念の証明]
フェノール化合物の組成を変化させることで、Pinot noirワインの品質を向上させ、色調・タンニン・熟成ポテンシャルの低さなどの一般的問題点を克朊できる。発酵中、必要とされる成分の抽出は主として果実の表面および破砕された果皮周辺部から起こる。外見上は、果皮中に存在するフェノール化合物の抽出は果皮の断片が小さい方が増強されると思われる。理論的な解析では、普通の断片化なら、表面に対する果皮の輪郭比は下がることが示された。3つの実験によれば、果皮を小さな断片にすれば、果皮からワインへの色素やタンニンの出口が増えた。それぞれの場合について、従来法により果実を破砕した対照区と、ブドウを切り刻んだものを比較した。果実の組織をホモジナイズした場合、6か月ボトルで熟成したワインでは、タンニン濃度は6倊、安定した色素濃度は45%、ワインの色調の濃さは25%、青~紫化率は20%増加した。ブドウを粉砕した場合、タンニンは6.5倊、安定色素濃度70%、ワインの色調の濃さ60%、青~紫化率10%の増加であった。種子を傷つけずブドウ果皮を最初のサイズの6%に切る技術を使ったところ、タンニン濃度は3倊、安定色素濃度95%、ワインの色調の濃さ50%、青~紫化率20%の増加であった。果皮の断片サイズを小さくした場合のフェノール化合物の抽出挙動は、ペクチナーゼ製剤による効果よりも大きかった。この革新的な果皮断片化技術は、果皮由来の赤ワインフェノール化合物の濃度を上げ、現在ワイン製造で使われているマセレーション方法の代用となる潜在性を秘めている。

M. Fadock, R.B. Brown, and A.G. Reynolds
Visible-Near Infrared Reflectance Spectroscopy for Nondestructive Analysis of Red Wine Grapes
pp. 38-46 [
英文要旨原文]
[可視-近赤外反射型分光による赤ワイン用ブドウの非接触分析]
Veraisonから収穫期まで、ブドウのコンポジット試料を毎週取得した。個々の試料は、ブドウ園管理者が考案した収穫前のサンプリング方法に従って~400粒から得た。2009~2010年のブドウ品種および個々の試料数は、Cabernet Sauvignon(43、36)、Cabernet franc(83、80)およびSyrah(38、36)であった。コンポジットした試料の350~850 nmの反射スペクトルをダイオードアレイ分光器で取得した。すべての試料について可溶性固形分、Brix、滴定酸度、全フェノール量、全アントシアニン量を化学分析で分析した。経験部分最小二乗回帰モデルと複数の再計算法(スムージング、標準化、微分)を組み合わせて反射光に対するそれぞれの計量化学的校正法を開発し、再帰的特徴除去法により変数選択を行った。得られたモデルを異なる年のデータにより検証した。2009年におけるBrix、pH、滴定酸度、全フェノール、アントシアニンに対する最も良いモデルでは、平均平方誤差の平方根(RMSEP)が0.65、0.05、0.59 g/L、31.2 mg/L、および75 mg/Lとなった。またそれぞれのR2値は0.84、0.58、0.56、0.27および0.65であった。2010年の最良のモデルではRMSEPが0.65、0.05、0.86 g/L、27.9 mg/Lおよび111 mg/Lであり、それぞれのR2値は0.89、0.81、0.58、0.25および0.17であった。2009年の校正を翌年の生育シーズンに得られた試料から得られたスペクトルデータに適用し、BrixとpHについて推定値を算出したところ、得られたRMSEPは0.87と0.05でR2値は0.71および0.56となった。2009年および2010年の反射データの主成分分析の結果、ローディングにおける類似性が見られ、データ構造の類似性が示唆された。

K.D. Hannam, G.H. Neilsen, D. Neilsen, A.J. Midwood, P. Millard, Z. Zhang, B. Thornton, and D. Steinke
Amino Acid Composition of Grape (Vitis vinifera L.) Juice in Response to Applications of Urea to the Soil or Foliage
pp. 47-55 [
英文要旨原文]
[土壌または葉への尿素散布に応答したブドウ(Vitis vinifera L.)ジュースのアミノ酸組成]
ベレーゾン期のブドウ園の葉または土壌への窒素の散布はブドウジュースの酵母資化性窒素濃度を改善でき、そして、ブドウ樹の過度の成長、成熟遅延を防ぐであろう。そして果実特性の上利な変化が、時として、成長シーズンの早期における窒素の高いレベルの散布と関連した。しかし、シーズンの遅い時期に葉と土壌に散布された窒素の、ブドウジュースの酵母資化性窒素(YAN)、そして、特にブドウジュースアミノ酸プロフィールに対する関連性が、直接的に比較されることはほとんどなかった。点滴灌漑されたメルローとピノ・グリのブドウ園において、2年間にわたり、ベレーゾンの頃に尿素(3.8g N/ブドウ樹)を、葉または土壌表面のどちらかに、3回散布したブドウ樹のブドウジュースのアミノ酸濃度を測定した。土壌散布した尿素は、ピノ・グリ圃場のブドウジュースのいくつかのアミノ酸を改善したが、葉に散布した尿素(2% (w/v) 溶液として散布)は、通常、ブドウジュースのアンモニウムイオンとアミノ酸濃度を上げるのに、より効果的であった。ブドウジュースのアミノ酸プロフィールの変化は、葉への窒素散布に対する応答において観察されたが、土壌への窒素散布ではされなかった。この変化は、ワインの特性に関連を持つかもしれない。ピノ・グリ圃場における15N-ラベル化尿素の散布は、尿素が土壌表面に散布された時よりも、葉に散布された時の方が、肥料窒素のより大きなパーセントがブドウジュースのアミノ酸に取り込まれることを示した。シーズンの遅い時期の葉への尿素の散布は、ブドウジュースYANを改善する確かで、効率が良く、効果的な方法である。異なる管理実施下において、処理の効果が圃場そして栽培種の間でどのように変化するかを調べ、そして、ワインの質に対する、変えられたブドウジュースのアミノ酸プロフィールの関係を理解するために、さらに研究が必要である

C.W. Beaver and J.F. Harbertson
Comparison of Multivariate Regression Methods for the Analysis of Phenolics in Wine Made from Two Vitis vinifera Cultivars
pp. 56-64 [
英文要旨原文]
[2種類のVitis vinifera品種から製造されたワインのフェノール化合物分析に対する多変量回帰方法の比較]
赤ワイン製造において異なる製造段階において、重要なフェノール化合物を定量することは産業上重要である。この性質の決定は、現在提供されている作業および機器による方法よりも、スピードと経済性が求められる。容易に得られるスペクトル(紫外線・可視あるいは近赤外)の多変量回帰とフェノール化合物の分析を参照して得たモデルにより、迅速な分析に対する努力を行った。本実験では赤ワインマスト中の複数の種類のフェノール化合物の迅速な予測をするためのモデルを構築するために、発酵期間中にCabernet SauvignonとSyrah赤ワインそれぞれ100サンプルずつについて参照とするフェノール化合物分析とUV/VIS分析を行った。どの方法が最も良い予測を得られるか調べるため、参照方法、UV/VISスペクトルサンプル希釈、多変量回帰法は全ての組み合わせについて調べた。Ridge回帰は、Cabernet Sauvignonの場合のみ、pH 7の改変分析法と10倊希釈によるUV/VIS分析の場合、他の回帰法を全て凌ぐ結果となった。アントシアニン、低分子・高分子色素重合体および全鉄反応性フェノール化合物に対する相関係数は、それぞれ0.83、0.78、0.76、0.92および0.90となった。Syrahについて同じ多変量回帰を行った場合、どの方法も正確な予測値を与えず、品種特性があると考えられた。

E. Santarosa, P.V. Dutra de Souza, J.E. de Araujo Mariath, and G.V. Lourosa:
Physiological Interaction between Rootstock-Scion: Effects on Xylem Vessels in Cabernet Sauvignon and Merlot Grapevines
pp. 65-76 [
英文要旨原文]
[台木と穂木の間の生理的相互作用:カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローにおける木部導管への影響]
 台木と穂木の間の相互作用はブドウ樹の生長と生産バランスに影響し得る。維管束の接続とパターンは、ある種の台木-穂木の組み合わせで観察された表現型に関連しているかもしれない。しかし、台木と穂木の間の相互作用の生理と関連した解剖学的多様性について、ほとんど知られていない。この研究の目的は、台木と穂木の間の相互作用がVitis vinifera L.の栄養生長に及ぼす影響を、維管束システムに焦点を当てて、評価することである。我々は、カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローブドウ品種に接ぎ木した、遺伝子型1103 Paulsen(Vitis berlandieri Planch. × Vitis rupestris Scheele)、101-14 Mgt(Vitis riparia Michx. × V. rupestris)そして SO4(V. berlandieri × V. riparia)の台木を調査した。我々は、栄養生長変数を評価し、そして穂木の茎の異なった部分(頂端、中央、基底)の木部と導管(直径、総数、密度そして頻度)を定量することによって、維管束システムのイメージ分析を行った。台木と穂木の相互作用は、栄養生長における違いをもたらし、維管束システムの違いと関連していた。1103 Paulsenに接ぎ木したカベルネ・ソーヴィニヨンとSO4に接ぎ木したメルローの組み合わせの栄養生長は、101-14 Mgtに接ぎ木したどちらの品種の生長よりも大きかった。より樹勢の強い台木と穂木の組み合わせは、より大きな平均直径を持った導管と木部領域を有し、そして50 μmより大きな直径を持つ導管の比率が大きかった。101-14 Mgtに接ぎ木したブドウ樹は、40 μmより小さな直径の導管の比率が大きかった。導管の特徴は、すべての組み合わせで、頂端から基底(茎形態)にわたって変化した。台木と穂木の間の生理的相互作用は、木部の導管を変化させることによって、ブドウ樹の維管束システムを変えた。

A.J. Messiga, K.S. Gallant, M. Sharifi, A. Hammermeister, K. Fuller, M. Tango, and S. Fillmore
Grape Yield and Quality Response to Cover Crops and Amendments in a Vineyard in Nova Scotia, Canada
pp. 77-856 [
英文要旨原文]
[カナダ、ノバスコシアのブドウ園における被覆作物と土壌改良剤に対するブドウ収量と質の応答]
 合成肥料のコスト増加は、それらが関連する環境に対する影響と収量の上安定性をあわせもって、ブドウ園における、地域の廃棄物と被覆作物の利用を促進している。我々は、東カナダのブドウ園において、2回の全生長シーズンに渡って、ブドウ(Vitis vinifera)の収量と質に及ぼす有機そして産業廃棄物と組み合わせた被覆作物ミクスチャーの効果を評価した。実験処理は、3回繰り返しの枝分かれ配置で計画された。4つの被覆作物ミクスチャー:(ⅰ)オートムギ+エンドウ+ヘアリーベッチ(OPV)、(ⅱ)レッドクローバーを混ぜたオートムギ(ORCI)、(ⅲ)チモシー+タチクローバー+レッドクローバー(TM)、そして(ⅳ)被覆作物をともなわないコントロール(CONT)は、メイン区画に適用し、そして、5つの施肥処理(窒素をともなわない肥料[NDEF]、完全合成肥料[FERT]、草木灰[WA]、都市の固形食品ゴミ[MSFW]、イガイの堆積物[MS])はサブ区画に適用した。第二生長シーズンの間、サブ区画の半分のみが施肥処理を受けた。最も生産力のある被覆作物と土壌改良剤の組み合わせに対するブドウ収量は、ORCl × MS(9.52 mg/ha)> OPV × MSFW(9.49 mg/ha)> TM × WA(8.81 mg/ha)> ORCl × MSFW(8.28 mg/ha)であった。最も低いブドウ収量は、CONTとNDEF(3.86 mg/ha)またはWA(3.61 mg/ha)のどちらかの組み合わせで得られた。被覆作物の中で、最も高い果粒糖濃度は、NDEF(16.43 Brix)、MS(16.03 Brix)そしてMSFW(15.98 Brix)と組み合わせたTM地表管理下で得られた。ブドウ収量は、第二生長シーズンの間でのみ被覆作物により影響されたが、果粒の糖は影響されなかった。被覆作物による地表管理戦略と有機または産業廃棄物は、東カナダの低温で湿気の多い気候にあるブドウ園で、栄養源または土壌調整剤として利用できる。

P.W. Noyce, J.D.I. Harper, C.C. Steel, and R.M. Wood
A New Description and the Rate of Development of Inflorescence Primordia over a Full Season in Vitis vinifera L. cv. Chardonnay
pp. 86-93 [
英文要旨原文]
[シャルドネ(Vitis vinifera L. cv.)の全シーズンにわたる花序原基の生長の新しい記載と進度]
 第1シーズンを通した混合陰芽の花序原基(IP)の形成に関連したブドウ樹生理学の科学的文献においてギャップがある。ゆえに、この研究の目的は、生長ステージ、開始時期、そして年間の時期と生物気候のステージに関連した花序原基のすべての原基のその後に関する詳細な記載を提供することである。我々は、第二そして第三芽のIPサイズを測定することも試みた。我々は、解剖顕微鏡を用いて、シーズン1を通して、休眠の間、そしてシーズン2の萌芽前にシャルドネブドウ樹の陰芽を調べた。少なくとも、4つのIPが、シーズン1の早い時期、10月中旬から11月下旬に誘導され、シーズン1または2において、それ以上の誘導は無かった。これらのIPは急速に生長し、2つのIPは、12月までに分化した原基(ステージ5a)に成長した。IPはシーズン1の最終月まで、ステージ7に達しなかった。そして、IPの生長は、休眠を通して続いた。少なくとも、2つのIPは、シーズン1を通して未分化の原基(ステージ4)のままであり、そして、シーズン2の萌芽によって巻きひげを形成した。第二芽は、より小さくそしてより少ないIPもち、そして、第三芽は、何も持たなかった。これは、第1シーズンを通してのIPの生長と内容、そして陰芽の生長点のその後についての最初の報告であり、その発見は、ブドウ樹生理学についての我々の知識を進展させ、そして、混合陰芽に関する将来の研究を助けるであろう。

R. Celorrio, J. Blanco, E. Martínez, E. Jiménez, and J.C. Saenz-Díez
Determination of Energy Savings in Alcoholic Wine Fermentation According to the IPMVP Protocol
pp. 94-104 [
英文要旨原文]
[IPMVP法によるワイン発酵中のエネルギー節約の測定]
ワインのアルコール発酵は複雑系であり、モデルの作成が困難で多くの異なるパラメータにより変化すると考えられる。温度は発酵過程全体を通して鍵となるパラメータで、品質の問題や発酵の中断を回避するためには制御が必要なパラメータである。産業設備では、温度は、予め決められたプログラムや醸造家の経験により低温度の液体によって制御されている。産業としてのワイン製造では、各発酵段階でのエネルギー情報や、適正な状態に持っていくために必要なエネルギー量に関する情報がいつも得られるとは限らない。本実験では、工程において必要なエネルギーがどの程度で、どの程度冷却が必要なのかを決定するため、マスト発酵中のエネルギー分析を行うための方法の確立を行った。この試みは、必要とされる状態に工程を維持する観点からの意思決定を可能にし、目的に対してどの程度のエネルギーが必要なのかを決定できるようにするものである。一度これらのポイントが決定出来れば、その工程で使われる実際のエネルギーを比較してその効率を決定するのに必要なベンチマークが樹立される。さらに、情報の積み重ねにより、発酵中の意思決定において醸造家の一助になり、製品が意図しない方向に行くことを防御できる。発酵が終われば、製造されたワインを生んだ工程変数の解析に役立ち、製品の継続的な品質向上のために、同じ変数の状態にするのを容易にする。

W.G. Giese, T.K. Wolf, C. Velasco-Cruz, and L. Roberts
Cover Crop and Root Pruning Effects on the Rooting Pattern of SO4 Rootstock Grafted to Cabernet Sauvignon
pp. 105-115 [
英文要旨原文]
[カベルネ・ソーヴィニヨンに接ぎ木されたSO4台木の発根パターンに及ぼす被覆作物と断根の効果]
 カベルネ・ソーヴィニヨンに接ぎ木され、トレリスの下の被覆作物(CC)にさらされ、そして断根された、またはされなかった(それぞれRPまたはNRP)SO4台木の根バイオマス、根遮断、そして根長密度を3年に渡って評価した。CC処理は、RP有りまたは無しのトールフェスキュ(Festuca arundinacea Shreb.)品種KY-31、RP無しのエリートII、そしてRP有りまたは無しのKY-31条間フェスキュをともなったトレリスの下の0.9 m幅の除草剤ストリップを含んだ。ブドウ樹の根バイオマスのおよそ70%が、処理または年にかかわらず、<60 cmの土壌深度で観察された。KY-31フェスキュ/NRPブドウ樹は、2008年の<60 cmの土壌深度において、最も大きい(96%)根バイオマスを有した。発根の深さの分布はモデルY = (1 - βd)にフィットされた。ここで、dは土壌深度(cm)、Yは土壌表面から深度dまでの累積の根フラクション、そして、未知のパラメーターβは、異なった処理の試験に対する応答変数として使用される土壌の垂直根分布の1つの尺度である。すべての根分布は、2008年のKY-31フェスキュ/NRPを除いて、処理と年のすべてにわたり0.970より大きいβ値を生じ、根分布の他の研究から得られたβ値に類似していた。処理が根バイオマスと分布に及ぼすささやかな影響は、この環境において、CCと年一度のRPに、これら成熟したブドウ樹が順応したことを示唆し、そして、この試験より以前に報告された土壌水分含量とブドウ樹の水分ポテンシャルに対する最小の影響を部分的に説明する。

M. Blesic, M. Zele, D. Bavcar, N. Spaho, and M. Smajic-Murtic
Monoterpenes in cv. Zilavka Free-Run Musts from Prefermentatively Macerated Pomace
pp. 116-119 (Research Notes) [
英文要旨原文]
[発酵前マセレーションを行ったポマスから得られたZilavka品種のフリーラン果汁中のモノテルペン類]
白ブドウZilavka種の破砕ブドウから得られたフリーランマスト中の5種類の遊離揮発性モノテルペン類(linalool、α-terpineol、citronellol、nerolおよびgeraniol;FVmT)濃度を、ヘッドスペースのSPME-GC-MS法で連続した2年間(2011-2012)に渡り測定した。これまでモノテルペン類の濃度は高いとは報告されたことがないブドウ品種であったが、予想外に高い濃度のFVmTがZilavkaブドウのフリーランマスト(およびワイン)から検出された。最も多いモノテルペン類はlinalool、α-terpineolおよびgeraniolで、nerolの10倊であった。Citronellolは検出されたが、フリーランマスト中で微量に検出されたのは1度だけであった。暑く乾燥した夏の後、早くに収穫が行われた2012のフリーランマスト中に、高い濃度のFVmTが検出された。マセレーションの温度を6から12℃に増加させ、その後20℃で20時間処理した場合、FVmTの抽出が増加した。しかし、両年の、マセレーション温度が高くなることにより観察される増加では、nerol濃度の増加だけが統計的に有意であった。linalool、α-terpineolおよびgeraniolの濃度を計算したところ比較的高かった(1.6~8)。以上の結果から、Zilavkaはモノテルペン類に関する潜在性が示された。従ってZilavkaワインについてはFVmTとモノテルペンの特徴を出すように技術的な変更を考慮する余地が生まれた。

C. D’Onofrio, C. Fausto, F. Matarese, A. Materazzi, G. Scalabrelli, F. Fiorani, and I. Poli
Genotyping of Grapevine Varieties from Garfagnana (Northern Tuscany): Evidence of a Historical Center of Diversity
pp. 120-126 (Research Notes) [
英文要旨原文]
[ガルファニャーナ(北トスカナ)由来のブドウ品種の遺伝子型:多様性の歴史的中心の証拠]
 この調査の目的は、ガルファニャーナ(トスカナ(中央イタリアに位置する)の北に位置する山岳地域)由来のブドウ品種の価値を、再発見し、特徴づけ、増加させることである。総数130のアクセッション(ブドウ樹)が、古いガルファニャーナブドウ園において同定され、 Organisation Internationale de la Vigne et du Vinの形態学的-生物気候学的そして生産性のパラメーターにより特徴づけられ、そして、14のマイクロサテライト遺伝子座によって遺伝子型が同定された。マイクロサテライト分析は50の遺伝子型を同定した。これらの遺伝子型のいくつかはトスカナ遺伝子型と一致し、その他はイタリアそしてヨーロッパ地域で栽培されている品種に一致した。そして、18は、今回、ガルファニャーナにおいてのみ同定された遺伝子型であり、そして、おそらく、この地域が原産であると思われる。マイクロサテライトと形態学データの両方をもとにしたクラスターそして類似性解析は、ガルファニャーナ原産の遺伝子型が多数派となる明確なグループを示した。親子関係の解析は、ガルファニャーナ原産の遺伝子型が、高い確率で相互に一親等であることを明らかにした。このことは、ガルファニャーナが、栽培品種の多様性の固有の歴史的中心であることを示唆している。すべての品種からのデータはイタリアVitisデーターベース(www.vitisdb.it)に登録されている。

L. Cocola
Validation and Comparison of Two Tunable Diode Laser Absorption Spectroscopy-Based Carbon Dioxide Sensors for Bottled Wine
pp. 127-131 (Technical Briefs) [
英文要旨原文]
[瓶詰めされたワイン用に開発された二つの調整可能なダイオード・レーザー吸収分光計に基づく二酸化炭素センサーの評価と比較]
本実験は、ワインおよびボトリング生産分野用の2種の二酸化炭素センサーの応用性を評価することを目的として行った。これらの機器は吸収分光器によるガス体の二酸化炭素検出を利用している。この方法の応用特性を、液相の溶存二酸化炭素の抽出測定、および試料のガス圧から検証した。これらの機器の限界について述べる。



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