American Journal of Enology and Viticulture
       論文要旨 和訳


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Volume 67, No.2 (2016)
E. Casalta, A. Vernhet, J.M. Sablayrolles, C. Tesnière, and J.M. Salmon
Review: Characterization and Role of Grape Solids during Alcoholic Fermentation under Enological Conditions
pp. 133-138 [
英文要旨原文]
[総説:醸造条件におけるアルコール発酵中のブドウ固形物の特徴と役割]
 アルコール発酵中,ブドウ固形物は発酵の特徴と官能評価に大きな影響を有する.これはブドウ固形物についての総説である.固形物の由来から物理的特徴,組成および発酵に及ぼす変化に焦点を当てる.次に,発酵への固形物の影響,ステロールの役割,固形物の調節および固形物と他の栄養物の相互作用を考察した.固形物はアルコール発酵に対し,主として脂質供給の調節に影響を及ぼす.固形物量と窒素のバランスが発酵調節のキーファクターである.ブドウ固形物の研究は始めたばかりで,更なる発展が必要である.固形物の組成や酵母によるステロールの取り込み機構の知識は,発酵改良を容易にする.

I.E. Dami, S. Li, and Y. Zhan
Evaluation of Primary Bud Freezing Tolerance of Twenty-three Winegrape Cultivars New to the Eastern United States
pp. 139-145 (Research Articles) [
英文要旨原文]
[アメリカ合衆国東部における新しいワイン用ブドウ23品種の主芽の凍結耐性の評価]
ワイン市場の需要によりVitis vinifera品種の作付けがアメリカ合衆国東部で増えている.しかしながら,V. viniferaは低温感受性の種であり,低温地域で低温感受性が分からない新しい品種を椊えることは頻繁に冬に害を受け,生産量の搊失という結果になる.本研究の目的はヨーロッパや南アフリカで主に栽培されているワイン用ブドウ23品種の凍結耐性を明らかにすること,そして主芽の50%が枯死する最低温度(最低LT50)を明らかにするために3つの統計手法[最頻値,区分回帰,年平均LT50 (AFT)]を比較することである.主芽の凍結耐性は,温度おけるLT50値として表し,オハイオ州の圃場条件下で3年間に渡り2週間ごとに観察した.最低LT50はAFT法を用いることで最も正確に決定することができた.AFTは最頻値あるいは区分回帰よりも小さい誤差推定を示し,2014年の極循環による凍結に晒されても生存していた梢の率と最も一致していた.2年の平均AFTはGamay noirの-19ºCからBarberaの-15ºCの範囲であり,主芽の凍結耐性において品種間で1ºC差を区別できた.我々は同じ場所で栽培された標準品種(本研究ではMerlot)に相対する品種のAFT(RAFTと呼ぶ)で表現するよう提案する.本研究成果は凍結温度によりワイン用ブドウ生産が限られている地域のブドウ園に適したV. vinifera品種を選抜する手助けをするために利用することもできる.

J.C. Danilewicz
Fe(II):Fe(III) Ratio and Redox Status of White Wines
pp. 146-152 (Research Articles) [
英文要旨原文]
[白ワインの2価鉄:3価鉄比および酸化還元電位]
 鉄はワインの酸化に鍵の役割を果たす.カテコールを含むポリフェノール(PP)は主たる還元物質で,これら物質の酸化は,2価鉄/3価鉄の酸化還元サイクルを介すると言われている.2価鉄:3価鉄の濃度比は常に,PPによる3価鉄の還元と酸素による2価鉄の酸化比に依存する.PPによる3価鉄の反応は亜硫酸により促進されるが,2価鉄の酸素による反応よりも遅く,銅により強く加速される.この過程と同時に,3価鉄は自身の生成を阻害する.従って,2価鉄:3価鉄濃度比は多くの競争反応の相互作用で決定される.しかし,2価鉄酸化の相対速度が速いので,酸素が主要な決定要因となる.最初のワイン容器の2価鉄レベルの変化を最小にするため,窒素下で収集したワインの2価鉄濃度測定には,フェロジン法を含む単純な分光測定方法が使用される.しかし,3価鉄はフェロジンの存在で,強力な酸化剤となり,ワイン中のカテコール類を酸化する.従って,2価鉄濃度はカテコール酸化の結果増加するが,時間経過中モニターされ,外挿によりフェロジン添加時の値に戻される.鉄の総濃度は,アスコルビン酸を添加し,3価鉄を還元して決定される.予想されるように,2価鉄:3価鉄比は自然コルク使用やバッグインボックス充填のワインより,スクリューキャップのワインで高い.ワインが酸素に晒されると,濃度比が低くなり,何日か空気で飽和されると平衡に達する.しかし,この比はワインの種類により異なり,この相違は,2価鉄の酸化と3価鉄の還元の相対速度を変化させるワインの成分に依存すると考えられる.

K.L. Steenwerth, A. Calderón-Orellana, R.C. Hanifin, C. Storm, and A.J. McElrone
Effects of Various Vineyard Floor Management Techniques on Weed Community Shifts and Grapevine Water Relations
pp. 153-162 (Research Articles) [
英文要旨原文]
[雑草集団の変化とブドウ樹の水分生理に及ぼすブドウ園の地表管理技術の影響]
永久的な被覆椊物および上耕起栽培の採用は,上院法案656で示されているように,大気粉塵を制御するカリフォルニア州大気汚染基準を達成するために上可欠であると考えられる.ブドウ園でのそのような管理技術の負担は限られた水資源をブドウ樹と競合することである.我々は,カリフォルニア州San Joaquin ValleyのLodi地域の潅漑上足を受けている商業的にMerlotを栽培している成熟したブドウ園にて3年間にわたり,ブドウ園の地表面構成,雑草集団,ブドウ樹の水分生理および成長,そして果実成分に及ぼす被覆椊物の耕起あるいは刈り取りの影響を評価した.本実験におけるブドウ園の地表面には耕起(標準的な栽培管理),エンバク被覆,あるいはマメ科椊物/エンバク被覆といった固有の椊物が育っていた.2つの被覆椊物に対し耕起あるいは刈り取りを実施した.被覆椊物,雑草およびマメ科椊物のバイオマスは年および処理によって変化したが,処理間で一貫した影響は認められなかった.固有の椊物の種類構成と被覆椊物の種類よりも耕起の有無で分かれた雑草の種類構成と被覆は被覆椊物処理のものと異なっていた.エンバク/マメ科椊物被覆+上耕起,エンバク被覆+上耕起,エンバク/マメ科椊物+耕起および固有の椊物+耕起,といったいくつかの処理では,2008年において0~30 cm,30~60 cmおよび60~100 cmの3つの表層地盤の少なくとも1箇所で土壌水分量が減少し,エンバク/マメ科椊物+上耕起でもまた2009年において上層の2箇所で乾燥が認められたが,これらの差はブドウ樹の水分状態に対し一貫した影響は及ぼさなかった.年ごとの土壌水分量における差は,年間の降雨量は同程度であったにも関わらず,2009年よりも2008年において2カ月早く降雨が終わってしまったことに部分的に依るものであった.エンバク/マメ科椊物+上耕起によって課せられた土壌水分量の有意な減少は3年間のうち2年においてブドウ樹の栄養成長を減少したが,これらの影響は収量および果実成分にはっきりとは現れなかった.3年間のうち2年間のRavazインデックス(剪定重量に対する収量の比率)の値はすべての処理において過剰生産を示したが,この地域での最大生産量としては通常のものであった.水に対する被覆椊物の弱い競合的影響はよく管理された成熟したブドウ園の使用と相関しているようであり,これらの管理戦略がブドウ樹の水分状態と生産に及ぼす限られた影響とともにカリフォルニア州大気質規制を満たす大気質に改善するために使用できることを示した.

L. Guerrini, P. Masella, P. Spugnoli, S. Spinelli, L. Calamai, and A. Parenti
A Condenser to Recover Organic Volatile Compounds during Vinification
pp. 163-168 (Research Articles) [
英文要旨原文]
[ワイン醸造中の有機揮発物質を回収する凝縮装置]
 ブドウ・マスト発酵中に炭酸ガスが揮散するが,これはワイン香気成分に影響する揮発性物質の搊失となる.失う揮発成分をトラップする発明的濃縮装置をデザインした.サンジオベーゼとシラーを用い,醗酵タンクから飛んでしまう揮発成分を連続的に回収(濃縮画分,CF)する試験を行った.CFのエタノール含有量と揮発性物質を発酵48時間から,毎日測定した.1.3 gCF/kg・発酵マストが回収され,有機揮発性産物の理論的回収率は~0.37%であった.平均エタノール含有量は~24容量%で,有機揮発性物質の総濃度は1200 mg/Lであった.最も多かったのはアルコールと二次性産物であるエステル類であり,4種の物質(ethyl octanoate, 1-propanol, ethyl acetate, and 2, 3-butanediol)は最終濃度の88%以上に相当した.CFの揮発性物質プロファイルは発酵時間により変化した.官能評価では,CFを元のワインに戻すと,1‰(1/1000)の率で有意に検出できた.

A.M. Sparrow, H.E. Holt, W. Pearson, R.G. Dambergs, and D.C. Close
Accentuated Cut Edges (ACE): Effects of Skin Fragmentation on the Composition and Sensory Attributes of Pinot noir Wines
pp. 169-178 (Research Articles) [
英文要旨原文]
[強調切り口(ACE):破片果皮のピノノワール・ワインの組成と官能への影響]
 発酵中の浮遊パミス・果帽を修飾し,4種の浸漬技術にてピノノワール・ワインを製造し,フェノール成分,アロマ,官能プロファイルを評価した.4種の方法は,1)毎日ピジャージュを行う,2)果皮の粒子サイズを減少(強調切り口,ACE),3)果帽の深部攪拌,4)ACE+果帽の浸漬である.醸造期間を通し迅速分析技術にて,フェノール性寄与成分であるアントシアニン,タンニン,非脱色性色素,色密度,色調を分析した.6ヶ月壜熟(酒母添加から230日)後,最終ワインの官能評価とアロマ分析を行った.ACE浸漬ワインは赤色,タンニン,非脱色性色素,フルーツおよび花のアロマ,苦味,収斂味が最も高かった.パミス果帽浸漬はACEワインと比べるとフェノール性寄与成分が低かったが,対照ワインと比較すると,フェノール化合物,ダークチェリーのアロマと味が有意に高かった.以上より,他の浸漬技術を採用すると,同じ果物を使っても,有意に異なるワインが製造可能であり,発酵中に早めにプレスする機会が提供される.直線回帰分析にて,機器分析によるフェノール成分の記述的ワイン・パラメーターを比較した結果,いくつかの強い相関が認められた.即ち,赤果実外観は色密度(r2 = 0.95) および非脱色性色素(r2 = 0.95)と相関し,ダーク果実フレーバーは色密度(r2 = 0.85)と非脱色性色素(r2 = 0.85)と相関し,収斂味はタンニン(r2 = 0.97)と非脱色性色素(r2 = 0.87)と相関した.これは,迅速化学分析がワインの官能性質に有用な洞察を与える可能性があり,製造中のワインをモニタリングする道具として有用であることを示している.一方,果帽浸漬醸造法はワインのタンニンと非脱色性色素プロファイルを増加するが,ACE浸漬法の有用性は顕著であり,ワイナリーでの応用が更に早く進むと思われる.

D.J. Paustenbach, A.L. Insley, J.R. Maskrey, J.L. Bare, K.M. Unice, V.B. Conrad, L. Iordanidis, D.W. Reynolds, K.S. DiNatale, and A.D. Monnot
Analysis of Total Arsenic Content in California Wines and Comparison to Various Health Risk Criteria
pp. 179-187 (Research Articles) [
英文要旨原文]
[カリフォルニア・ワインの総ヒ素含量分析と種々の健康リスク基準との比較]
最近,カリフォルニア・ワインのヒ素の存在への関心が高まっている.カリフォルニアで製造瓶詰めされた101ワインについて,誘導結合プラズマ質量分析計にて,総ヒ素濃度を測定した.この内,28ワインはメディアにより,米国環境保護局の飲用水最大汚染許容量,10 μg/Lを越えていると報告されている.残りの73ワインはランダムに地域の小売業者から購入した.サンプリング群に関わらず,ブラッシュ・ワインは最大のヒ素を含有しており,平均27.2 μg/L(標準偏差SD = 16.9 μg/L),次いで白ワイン,平均10.9 μg/L(SD = 11.0 μg/L)であり,赤ワインの値は,平均6.75 μg/L (SD = 7.33 μg/L)であった.更に,メディアに公表されたワインの総ヒ素濃度は平均25.6 μg/L (SD = 12.0 μg/L)であり,試験した全てのワインの平均7.42 μg/L (SD = 10.2 μg/L)より有意に(p<0.05)高かった.全ての評価ワインの総ヒ素濃度は,現在ワインで使用されている二つのガイドライン,100 μg/Lおよび200 μg/Lを下回っていた.統計処理の結果から,カリフォルニア・ワインの0.3%以上のワインは100 μg/Lのガイドライン以下であることが示された.ワインの総ヒ素濃度とワインの価格には,有意の逆相関が認められた.ワイン摂取によるヒ素の慢性1日摂取量は,成人の典型的な食物からのヒ素摂取の <8.3%と少ないので,ワインはヒトのヒ素摂取の主要食物ではない.以上,ワインに含まれるヒ素の存在は消費者の健康リスク要因ではないことが示された.

M.T. Strickland, L.M. Schopp, C.G. Edwards, and J.P. Osborne
Impact of Pediococcus spp. on Pinot noir Wine Quality and Growth of Brettanomyces
pp. 188-198 (Research Articles) [
英文要旨原文]
[ピノノワール・ワイン品質とBrettanomyces増殖へのPediococcusのインパクト]
 Pediococcus spp.をオレゴンとワシントン州の市販ワインから分離し,ピノノワール・ワインの化学,微生物学,官能品質に及ぼす影響を調べた.ペディオコッカス(Pdc)分離菌をアルコール発酵後椊菌し,60日後にワインの化学および官能評価分析を行った.全てのPdc分離株はL-リンゴ酸を部分的に分解し,P. damnosus OW2およびP. parvulus OW7はMLFを完了した.これらの株は菌数が非常に多い(>106 cfu/mL)にも拘らず,P. inopinatus OW8のワイン(>5 mg/L)を除いて,生体アミンが低濃度(<3 mg/L)であった.D-乳酸の生産量は菌株間で差があり,OW7は最も生産量が多く264 mg/Lであった.ダイアセチル濃度も菌株で差があり,低レベル(<0.5 mg/L)の分離株も,高レベル(>15 mg/L)の分離株もあった.更に,Pdc分離株には,恐らくアセトアルデヒドの分解によると思われるが,色と重合色素含量を減少するものがあった.種々のPdc種および株を接種したワインの官能分析で,種々の異なるアロマ(フローラル,果実,赤果実,バター)およびフレーバー(サワーおよび収斂味)を示すものがあった.P. parvulusとBrettanomyces bruxellensisの同時接種では4-エチルフェノール量は少なかったが,別々に接種した場合 最近,カリフォルニア・ワインのヒ素の存在への関心が高まっている.カリフォルニアで製造瓶詰めされた101ワインについて,誘導結合プラズマ質量分析計にて,総ヒ素濃度を測定した.この内,28ワインはメディアにより,米国環境保護局の飲用水最大汚染許容量,10 μg/Lを越えていると報告されている.残りの73ワインはランダムに地域の小売業者から購入した.サンプリング群に関わらず,ブラッシュ・ワインは最大のヒ素を含有しており,平均27.2 μg/L(標準偏差SD = 16.9 μg/L),次いで白ワイン,平均10.9 μg/L(SD = 11.0 μg/L)であり,赤ワインの値は,平均6.75 μg/L (SD = 7.33 μg/L)であった.更に,メディアに公表されたワインの総ヒ素濃度は平均25.6 μg/L (SD = 12.0 μg/L)であり,試験した全てのワインの平均7.42 μg/L (SD = 10.2 μg/L)より有意に(p<0.05)高かった.全ての評価ワインの総ヒ素濃度は,現在ワインで使用されている二つのガイドライン,100 μg/Lおよび200 μg/Lを下回っていた.統計処理の結果から,カリフォルニア・ワインの0.3%以上のワインは100 μg/Lのガイドライン以下であることが示された.ワインの総ヒ素濃度とワインの価格には,有意の逆相関が認められた.ワイン摂取によるヒ素の慢性1日摂取量は,成人の典型的な食物からのヒ素摂取の <8.3%と少ないので,ワインはヒトのヒ素摂取の主要食物ではない.以上,ワインに含まれるヒ素の存在は消費者の健康リスク要因ではないことが示された. より,菌数が多くなった.本研究により,Pdc種および分離株はピノノワール・ワインに,広い範囲にて種々の欠陥物の生成や官能評価に影響を示すことが証明された.

P.W. Noyce, C.C. Steel, J.D.I. Harper, and R.M. Wood
The Basis of Defoliation Effects on Reproductive Parameters in Vitis vinifera L. cv. Chardonnay Lies in the Latent Bud
pp. 199-205 (Research Articles) [
英文要旨原文]
[Chardonnayの生殖パラメータに及ぼす除葉の影響の主要素は潜伏芽に備わっている]
萌芽後の生殖パラメータ(花序)における除葉の影響について報告されているように,ブドウ樹の除葉は一般的である.しかし,これらの除葉の影響の根本的なメカニズムについてはほとんど知られていない.我々は除葉からの低炭水化物蓄積が初期の花序原基の数を減少し,成長間においては潜伏芽の大きさを制限することを提案する.シーズン1(南半球での12月)から落葉までに次第に新しい葉が出現したので,シーズン1の初期から果実はそのまま残したままChardonnayを完全に除葉した.除葉処理はシーズン末の休眠枝内において低炭水化物蓄積を引き起こし,結果として,シーズン2の休眠の開始までおよび萌芽前においてより小さい花序を生じた.処理および無処理のブドウ樹はシーズン2の冬の休眠時および萌芽前までにおいてよく似た花序数であった.しかしながら,萌芽後の処理ブドウ樹の花序は枯死しており,シーズン2における花序の発育停止および房数の減少という結果となった.シーズン2の春の間の低炭水化物蓄積はシーズン3の萌芽後における花序原基の減少とより少なくより小さい花序が遅れて成長するという結果となった.このように,除葉の影響は潜伏芽内の花序原基の数および大きさを減少する低炭水化物蓄積と萌芽直後の成熟花序の発育停止に依るものであった.

B. Bondada, J.I. Covarrubias, P. Tessarin, A.C. Boliani, G. Marodin, and A.D. Rombolà
Postveraison Shoot Trimming Reduces Cluster Compactness without Compromising Fruit Quality Attributes in Organically Grown Sangiovese Grapevines
pp. 206-211 (Research Articles) [
英文要旨原文]
[ヴェレゾン後剪定は有機栽培されたSangioveseの果実品質特性を搊なうことなく房の密着性を減少する]
ヴェレゾン前剪定後のブドウ樹の成績はよく報告されているが,シーズン後半での剪定の影響はあまり理解されていない.本研究では,生理学的見地から梢の成長特性,房の形態(房の密着性)および収量に及ぼすヴェレゾン後剪定の影響を解析するために,1 m × 2.8 m (株間,条間)の間隔で台木Kober 5BB に継いだSangiovese (クローン12T)が栽培されているブドウ園にて4年間の研究を実施した.乱塊法にて8反復(各6樹)でヴェレゾン後剪定処理区を設定した.8月にBrix 15になった時(予想収穫日から40~45日前)に軽い剪定(14節),強い剪定(10節)および無剪定の3つの処理区を設定した.処理後,梢の成長特性,房の形態および果実品質特性を計測した.ヴェレゾン後剪定,特に強い剪定,は房重,房の密着性,生産性および全収量を減少した.果実品質への影響は,滴定酸度,同化可能窒素(YAN),アントシアニン組成および全アントシアニンへのわずかな影響とともに,BrixおよびpHの低下を引き起こした.これらの結果はヴェレゾン後剪定がSangioveseの全体的な果実品質を搊ねることなく,房の密着性を減少することによって有用な栽培技術になることを示した.

J. Correa, M. Mamani, C. Muñoz-Espinoza, M. González-Agüero, B.G. Defilippi, R. Campos-Vargas, M. Pinto, and P. Hinrichsen
New Stable QTLs for Berry Firmness in Table Grapes
pp. 212-217 (Research Articles) [
英文要旨原文]
[生食用ブドウの果実硬度のための新しい安定した量的形質座位]
果実硬度は生食用ブドウ生産において最も重要な品質形質のひとつであり,したがって生食用ブドウの育種計画における重要項目である.ブドウにおいて果実硬度を決定する遺伝子を同定するため,Ruby Seedless × Sultaninaの子孫(n=137)を3年間評価した.遺伝率は~90%であったが,調査年はこの形質に重要な影響を及ぼした.量的形質座位(QTL)と遺伝子地図はこの形質の決定因子が連鎖群8および18に配置されていることを示した.これは,年をまたぎ果実硬度のための安定したQTLを連鎖群8上に同定した初めての報告である.このQTLは父型の対立遺伝子と付加的な影響によって主に与えられている.これらの2つのQTLは10 cMまでの信頼区間をもち,表現型分散の~27.6%を説明した.これらの2つのQTL内で見つかった10個の遺伝子のうち,我々は cation/calcium exchanger,xylosyltransferase,cellulose synthaseおよびinvertaseをコードする遺伝子に着目した.本研究は果実硬度が明らかな遺伝的根拠を持っていることを示す.これらの結果は生食用ブドウの育種を助けるための遺伝子マーカーの開発にも役立つであろう.

T. Baby, C. Collins, S.D. Tyerman, and M. Gilliham
Salinity Negatively Affects Pollen Tube Growth and Fruit Set in Grapevines and Is Not Mitigated by Silicon
pp. 218-228 (Research Articles) [
英文要旨原文]
[塩はブドウの花粉管成長および結実に負に影響しシリコンによって軽減しない]
土壌塩分は栄養成長および芽の発芽性,梢あたりの房数,房重や果粒重といった収量要素を抑制することでブドウ生産量を搊なう.しかしながら,受精率,結実や果実成長に及ぼす塩分の影響やその結果としての収量への影響はよく知られていない.塩耐性と収量成績を向上するためのシリコンの可能性はいくつかの作物で報告されている.本研究において,我々は,特に塩ストレス条件下において,シリコンがブドウ樹の生殖成長成績を向上するか調査した.1年樹のShiraz(Vitis vinifera L.)挿し木を制御条件下で栽培し,萌芽からヴェレゾンまで塩(35 mM 塩化ナトリウム)および/あるいはシリコン(ケイ酸カリウム)を処理した.塩ストレスは落花を増加し通常の果実成長を乱すことによって結実を減少し,その結果,房内には緑のままの子房や種無しの果粒を生じた.in vitroおよびin vivo実験により,受精上全による上十分な果実成長は上十分な花粉管成長と相関した.一方,花粉の生存率や柱頭の受容性は塩により影響を受けなかった.意義深いことは,無処理のブドウ樹に比べ塩処理を施したブドウ樹の葉や花により多くのNa+およびCl−が存在していたことである.シリコンは生殖器官におけるNa+およびCl−の蓄積を抑制せず,生殖能力に及ぼす塩の有害な影響も改善しなかった.しかしながら,シリコン処理したブドウ樹は無処理のブドウ樹に比べ瞬間的な水使用効果率が良かった.この結果は,受精は塩蓄積に対し感受性があること,果実収量に及ぼす塩の負の影響を最小限にするためには塩に晒されないようにすべきであることを示唆する.

M.P. Diago, M. Krasnow, M. Bubola, B. Millan, and J. Tardaguila
Assessment of Vineyard Canopy Porosity Using Machine Vision
pp. 229-238 (Research Articles) [
英文要旨原文]
[機械視覚システムを用いた樹冠空隙率の評価]
樹冠の空隙率は,樹冠の間隙が果実品質と健全性のための果実の露出と空気循環に味方するため,ブドウ栽培において重要な要因である.ポイントコドラート法(PQA)は樹冠間隙を評価する標準的な方法であるが,多くの時間と労力を要するためこの方法の使用は限られている.本研究では,客観的で非侵襲性のイメージに基づく新しい方法を開発し,ニュージーランド,クロアチアおよびスペインの多様な栽培条件と品種が栽培されているブドウ園において樹冠間隙率を評価するためにPQAと比較した.2つの方法を用いた樹冠間隙率間の回帰決定係数(R2)は各測定地で0.90(p<0.05)を超え,全体的なR2は0.93(p<0.05)であった.1日の時間および撮影した樹冠の方向はアルゴリズムの性能にそれほど影響しなかった.このイメージに基づく新しい評価方法を用いれば,求める樹冠間隙量に設定でき,それ故に果実品質および健全性を向上するための樹冠管理が最適化されるであろう.

É. Ouellet and K. Pedneault:
Impact of Frozen Storage on the Free Volatile Compound Profile of Grape Berries
pp. 239-244 (Research Notes) [
英文要旨原文]
[ブドウ凍結保存の果粒遊離揮発性化合物への影響]
 果物は4°C以上で保存すると,微生物,酵素あるいは酸化反応により,急速な品質劣化が起きる.冷凍ブドウの使用は,通常のワイン製造工程にはないが,ベレーゾンから収穫までの果粒の冷凍は,時間のかかる分析をする上では普通に行われる.本研究では,2種のブドウ品種(トンプソンおよびフレーム)新鮮果汁と前もって凍結したブドウ(Juice-FRG)からの抽出果汁を比較し,C6化合物,モノテルペン,C13-ノルイソプレノイド,ベンゼン誘導体をガスマス固形相マイクロ抽出法にて比較分析した.新鮮サンプルと比較し,果汁の冷凍と前もって凍結したブドウからの抽出の比較で,品種依存的な影響が遊離揮発性化合物プロファイルに認められた.果汁あるいは全果粒冷凍は,殆どのC6化合物,モノテルペン,C13-ノルイソプレノイドに対し,程度は異なるが影響を及ぼした.しかし,ベンゼン誘導体揮発成分への影響に差は殆どなかった.以上,冷凍ブドウ果粒あるいは果汁からの揮発化合物分析は,注意深く行うことが必要であり,揮発代謝物研究に使用するブドウの保存方法は,他にも研究すべきであることが示唆された.

L.J. Homich, J.A. Scheinberg, R.J. Elias, and D.M. Gardner
Effects of Co-Inoculation on Wine-Quality Attributes of the High-Acid, Red Hybrid Variety Chambourcin
pp. 245-250 (Research Notes) [
英文要旨原文]
[高酸,赤交雑品種Chambourcinのワイン品質に及ぼすコイノキュレーションの影響]
 酵母とマロラクティック細菌の同時発酵は,ワイン生産性効率を向上し,ワインの微生物安定性を上げ,香りの特徴を改善すると報告されている.本研究では,フレンチ*アメリカン交雑赤品種,Chambourcinからのワイン製造において,コイノキュレーション(即ち,酵母と細菌のマストへの同時接種)と伝統的な連続発酵(即ち,最初に酵母を添加,アルコール発酵終了後に細菌接種)を比較した.MLFの完了を通した主発酵の接種からの生産の長さは,両方法で異なったが,発酵中モニターされた酵母と細菌数は,両方法で菌の生存が同様であることを示した.MLF後のアルコール濃度は,コイノキュレーションの方が有意に(p < 0.05)高かった.しかし,その相違は無視できるものであった.ワインの化学的成分に2種の方法で有意の差はなかった.トライアングル法(n = 92)にて両方法によるワインの官能的特徴の差を評価した.化学分析値とÉ. Ouellet and K. Pedneault:一致して,官能評価はコイノキュレーションと連続接種法に差はなかった.本研究結果は,Chambourcinのような高酸赤ブドウ品種のワイン醸造方法として,コイノキュレーションはワインの品質を変えず,生産効率を上げることを証明した.

Cassandra M. Plank, Edward W. Hellman, Thayne Montague
Light-Emitting Diodes as Supplemental Lighting in Viticulture Field Research
pp. 251-256 (Technical Briefs) [
英文要旨原文]
[ブドウ栽培の圃場試験における補光としての発光ダイオード]
 発光ダイオード(LED)システムを,ブドウ樹への光の影響を調べるための圃場試験の手段として評価した.予備的な実験室での試験が,光合成有効放射(PAR)と温度に対する応答曲線を,LED光源からの距離の関数として展開するために実施された.LEDパネルは,Vitis vinifera cv. カベルネ・ソーヴィニヨンの果房の発育に対する3つの光照射処理の3年間の圃場試験において配置された:1)房を直射日光にさらす,2)房をキャノピーにより遮光する,3)キャノピーにより遮光された房をLED補光にさらす.実験室での試験とブドウ圃場試験は,ターゲットに対するLEDパネルの距離を調整することにより,LEDパネルが,外側の葉に対して,光合成光飽和点に達し,そして超える,PARの広い範囲にわたる補光をブドウ樹に供給できることを示した.実験室の試験はLEDに近接した有意な対流熱を示したが,圃場試験では,房処理の間の温度の違いはほとんど検出されなかった.異なる結果は,主に,実験目標に関連した温度測定位置に起因した.実験室の試験はターゲットの表面温度を測定したが,圃場試験は,房全体の温度をモニターした.LEDパネルは,房温度を変更しないで,遮光されたブドウの房に補光を供給するために,効果的に配置された.



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